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「ミルクティーブラウン」

先日、オンライン個別レッスンで、「ミルクティーを美味しく淹れるコツ」についてお伝えした。
茶葉、ミルクの種類、ミルクの温度、分量など細かいところにロジックはいくつかあるけれど、最終的には自分の五感を使って淹れていく。
味覚、嗅覚はもちろん、実は視覚も結構頼りになる。
湯気の色、ミルクティーの色味。
この話をすると、多くの方はそこまでわからないな~という反応をされる。
とてもマニアックで抽象的な話ではある。
すぐに分からなくても、淹れ続けていくとある時、「お。この紅茶美味しく
淹れられてそうだ!」と見た目で感じられるようになる。
気楽な気持ちで、試してみてほしい。

人は分かりやすいもの、正解を求めがちな傾向がある。
私にもそういう面がある。
人から学びたいこともあるし、自分で考えてもわからないこともある。
紅茶に関して言えば、自分なりの正解やマジョリティーの正解らしいものもあるけれど、嗜好品である以上、好みもあるし本当の正解はない。
ただ、このようにするとこういう味になるよ~という日々の実験結果はお伝えできるかなと思う。
あとは、自分の五感を使ってやってみるしかない。
とても慌ただしい日々を過ごす人が、紅茶を丁寧に淹れる工程を毎回取り入れるのは負担が大きいと感じる時もあるかもしれない。
紅茶のジャンピングや茶葉の開いていく様子を見つめてるほど暇じゃない!という時期もあるかもしれない。
手軽に一定の美味しいお茶が楽しめる方法があったら心底ありがたいという環境もある。
私は、以前の記事でも書いたけれど、決してティーバッグやインスタントを否定しているわけではないし、状況に応じて上手に使い分けできるといいと思っている。
でも普段から手間を省くことを重視して淹れていたら、やはりそれなりの味になるし、それに慣れていると適当な味が基準になっていく気がしていて。
そうすると茶葉のパフォーマンスを生かしてあげられないかもしれない。
特に、お茶はシンプルな抽出方法でかつ繊細な味なので、びっくりするような感動や刺激は少ない。
でも、私は紅茶を飲み続けていて、その淡さに気付ける感性を育ててもらった実感がある。(私の個人比ですが)その世界を垣間見るとそれはそれでまた違った静かな驚きがある。
そして、たとえ最高の一杯を淹れられない日でも、ちゃんと扇を広げてそれなりに安心感ある味わいを提供してくれる。
逆説的だけど、お茶を適当に淹れて「うわ!まずい!!」ってあんまりならないのも、お茶の優しさだなと思う。

紅茶の見方、淹れ方が少し変わるだけで、そのお茶はきっと静かに化学変化を起こしている。茶葉だけでなく、淹れている人のココロもきっと静かに変化していくんだろうな。
これって楽しくて誰でもできる静かな遊びでもある。

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