無人島に住みたい子供。
子供の頃から、『仙人』『世捨て人』に憧れていた。
人里離れてひっそり暮らしたい。
小学生の夢にしては渋いが、本当に何処かでひっそり暮らしたい気持ちはあった。
大人たちは私が『画家になりたい』とか『デザイナーになりたい』とか『イラストレーターになりたい』とか、私自身が得意とする能力の範囲内で『夢を語ってあげる』と嬉しそうにするから、本当は『人から離れたい』なんて言えなかった。
テレビで『ポツンと一軒家』が放送されたとき、『あぁ、いいな』と思った。
一昨年に軽トラを借りたとき、私はふと『これで無人島走りたいな♪』と思った。
…無人島?
そうだ。
私、無人島ほしかったんだ。
だけど、きっとお値段が高いからと検索しなかった。
今年の2月に検索してみた。
最安値で無人島4島セット2000万円。
えっ?
セット売りなの?
バラ売りできないの?
(メルカリじゃないんだぞ)
それでも1島500万円か。
インフラ整えて、コンテナハウス置いて、ガソリンはどうするんだ?
軽トラ、ナンバープレートいらんだろ?
公道じゃないから。
…?
小さい島には車はいらないか…?
ポツンと一軒家もな、でかいんだよな。
あんなに広い家はいらない。
コンテナハウスがいい。
完全に人里に降りないわけにもいかないから車はいる。
…車…あ〜、車ぁぁあ…
現実に引き戻される。
今だって、雷などの自然の音は平気。
上の階の住人が帰ってくるとビクビクする。
上の階の玄関が『ガチャリ』と開く音で飛び上がる。
自分の背中を壁に押し付けて、耳にノイズキャンセリングイヤホンを押し込む。
無人島ならこんな悩みもないだろう。
しかし、先日気づいた。
無人島まで買わなくても、どこかの最上階でよくない?
ん、やっぱり一軒家だ。
コンテナハウスだ。
子供の頃から本当は自分が人間苦手なのわかってたんだよね。
ひとりだけクラスメイトだった子に
『実は私、仙人になりたいんだ』
と打ち明けたことがある。
『…?
お前…
じいさんになりたいのか?』
日本では『仙人=おじいさん』のイメージが定着しすぎていた。
最近、本当に仙人を目指すのも悪くない気がしてきた。
仙人と言っても『人間の寿命の範囲で生きる』ただの浮世離れしたおばちゃんでいい。
ん〜、無人島ってお値段ピンキリなんだなぁ。
まさかセット売りしてる島があるとは。
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