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セイロンティー7大産地②気高い個性派「ウバ」

セイロンティーの七大産地のふたつめは、「ウバ」。
「ダージリン」「キームン」と並んで、世界3大紅茶と呼ばれている「ウバ」。

セイロンティーといえば、日本だと「ディンブラ」や「キャンディ」の方が主流のイメージなのに、世界3大紅茶には、堂々と「ウバ」が来るのが意外だな~とはじめは思っていた。

いつから誰が世界3大紅茶と呼び始めたのか分からないが、確かに19世紀末にあの有名なトーマス・リプトンがこの地域を開拓し紅茶を増産させた歴史があるので、当時「ウバ」の紅茶は広く親しまれ愛されていたのだろうと察する。

正直言えば、この「ウバ」は、好みが分かれるところだろうなとは思う。
しかし最大で唯一無二と言っても良いような、不思議なキャラクターを持っているのだ。
そこが個人的には、今でも世界3大紅茶に値するな~と勝手にしみじみ思う。

ちなみに、この名前、ウバ州という州の名前からきている。
前回紹介したヌワラエリヤの南東にあり、1200m程の標高が高い山岳地帯だ。
UVAとは、現地のことばで、山や谷に吹く「風の音」から名づけられたといわれている。
そう、この峻険な山々に吹く強い風こそが、「ウバ」の最大の魅力を作るのだ。

【ウバの最大ポイント】
私のウバの印象は、華やかな香りと刺激的な心地よい渋味(パンジェンシー)。少しスパイシーさも感じる。水色も澄んだ赤みのある橙色で美しい。
ゴールデンリングができたりもする。
ただ、「ウバ」の最大の特長は、クオリティーシーズン(良質な紅茶が作られる時期)とそうでないシーズンとの味と価格が大きく変わってくることだ。

立地や季節風など奥が深いので細かいことはここでは割愛するけれど、「クオリティーシーズン」には、ウバ特有の乾いた強い風が茶畑に吹き降ろされる。すると、上記の印象にプラスαで、茶葉にメントール香(もしくはサロメチール香)が加わるのだ。
紅茶がメントールの香り?!って初めて口にする時はびっくりするのだが、人工的に着香したのではなく、天然の爽快な香りが立ち現れる。
これは、インドにも中国にもケニアにもない特徴で希少性も評価され、オークションではこの時期の「ウバ」は一気に値が上がる。

もちろん、オフシーズンの「ウバ」もしっかりした味わいはそのままなので、ミルクティーにしたり、甘いお菓子をいただく際は程よい渋味でさっぱりさせてくれる。
でも、もし「クオリティーシーズンのウバ」を見つけたら一度はぜひ試していただきたい。きっと新しい体験になると思う。紅茶屋さんで「ウバ」を購入する際は、クオリティーシーズンの特長が出ているものなのか、聞いてみてほしい。専門店であれば、ちゃんと「クオリティーシーズン」という表現を冠して販売しているところが多い。

私は「クオリティーウバ」を口にすると、その媚びない香りとパンチに、まだ見ぬウバの谷間に吹き抜ける乾いた風を想像して、背筋が伸びる想いがする。
いつか、私もその谷間へ行こう。と。

ちなみに、クオリティーシーズン以外の茶葉でも、現在は、オーガニックやハンドロールなど付加価値をもった「ウバ」を作り出している茶園もあり、行けば色々見どころ多しな場所になりそうだ。

その代表的な茶園が、今スリランカでも世界的にも大注目の「アンバ茶園」。
セイロンティー専門店「MITSUTEA」でも一部の商品が購入できる。
そして、よくオンラインツアーに登場するニータンジャナさんのお話の記事は、スリランカ在住の日本人の方がいくつか挙げているので、興味が湧いたらぜひ読んでみてほしい。

朝日新聞デジタル⇒石野明子さんの記事

スリランカ観光・情報サイト Spice Up⇒ 








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