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中村哲さんの『荒野に希望の灯をともす』を観て

ずっと観たいと思っていた中村哲さんのドキュメンタリー映画『荒野に希望の灯をともす』を観てきました。

日本人だからとか、医者だからといった役割にとらわれず、命を尊び必要なことを行なうという実践がすごすぎます。人生に道を明け渡すという生き方は、こういうことなのだろうなと感じました。

正確ではないですが、作中に読まれた文章で心に残ったものです。

・平和とは、人間と人間の関係のことだけではなく、自然と人間の関係のことでもある。
・自然の恵みを少し分けてもらって、それをみんなで分かち合うのが人間に許されたこと。
・平和とは戦争がないことではなく、困っている人がいたら助け合うこと。
・暴に対して暴で返さない。

率先して動いていく中村哲さんと、そこに力を合わせていく現地の方々の素晴らしさもさることながら、日本で活動を支える後援会の皆さまなど、たくさんの小さな力が結集して状況を変えていくところが感じられるのが本当に素晴らしいです。

その一方で、医療の届かない地域に医療を届ける活動が忙しく、自らの子供の病には寄り添う時間が取れずに亡くしてしまうとか。
多くの人々が生き延びるために用水路を掘っている上を、戦闘用のヘリが破壊と殺戮のために飛び交うとか。
医療と食料を届け、砂漠を緑豊かな地に変え、何万人という命を救っている人が凶弾に倒れるとか。

人間とは、どうして…と問いたくなるような、しみじみと縁起や因縁というものに思い馳せてしまうような、希望と絶望の太極図が脳裏に浮かぶ映画でした。

それらをきちんと撮影して残し、映画として見られる形にしてくださった皆さまにも感謝します。

政治と経済と人権、戦争と平和と幸福、自然と命と食といったものと深く向き合おうと腹を括る機会となりました。
心から、観てよかったと思う映画です。

よろしければ、ぜひ。


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