集中力について

■2017年10月24日 火曜日・休日

爽やかな朝。

気温は低めだけど問題ない。子どもらが学校や幼稚園へ出て行った後、いつもの川へと向かった。

アシックスのキャップとTシャツ、両腕にcw-xのアームカバー、下はいよいよ初使用のcw-xのタイツを着けた。タイツは「expert」と呼ばれるタイプで膝をサポートする機能が付いている。Tシャツはポリエステル製のもので、ランニングを始めた時に買った。着心地がよく、色も赤に近い元気なオレンジで気に入っている。

川までの道のりを軽いジョグで流す。空気は冷んやりとしていたが、アームカバーを着けているので寒くない。少し体を前傾し、自然と足がつま先側から着地するのを確認しながら進む。

いつもの川。

その川沿いの小道を上流側に向かって走る。昨日のランでふくらはぎはかなり痛んでいたが、走ること自体に支障はなかった。姿勢を正し、腕の振りに気を配り、速すぎず遅すぎないペースで走った。膝の痛みは出てこない。まだ安心するのには早いかもしれないけど、とりあえず過剰に意識する必要はなさそうだ。

走りながら「集中力」についてあれこれ考える。走るのにはある程度の集中力が必要だと思う。しかし僕は、人類全体で集中力のテストをしたら、おそらく平均より下側にいる自信がある、それくらい集中力がない人間だ。今日もさまざまなファクターが僕の意識を走ること以外に向けようとし、そしてそれは実際に成就しまくっていた。

例えばBluetoothのイヤホン。

僕はいつも、iPhoneに入っているお気に入りの曲を聴きながら走る。以前はiPhoneに付属している純正の白いイヤホンを使っていた。これだと、常に耳とポケットの間にコードがぷらんぷらんと垂れ下がり邪魔だった。何かに引っかかって抜けてしまう、みたいなことはそれほど起こらなかったけど、集中力を奪うのには十分すぎる存在感だった。

それで、ワイヤレスのイヤホン(Soundpeatsという中国のメーカーのQ12という製品だ)を購入して使っている。これはなかなか値段の割にいい仕事をしてくれる(このジャンルでは格安の2,800円くらいだった)。イヤホン間はコードで繋がれているので完全なワイヤレスではないのだが、それでもiPhone本体と繋がれていた頃に比べると格段に動きやすくなった印象だ。

ところが、そのイヤホン間を繋ぐコードでさえ、僕は気にしてしまう小者なのだ。ランに合わせてコードがポンポンと跳ねると、それが耳から脳内に入ってくる。もちろんそのリズムは、聴いている音楽とシンクロするなんてことはまずないので、テンポの違う2つの曲を聞かされているみたいで気持ち悪い。

しかも、首を左右に振ると、汗でコードが首に引っかかりやすくなっているので、イヤホンが外れそうになることがある。その都度、首や耳に手を上げなくてはならず、なかなかに煩わしい。

これらの問題点は、コードのちょうど中間あたりをキャップのアジャスター部分にひっかけるようにしてうまく解決することができた。

そのほかにも、フィジカル的な要素をあげれば、例えば腹痛とか。

僕は普段、走っている時に腹痛を感じることはない。横っ腹が痛くなるようなこともなく、その点では走るのに恵まれた体だと思う。ところが今日は、途中で急に、嫌な腹痛が僕の集中力を途切れさせた。

巻いていたポーチのベルトがきつすぎるのかな? と緩めたりしてみたのだが、緩めると今度はポーチがばたばたと落ち着きなく暴れ出す。ううむ、どうしたものか。

断続的に、「嫌な」感じの痛みが腹部に響く。折り返す予定の地点に農業交流センターという施設がある。あそこにはきれいなトイレがある。トイレに寄って、不安要素を流してしまおうか、いや、しかしこれが本番ならタイムロスだなあ。ベルト緩めたら少し落ち着いてきたし、このまま行くか。

ああ、本番の時にこんなことになったら困るなあ。コース途中の仮設トイレって並んだりしてるし。トイレの扉のすぐ外に、誰かがイライラしながら自分のコトの終わりを待っているなんて、想像するだけでも辛い。

そういえば、辛い(つらい)と辛い(からい)って同じ表記だよなあ。あ、昨日の夕食の餃子に辛い(からい)ラー油を使いすぎたのがいけなかったのかな。きっとそうだ。今朝もその餃子の残りを食べる時に使ったもんな、あれは旨いが使いすぎると後がまずいことになるんだった。

・・・集中力はさらさらと、川の流れに失われてゆく。

今日はそれに加えて、鼻水にも悩まされた。寒冷による刺激なのか、台風が巻き上げていった花粉やら埃やらのせいなのか、とにかく今日は粘性の低い鼻水が絶え間なく流れてきた。

鼻をすすれば、わずかではあるが呼吸のリズムが乱れる。わずかとはいえ、それを頻回に繰り返せば呼吸はその都度、乱れてしまってたまらない。かといって、そのままにしておいたらやがて鼻水は唇に達するまでじわじわと流れてくるだろう。

僕は初心者であり、小心者のランナーだ。さすがにそれが気にならないくらいの肝っ玉はまだ持ち合わせていない。結局、時々鼻をすすりながら走ったのだけど、フルの時にはどうか勘弁してほしい。

ほかにもいろいろある。

小道の上に置き物のように佇む体長8cmくらいの亀とか。猫にせっせと餌をやるおじちゃんやおばちゃんとか。うしろから僕のことをびゅんと抜き去って行くロードバイクとか。

走ることだけを目的にランニングに出かけたのに、走ることだけに集中するっていうのは、実に難しい。何がどうであれ、走ることに集中するだけの集中力を持っていればいいのかもしれないが、今のところはまだ持っていない(というか、僕はそういうのを身に付けたくて走っているのかもしれない)。

何事にも動じない集中力。きっと、人が走る目的のひとつのそれ。それ、早く欲しい。

■体重:68.9kg 走行距離:合計12km

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