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熱中症対策は現場では敏感

ここ数日、日本列島は酷暑だった。
災害レベルと言われるほど暑かった。

そんな中、学校で熱中症で命を落とす子どものニュースが流れた。熱中症で病院に搬送されるニュースも連日報道された。この暑い中、校外学習や運動会などを実施したためだ。

運動会はあり得ないと思う。もうすでに何年も前から夏にやると熱中症が出るからと、季節をずらして行われている。5月や10月が今や定説と言ってもいいくらい実施時期が暑すぎない時期になっている。今時運動会をこの酷暑に行っていることは、対応があまりにも遅すぎる。その学校の体制が旧態依然としている証拠である。
学校の文化に、学校行事を「昨年通りです」で押し通す文化があります。職員は毎年数名変わるのに、職員会議でも「昨年通りです。」と言うだけで、紙が一枚配られるだけである。その紙には簡易な説明しか無く、仕事の把握ができない。知っている先生に聞いて動くしかないのである。新しくやってきた先生には様々なことに気を配る余裕がない。そして、学校に長くいるベテランは、「毎年のことだから大丈夫だろう」という考えで行動する。

今年は「終業式をどこで行うか」ということが問題になった。通常終業式は体育館で行われる。体育館に全学年が合同で集まり、長い長い校長先生の話を聞き、他の先生の小言を耐えて聞くことになるわけだ。
その体育館は、公立ではエアコンの付いていないところが多い。窓を開けて換気する。よくて扇風機を出す。この程度である。高温で湿度の高いところにいることになるので、倒れる生徒が出てくる。保健室で休んで回復する程度であれば、熱中症として報告などされない。世の中には熱中症になっても隠れている数字がたくさんある。

終業式はどこで行えばいいか。答えは簡単である。「教室」で行えばいい。一斉放送という放送設備が整っているのだから、校長からの話や生徒指導からの諸注意など放送で十分である。エアコンのついていない教室であったとしても、体育館で密集するよりも随分マシである。

この声は私の勤務校でも教員から挙がったらしい。もちろん、生徒からも声が挙がった。しかし、校長の判断は、「体育館」であった。体育の先生が「いける」と言ったからという理由だったと同僚が話していた。私は休職している身なので、実際には見ていないが、その話を聞いて「殺人未遂」だと思った。もしくは「虐待」「体罰」に当たると考えてもおかしくないと思う。

この判断によって、体育館に行くわけだが、もし生徒が「体調が悪いので耐えられません」と申し出られたら、「無理してでもいけ」とは言えません。保健室に行くように促すか、教室で待機させることしかできない。そういう勇気のない子はかわいそうだが我慢して、倒れるわけになってしまうのだ・・・もし、万が一クラス全員がそういった場合どうなるのか。私が担任ならば、クラス全員を教室に残し、体育館に行くことを拒否する。

「殺す気か」

こう言われたらもうどうしようもない。理不尽な要求ではない。現実に人が死んでいるくらいの暑さなのだ。そう思われても仕方がないと思う。事前に何クラスかで出席拒否を決め込めば、放送での終業式もあり得たのかもしれない。

このような自体を考えても現場の教師は敏感に考えている。代替案を提案するものの、上の決断がそうではない場合従うしかない。職務命令違反と言われてしまえば、公務員である教師はどうしようもないのである。それにも関わらず責任が取られることになる。もう辞めても良い。それくらいの覚悟を持って仕事に臨まなければやってられない現状になっている。

そんな現状では、プレッシャーにつぶれる人が出ても仕方がないと思う。この暑さを警戒するのは「心配性」なのだろうか。何事もなかったからそれでいいじゃないか。それで済まされて良いのだろうか。

今回の体育館の決断の一件も、その後の保護者懇談で苦情が寄せられているらしい。その苦情を受けるのは担任である。担任達は放送をと声を上げたにもかかわらずである。

新採の任命式の時に教育長が言っていた言葉が思い出される。

「ここに座っている先生方は、現場で働く最先端です。生徒や保護者と関わる最先端なんです。末端、尻尾ではありません。最先端の意識を持って思う存分働いて下さい」

最先端が何を言っても、上の判断が違えば動けません。やはり、末端です。そして、何かあれば切られるんです。尻尾です。思う存分働く。これも過労死ラインを超えて働く教員のパーセンテージを見れば納得がいきますね。

私も思う存分働いて、精神を壊しました。しかし、何も守ってもらえません。自己都合による休職扱いです。こんな人間を何人生み出す現場なのでしょうか。

現場は敏感に動いていても結果が悪ければ、全てその責任があるかのように問われます。例えば、クーラーを入れたいけれど入れられないとき。
「担任がクーラーを入れてくれない」
と苦情が来ますが、教師がクーラーを入れたいといっても、事務がダメだって言います。事務にクーラーの集中管理の装置があるのでどうしようもありません。事務長に訴えても「教育委員会が良いって言う日までだめ」となります。結局、現場はどうしようもないのです。敏感に感じ取っても上までいきません。

本当に動くのは、「生徒自身の声」と「保護者の声」です。教師の声はかき消されてしまいます。校長に言って動いてくれる場合もありますが、一番効果なのは教育委員会に苦情の電話や文書で送ることです。それでも動いてくれない場合は、知事宛に送ることです。具体的に高校名をあげ、どういう自体なのに動いてくれない。その原因はあなたにあると返事をされたと。

ニュースを見ていて、現場は必死なんだろうなと思います。この異常事態、夏休みに入って少しほっとしているかもしれませんが、夏休みもクラブ活動が続きます。運動部はもちろんのこと文化部も暑い中行動します。私の勤務校では文化部のエアコン使用禁止という謎のルールがありました。
それは保護者が直接事務室に苦情を入れてくれたのでOKになりました。教員が何年も掛けて要望していたことが、たった1回でOKになったのです。本当に保護者の力はすごいと思います。

どうか皆さん、子どもをお持ちであれば声を上げて下さい。担任に言っても学校内では力がないんです。子どもの命を守るために、ぜひ動いてみてください。

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