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日々是紅茶㉝「たい焼きとお茶 あんあん」〈前編〉

私は紅茶が好き。
家族は和菓子が好き。
だから我が家では「和菓子と紅茶」という機会がきっと一般家庭より圧倒的に多いと思う。
その中でも、いつの間にか「たい焼きと紅茶」は私も大好きな組み合わせのひとつとなった。
けれど、30年も前にこのペアリングが最高だと熟知していて「たい焼きと紅茶」の専門店を開いていた人がいた。

※今回は割と紅茶日記と言いながらも、たい焼きの尺多めのお話。
でも後半は紅茶との関係もお伝えしていくので、よかったらお付き合いいただけたらうれしい。

米子で夢は叶う

鳥取県米子市にあるお店、「たいやきとお茶 あんあん」。
全国に美味しいたい焼き屋さんはあっても、淹れたての美味しい紅茶と一緒に楽しめるお店は多分、日本で唯一じゃないかな?!
そしてそれはつまり、世界でここ一つじゃないかな?!
そんな唯一無二の夢のようなお店。
先日念願叶ってこのお店に訪れた。

出会いはスリランカ

実はこちらの店主さんは、「MITSU TEA主催のスリランカ紅茶研修ツアー」でご一緒したお仲間の一人だった。
偶然バスの席が近くて自己紹介の際に、「たい焼きと紅茶のお店をしています」との言葉に、おおー!と私はおもわず食いついた。
しかも現代では貴重となってしまった「一丁焼き」(天然ものとも呼ばれる、一尾ずつ鋳型で焼くタイプのたい焼き)というではないか。
そして何よりもツアー中の彼女の自然体で楽しいお人柄にも惹かれ、「いつかお店に食べに行きます!」と宣言して帰国したのだ。
こういうところはちゃんと有言実行するワタシ(笑)

去年の紅茶研修ツアーで
共に茶摘みや製茶工場を見学したお茶仲間のみなさん

絶滅危惧種と呼ばれる「たい焼き」

たい焼きラバーズの間でよく使われる、「天然もの(一丁焼き)」と「養殖もの」は良し悪しではなく、香ばし系たい焼きとふんわり系たい焼きの好みの問題かと思うけれど、個人的には断然カリっと香ばしい「天然もの(一丁焼き)」が好き。
昔ながらのたい焼きの鋳型で焼く、一丁焼きのたい焼き。
一尾ずつ(二尾の場合も?)独立していて、長い鋏のような持ち手が付いている。
丁寧に一尾ずつ生地を流し込み餡を詰めて、ひとつひとつの鋳型をひっくり返して直火で焼き上げていくので、手間がかかるし火加減やタイミングなど熟練の技が必須になる。
その分、薄い皮に均一に火が通ってかりっと歯ごたえもあり、なんとも香ばしいたい焼きが楽しめる。
これはスピードや効率性とは別の路線を行くやり方でもある。
そのためか近年、このたい焼きを作る人が高齢化も相まって減ってきているのだそうだ。
彼女はこの手間暇を惜しまずに、時には手首を傷めながらも、歴代大切に使われてきた鋳型を引き継いで、日々一尾ずつ丁寧に焼いている。

旅する鯛

そもそも、このたい焼きの型を使ったたい焼き屋さんは、今の彼女が4代目となるそうだ。
60年前に三重県津市から、一丁焼きの鋳型を抱えて米子へやって来た方が一代目。
その後、紆余曲折あって、米子市内で色んな人達の手で繋がれて、一時期は絶滅しそうになりながらも、喫茶店のメニューとして生き続け、今も米子市民に愛されているのだ。
旅する鯛たち(たい焼きの鋳型)は、彼女達のおかげで快適な米子にすっかり落ち着いたみたいだ。

一尾ずつ丁寧に次々と焼きあげていく彼女の手

当時は「たい焼きに紅茶?」

彼女がお店を引き継ぎ、たい焼きと紅茶を提供し始めたのは約30年前。
当時は洋菓子との組み合わせのイメージが強かった紅茶と、和菓子のたい焼きを合わせたのはお客さんにとって斬新に映っただろう。

けれど紅茶とのペアリングは、彼女の紅茶の師匠からもお墨付き。ついでに、写真家である宮嶋さんの魚拓になった事もあり、本当にお墨付き。

話が逸れたが、実際にどんなたい焼きと紅茶のペアリングを楽しめるのか、「たい焼きと紅茶」ワールドについてはまた次回へつづく。



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