見出し画像

「新」LomoChrome Turquoise XR100-400フィルムのレビュー

2022年秋にロモグラフィー製のカラーネガフィルム「LomoChrome Turquoise XR100-400」が復活しました。数あるLomoChromeフィルムの中でもとりわけ個性が強く人気も高かったこのフィルムの復活に歓喜した方も多いのではないでしょうか(私もその一人です)。ということで、前バージョンからの熱烈なターコイズファンを自認する私がこの復活した新バージョンを使ってみましたので作例とともに感想をレビューしていきますのでぜひ参考にしてみてください!

新パッケージ。3枚の画像は全て私の作品です(←自慢)

【フィルムの仕様】

■名称:LomoChrome Turquoise XR100-400(36枚撮)
■種類:カラーネガフィルム(C-41仕様)、35mmと120あり
■感度:ISO100~400
※前バージョンと仕様に大きな違いはないようです
※その他詳細はLomographyオンラインショップの商品ページ、またはLomoChrome Turquoiseフィルムガイドにてご確認ください

作例① ネイチャー

パンパスグラス(ススキの大きいやつ)、バックに赤い紅葉

黄色いパンパスグラスはこのフィルムの法則に従い青く染まります。ただし鮮やかな黄色ではないのでターコイズブルーとまではいきません。バックの赤い紅葉は青紫系になっています。(ISO200、+0.5補正にて撮影)

作例② スナップ(&ネイチャー)

歩く人々と赤や黄色の紅葉

スナップ&ネイチャー作例①
鮮やかな黄色い葉はターコイズブルーに、赤い葉は青紫色になります。緑色は大きくは変わりませんがエメラルド色(青緑色)っぽい感じに。歩く人々の肌は青系のゾンビカラーに。服などもなんかいろいろ変わっています(雑な説明)。あと、ハイライトにややオレンジ色が乗る傾向があります。(ISO200にて撮影)

雪山と道路や標識のある風景

スナップ&ネイチャー作例②
青空や山肌はオレンジ色になり、標識の黄色はターコイズブルーになっています。冬の寒そうな景色もこのフィルムで撮るとイメージが一変します。(ISO200にて撮影)

作例③ ポートレート

女性のポートレート(多重写真でややこしいですが)

こちらは参考画像なしですがポートレートの作例を。多重写真でややこしいのですが顔の肌部分には影響の少ない撮り方をしています。やはり最大の特徴は肌の色の変化。人の肌は黄色っぽいのでややくすんだ青系になるのが特徴です。このゾンビ化特性をうまく生かせば個性的で面白い写真が撮れそうです。(ISO200 ×2にて撮影) 

作例④ 動物

赤(オレンジ系)のフラミンゴ

動物の作例その①
鮮やかな赤・オレンジが特徴のフラミンゴもこのフィルムにかかれば不健康そうな青紫系になります。(ISO200にて撮影)

黄土色っぽいワラビ―

動物の作例その②
黄色っぽい色のワラビ―ですがこちらも「黄色がブルーに」の法則に従い死後数週間みたいになりました。(ISO200にて撮影) 

作例⑤ 夕日

鮮やかなオレンジに染まった夕焼けと青みの残る空

赤・オレンジに染まった夕焼けの部分は強めのターコイズブルーに、空の青みの残った部分はオレンジ系に変わり色のバランスが逆になった感じ。正直微妙です。夕日だけでなく他の要素も加えて撮ると面白くなりそう。(ISO200にて撮影)

作例⑥ 夜景

日没直後の工場夜景

工場夜景は複雑な光源が混じり合っていますが青・緑が目立ちました。白熱灯系は青く、蛍光灯系は緑色になってそれらが混じっているようです。長時間露光のため空のオレンジは青くならず飛んでしまいました。(ISO100、+1補正にて撮影) 

