「れーかちゃん 笑ってる」
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姉ちゃんへ
姉ちゃん、元気？
久しぶりに手紙を書いてるよ。
今日、5月13日は、姉ちゃんの誕生日だね。
生きていたら、４１歳。
誕生日おめでとう。
実は、今日のために
近くのケーキ屋さんで
小さめのホールケーキを注文しておいたの。
もちろん姉ちゃんが好きだった
バタークリームのケーキだよ。
なんとこのケーキ屋さん
引っ越してきたアパートを出てわずか1分の場所。
「近くのケーキ屋さん」っていうより
「家のすぐ下のケーキ屋さん」なんだよ。
そのお店のエクレアも美味しいから
また今度姉ちゃんの分も買ってくるからね。
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そちらでの暮らしはどうかな。
こっちは今、新型ウイルスが流行して大変なことになってるよ。
子ども達も、学校がずっと休みで
今週から分散登校で、１日おきに学校に行ってるの。
昨日はね、兄ちゃん2人が学校で
ユリはいつも通り
１４時からお昼寝の時間だったから
一人時間にゆっくりと
スマホに保存してある写真を見たの。
”明日は姉ちゃんの誕生日だな～”って思いながら
ゆっくり、ゆっくり写真を見てたよ。
私のスマホは２０１７年の7月に買い替えたから
その頃から、今まで保存した、３年間の写真。
姉ちゃんは、すでに闘病生活をしていた頃なのに
やっぱりどの写真を見ても、びっくりするぐらい、いつも笑顔だった。
抗がん剤で眉毛もなくなったから
眉ティントっていう、眉を染めるやつで
二人でふざけて眉毛を濃くしてる時の写真とか
余命宣告されて、自宅で酸素を導入しながらゆっくり療養してる時も
生後2か月のユリを抱っこして
目が無くなるぐらい細い目になって、白い歯を見せてニコッて笑ってるの。
産後疲れでかなりさえない表情をしてる私の隣で
姉ちゃんの方が何十倍も素敵な笑顔だった。
今にも画面から飛び出してきそうな姉ちゃんの顔見てたら
思わずスマホに向かって話しかけてしまったよ。
ねぇ、会いたいよ。
そしたら急に涙が止まらなくなっちゃって。。
その時はちょうど
ユリのお昼寝用に
youtubeでオルゴールのBGMかけてたから
その優しい音色も手伝って
よけいにこみあげるものがあったのかもしれない。
それにね
スマホをスクロールしてると
うちの家族に混ざっていっぱい
姉ちゃんの笑顔が溢れてるのに
２０１８年6月のところから
急に姉ちゃんの姿が、遺影の写真になっちゃって
その後は、姉ちゃんの写真が全然出てこないから
どんどん寂しくなって。。。
それからね
姉ちゃんってきっと、笑顔の裏で
ほんとはたくさん泣いてたんだろうなって思うと
なんとも切なくて・・・。
久しぶりにボロボロ泣いちゃった。
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ああ、会いたいな。
「はいはーい ゆみ、何してる？」って
張りのあるちょっと高めの声。
うちらって、顔だけじゃなく声もそっくりで
いつも周りから、電話の声も間違われてたよね。
姉ちゃんの車でドライブしながら
姉ちゃんが大好きだったスピッツの曲かけて一緒に歌ったのも懐かしい。
海沿いのドライブの時は「青い車」とか「渚」とか聴いてたよね。
それから
お酒が全く飲めない姉妹だから
お互いの家で時々やってた、お菓子パーティー。
「甘いの食べるとしょっぱいの食べたくなって、それの繰り返しよね、、、こりゃ痩せないわ～」って2人でよく笑ったね。
たけのこの里とポテチを交互につまみながら
あれこれ話したのが懐かしいな。
そうそう。
姉ちゃんが我が子のように可愛がってくれた
うちの子どもたちの成長、すごいんだよ。
3人それぞれ、個性的に、頼もしくなってるよ。
お兄ちゃん2人は、ゲームばっかりで勉強は、、、だし
ずいぶん反抗的な態度をとるようになってきたけど
根が優しいのは、姉ちゃんが生きてた頃と今も変わらない。
赤ちゃんだったユリはね
もう2歳になって
姉ちゃんの遺影の写真を見ながら
「れーかちゃん」って言えるようになったんだよ。
最近、外出自粛で、家で過ごす時間が多いから
ベランダ用に小さいベンチを買ったんだけど
ユリがそれをすごく気に入ってて
私が洗濯物干してる間とか
いつもそこにぬいぐるみを一緒に座らせたりするのね。
昨日はなぜか
昼寝の後ベランダに出て
そのベンチに腰かけながら
「れーかちゃんイスのる！れーかちゃんイスのる！」
って何度も言うから
姉ちゃんの写真立てを渡したの。
そしたら、それを受け取ったユリがね
「あ、れーかちゃん♪」って言って
嬉しそうに写真を隣に座らせてから
姉ちゃんをまじまじと見ながら
カタコトで一生懸命言ってきたの。
「れーかちゃん わらってる〜」
って。
ああ、ユリにも姉ちゃんの笑顔が伝わってるんだなぁと思ったら
また泣きそうになっちゃって
でもユリの前では泣けないから
頑張って
