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日々是紅茶⑰「菊と秋風で清める」

9月に季節のお茶会「重陽の紅茶会」を開催した。
別名、「菊の節句」と呼ばれるため、キク科のハーブ「カモミール」や「エキナセア」を使用したハーブブレンドティーやアレンジティーをお出しした。
その際、メインに使用したセイロンティーは、「クオリティーウバ」。
いつもの私ならば、ハーブをブレンドする際、まずはグリーンノートあふれる爽やかな「ヌワラエリヤ」をつい合わせると思う。
「ヌワラエリヤ」はハーブ類と合わせやすくとても使いやすいセイロンティーだ。
でも今回は、邪気払いの意味も込めた節句の行事でもあったので、秋の夜露や乾いた風でスッキリと清められるようなイメージで「ウバ」を選んだ。

メインにしたハーブ、カモミールはほんのり甘くほっこり系。
でも爽やかに楽しんでもらいたく、レモングラスもプラスして、やや強いウバの印象を残すブレンドにする作戦にした。

今回使用した「ウバ」は、クオリティーシーズン特有のメントール香(サロメチール香)があり、程よい渋みと爽快感がある。
(ウバはクオリティーシーズンとそうでないシーズンで大きく味わいが異なる。その点については以前の記事に書いたので参考までに)


セイロンティー7大産地②気高い個性派「ウバ」|homimi紅茶教室 @鎌倉|note


今回はハーブとブレンドした分、ニュアンス程度で分かりつらかったかもしれないが、後味にキレが生まれる。単品で飲むと想像以上のメントール香に驚くと思う。
メントールと聞いて、紅茶会に参加されていた皆さんが「え?」という表情をされていたので、一応ここでもう一度お伝えしたい。
これは着香ではなく、ウバの産地の地形や気候によるもので、夏に山に吹き下ろす乾いた強い風に反応した茶葉本来の自然な香りであり、それが成分で分析するといわゆるメントールのような香り(厳密にいうと主にサリチル酸メチル)に値するということ。
(「ウバ」という地名の呼び方も「風の音」から由来している)
好みが分かれるところだが、飲み慣れてくると意外とくせになる紅茶なのだ。

今回は、きっと皆さんこの希少な紅茶を面白がって購入希望されるかと思い張り切って仕入れてきたけれど、予想外に反応が薄かった(笑)

乾いた秋風を思わせる、充実した味わいと媚びない凛とした香り。
まさに、「重陽の節句」の菊と同じような気高さを感じるのは私だけだろうか。

菊の夜露をまとわせる「着せ綿」

旧暦の9月9日は、今年2022年は新暦10月4日だそうだ。
様々な菊の花が咲き、栗もたくさん出回るのは、むしろちょうど旧暦の重陽の頃。
この秋は、キク科のハーブとウバで秋風を感じてみようと思う。

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