【感度のちがいによる比較】

赤・黄色系の紅葉と青い空
現像済みネガの比較

同じ被写体でISO100、200、400と3枚撮りました。ISO400では葉の色の濃い部分は黒つぶれし、ISO100では空の色がやや白飛びしています。現像済みネガの露出の乗り具合を見ても、前バージョン同様ISO200を基準(適正露出)とし、撮影意図により感度設定か補正値を変えていくのがよさそうです。感度により色が変わるということではなく露光量の違いによる明度の差が現れます。

【感想】

■彩度
彩度は全体に前バージョンに比べてやや抑え気味に感じられました。空などの青色はもっとビビッドなオレンジに染まっていた印象です。ターコイズブルーの発色の強さは変わらずです。他の赤や緑などの発色も同じ傾向のようです。
 ■コントラスト
コントラストは硬調過ぎず柔らかめな印象ですが黒の締まりは良く感じました。
 ■粒状性
粒状感は前バージョンとさほど変わらないかやや粗くなった印象です。露出オーバーネガや大伸ばしプリントをすると粒子は目立ちますが比較的滑らかです。
 ■感度
ISO200を基準(適正露出)とし、条件や意図により補正するのがよいと思いますが100~400の範囲でしたらどれでも撮影可能です。 
■前バージョンとの比較などトータルの印象
前バージョンの良さを忠実に踏襲しつつやや軟調で発色は落ち着いた印象。言い換えるとクセが弱まり、個性の強さを求める派には物足りなく、幅広い用途で使いたい人には向いているかなと(それでもこのフィルムの個性の強さは健在ですが)。私個人的には新バージョンのが多ジャンルで幅広く使えそうで気に入っています。
※発色・コントラスト等は現像やスキャンの環境により変わります 

【色変化イメージ画像】

色による変化のイメージ

色の変化のイメージをイラストで画像化しました。大まかな色変化の傾向が表せているかなと。なお、発色は露出や光の当たり方・現像後の取り込み方等により変わるのでご参考程度に。 

【他の作品のギャラリー】

最後に、このフィルムを使った他の私の作品を紹介します。多重露光メインですがこのフィルムの面白い使い方が伝わればと思います。このターコイズフィルム、期間限定の発売ということなので興味のある方はぜひ使ってみて皆さんなりの面白い写真を撮ってみてください♪
Enjoy your film life with new turquoise film! 

"unidentified flying factories"

石油精製工場を上下対称に2回露光。スプリッツァー(画面分割用アクセサリー)は不使用。赤茶色の建物は青色に、青空はオレンジになりました。
カメラ: Canon EOS7s
感度設定: ISO200 ×2 

"ちょっと通りますよ"

動物園のキリンと古い街並みとの多重露光。黄色(茶色)っぽいキリンは青系に、より鮮やかな下の黄色い芝生はターコイズブルーになっています。
カメラ:Canon EOS7s
感度設定:ISO200 ×2 

"Mrs. Android"

横顔の女性と縦構図で撮った工場との多重露光。工場と空はオレンジ系に、女性の肌は青系になり被写体及び色合いの面白いコントラストが出ました。テクニックとしては「ウィングショットの応用版です。
カメラ: Canon EOS7s
感度設定: ISO200 ×2 

"multilateral highways"

高速道路をスプリッツァーを使って4回露光。アスファルトの青は赤茶色系になり、分離帯の黄線はターコイズブルーになりました。右の青い車は元は赤です。
カメラ: Canon EOS7s
感度設定: ISO200 ×4

"死人花"

女性と彼岸花との多重露光。人の肌は青くなり彼岸花の赤は青紫系に。背後のオレンジコスモスはターコイズブルーで葉の緑はエメラルド色に。
カメラ: Canon EOS7s
感度設定: ISO200 ×2 

"shred crossing"

横断歩道での手持ち撮影による「ちょいブラ多重」(二回露光)。アスファルトの青がオレンジ系に。青が特徴のフィルムの「青ではない」魅力を生かした撮り方。
カメラ: Canon EOS7s
感度設定: ISO400 ×2


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?