「うん れいかちゃん笑ってるね～」って笑顔で答えたら
今度は
「ユリちゃんもわらってる〜」って
自分のこと言うの。
姉ちゃんの笑顔みたいに、口角あげながら。
ユリはさ
姉ちゃんが既にこの世にいないことや
そもそも存在していた事も
自分が赤ちゃんの時に抱っこしてもらった事さえ覚えていないだろうに
真っ白な心で
姉ちゃんの笑顔に心奪われてるんだなって思ったら
余計に泣けてきて
なみだ必死にこらえながら
「ユリちゃんも笑ってる？そっかぁ♪」って答えたら
ユリが今度は、今にも泣きそうな私のことを指差して
「おかーたん わらってる〜」って
まるで
「みんな笑ってるよ、一緒だね」って呼びかけるみたいに無邪気に言うから
結局、また泣いちゃった。
でもユリの前だからね、すぐ涙拭って
無理やり笑って
「うん！ お母さんも笑ってるよ」って会話したよ。
姉ちゃん、あの時もしかして実は
ユリの隣にほんとに座ってた・・・？
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さっき、姉ちゃんの写真を前に
バースデーソングを歌って
注文していたケーキを食べてお祝いしたよ。
ろうそくは、姉ちゃんの代わりにユリが吹き消して。
ケーキは、姉ちゃんの好みの味で、バッチリ美味しかった。
「れいかちゃんのために切り分けたケーキは誰が食べる！？」って
ジャンケンで取り合いになるぐらい、すごく美味しかったよ。
不思議だね。
姉ちゃんいないのはずなのにさ
その時はまるで
姉ちゃんの笑い声も、一緒に響いてる気がして。
姉ちゃんの誕生日なのに、姉ちゃんがいないって寂しいんじゃなくて
ほらほら、姉ちゃんの誕生日だよ～楽しいねって思えて嬉しくて。
「れいかちゃん、絶対ここにいるはずね」って
家族みんなで、姉ちゃんとの思い出話に花を咲かせたよ。
姉ちゃんはやっぱり、今も生きてるね。
会えないって気持ちに押しつぶされることもけっこうあるんだけどさ
目をつぶって胸に手をあてて
そっと呼びかけたら
いつでも来てくる。
これは私の中で自信があることなんだけど
胸に手を当てた時に
ジーンとしたり、あったかく感じたりする時は
絶対姉ちゃんが私の声に耳を傾けてくれてる時だなって
そう思って過ごしてるよ。
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姉ちゃん。
かけがえのないその命で
３９年間生きたその命で
私や周りの人達にたくさんのことを教えてくれてありがとう。
たくさんの財産を残してくれてありがとう。
来年の1月になったら
私は40歳になるし
３９歳でこの世を去った姉ちゃんが
数字上ではもう私の妹になってしまう。
そうやって、年数を重ねるごとに
どんどん姉ちゃんの歳を追い越してしまうけど
私のなかで、姉ちゃんは
頼りになるたった一人のお姉ちゃんだから
これからもやっぱりずっと
私の姉ちゃんでいてほしいな。
お姉ちゃん、今日は本当におめでとう。
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PS
姉ちゃんが食べたいものがある時は
念を送って！！
私が代わりに食べてあげるからね（笑）
2020年5月13日 妹 ゆみより
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ここ数ヶ月、自分の気持ちを整えるために
姉とのことを思い出すのは控えていました。
写真を見返したりすることもせず
姉の写真立ても、引越しの荷造りをしたまま
つい最近まで出さずにいました。
時々とても辛い感情がなだれてくるので
3月の引っ越しや忙しさを乗り切るために
あえて姉の事は頭から切り離すよう
思い出すきっかけになる物事はしまいこんで過ごしていました。
こうして久しぶりに、姉への気持ちにどっぷりと浸って
たくさん涙を流して・・・。
やっぱり私は姉ちゃん大好きだな
生きてるかどうか関係なく
とても大きな存在なんだと心から思いました。
そして私だけでなく
夫や子ども達も
同じように姉のことを大切に想ってくれてるんだなと思えた1日でした。
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手紙形式でnoteを書いたので
トップの画像は、上の森シハさんのイラストを使用させていただきました。
エルくんが穏やかな表情でポストに手紙を入れているイラストを見ていたら
本当にお姉ちゃんのポストに届くような気がして。
シハさん、あったか～いイラストをありがとうございます。
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姉のことは、以下のマガジンに綴っていっています。
また時間を作って更新していこうと思っています。
私の書く記事は多分、伝わる人が限られています。いじめ、機能不全家族、HSP、病気などの記事多めなので。それでも深くせまく伝えたくて書いています。サポートとても嬉しいです。感謝します。コメントも嬉しいです🍀