カタミネホノカ

日々の中で心動いたことを。

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最近の記事

スペシャルは六月

四半世紀も生きちゃった。 誕生日前夜、 いつもの稽古を終えて、いつものメンバーで食事をとることになった。トレーナーのセイルさんが宿泊しているゲストハウスの居間で食事をしていると、そこのオーナーさんと、偶然居合わせたお兄さん二人がきてくれてみんなでいろんな話をした。 ひょんなことから生まれた年の話になって、私が明日誕生日だというと、皆さんがハッピーバースデーを歌ってくれるという。 古民家のような、至る所に魅力的な古道具が置かれているそのゲストハウスの奥から、オーナーさんがお

    • 熊本旅行記 その2

      年の瀬にひとつ前の春先のことを思い出そうとしている。 ずっと頭の片隅にあって、でもなかなか心が落ち着かなくて書けなかったこと。 今年の三月に訪れた熊本について、つづきの話です。 母と二人旅、夜行バスで12時間。 肩と首を痛めながら朝、桜町バスターミナルに到着する。 出発前、せっかくだからお洒落なカフェを見つけて朝から優雅にモーニングでもしようかなんて呑気に考えたりしていた。 けれども長時間移動は相当体をフラフラにさせてしまっていて、寝不足の頭はおしゃれ〜とか、優雅〜よ

      • 熊本旅行記

        三月の寒い夜、熊本行きの夜行バスを待つ。 はじめての九州、夜行バスで12時間。 母との一泊2日の旅がはじまる。 今回の熊本行きは、敬愛する橋本愛と高良健吾という、熊本のスターが集結する舞台のチケットをとったことがきっかけで決まった旅だった。 なにしろ行ったことのない土地で距離感もあんまり分からず、行けるでしょ!という軽い気持ちでチケットをとってしまったのだけれど、調べてみれば京都と熊本は想像以上に離れていてちょっと焦った。 そんな思いつきで決めてしまった旅、ちょうど熊本

        • 車窓

          青山真治監督の『EUREKA ユリイカ』を観るために、いつもと反対方向の電車に乗る。 昼間の電車は朝の時間とちがってキリキリしていなくていい。 大学生のとき、往復4時間もかけて通った道。 ぼーっと外を眺めることが人より得意だったのかもしれない。 進行方向にむかって右手の景色がとくに好きだった。 今日も右側を眺めていた。 田植えを終えた田んぼには水がぴたっとはってあって、青空をうつしていた。 工事が終わって新しい工事がはじまっていた。 この川のところで魚が跳ねるのを見たなー

          片手にアロエ、おばあさん。

          京都の市バスは難しい。 同じ駅に乗り場が3つも4つもあって、 地図を熟知していないと自分がいま北に進んでいるのか、南に進んでいるのか 全くわからなくなってしまう。 23年暮らしても、乗り間違えることなんて日常茶飯事だ。 それに観光シーズンともなれば乗車率は100パーセントを超え、もう途中で降りてしまおうかと思うくらい気が滅入ってしまう。 そんな京都のバスだけれど、 公共の乗り物はいろんな人を運ぶので、時折面白い出会いをもたらしてくれることがある。 ほんとのたまに、そ

          片手にアロエ、おばあさん。

          さよならの挨拶をして

          朝の7時半、バイト先へ向かう道すがら、 ふと目に止まる花があった。 その花たちは、立派な日本家屋の石垣の間から茎を伸ばし、群生していた。 5月。はじめてその道を通った時、 その石垣の間に黄色い花が咲いていた。 周りにはつぼみがたくさんなっていて、これからどんどん開花を迎えるのだろうなと思った。 それから数日後、開きかけたつぼみの先から、 赤い(ピンク?)花びらが顔をのぞかせた。 私が黄色い花が咲くとばかり思っていたつぼみたちは、どんどん赤い花を咲かせていった。 わあ

          さよならの挨拶をして

          夢見る頃

          眠りに落ちる直前の、夢と現実の狭間、 あのまどろっこしい時間。 思い出すのは小学生時代に聞かれた、 あなたの夢はなんですか?という質問。 わたしはとても困った。 ここでの夢というのは、大人たちが納得する、期待通りの答えを求められているんだと感じた。 (…別にそんなことないのにさ、捻くれてるのか当時の私…) 医者、スポーツ選手、キャビンアテンダント、お嫁さん、美容師、、、 みんなはもうなりたいものがあるのに 私はなりたいものなんて何もなかった。 幸せになりたい。

          スキマの音

          めずらしく早起きに成功した日。 去年単位を落としてしまった授業をとり返すためだけに早起きする日。 いつもは2.3分が命取りというくらいギリギリの戦いをしている朝なのに、この日はどういうわけかしっかりまつげをカールさせる時間さえあるほど、余裕な朝だった。 順調に長い長い電車に揺られ、もう少しで乗り換えの駅という手前、電車のスピードが嫌な感じになった。ざわざわざわ。 この先で信号トラブルが発生、一時停車いたします。 これだよ、せっかく早起き成功したのにさ。 ようやく動

          オーロラの夢

          光の中に欲しいものがある だけどそれは、手に入れようとした瞬間に消えて無くなる。 ドライアイスみたいな、虹のふもとみたいな、 オーロラみたいな。 オーロラは見たことがないけれど。 掴めない何かを求めて、光の中を彷徨いたい。

          オーロラの夢

          飽き足らず

          午前2時14分。 私は自分の足に落書きをしていた。 たった23.5センチの二つの肉の塊は 毎日毎日私の体を支えている。 「爪先(つまさき)」、「足の甲(こう)」、 「蹠(あしうら)」、土踏まず、 「踵(かかと)」「趾(あしゆび)」 足は時として第二の心臓とも呼ばれるらしい。 手よりも自由が利かないし首ほどよく回らない。 タンスの角にぶつけると死ぬほど痛い。 こんなに足のことを考えた夜は 今夜が初めてだったかもしれない。

          ひとなつ

          「Call Me by Your Name」にでてくる、あの北イタリアでの一夏の過ごし方に憧れる。 いつもより短かった今年の夏に、わたしのひとなつを見出そうとした。 海にもプールにも入らなかったし、花火も逃した。 昼間は出来るだけ建物の中で過ごして、夜中にアイスを食べた。 当然のことながら、あの北イタリアのような穏やかで優雅な夏にはならなかった。 でも、毎年やってくる夏の匂いと入道雲、真っ黒になって帰ってくる妹の姿に、わたしなりの夏を見つけた。 北イタリアの優雅なひ

          五月雨の季節

          つめたいかぜがふく くろいくも モールスしんごう うずくおくば ばくだんていきあつ ついにふりだした たいくつなあめ めをだすみどりたち ちっともかわかないせんたくもの のこりはへやぼし シトシトシト とうめいなかさ さみだれのきせつ

          五月雨の季節

          ナビゲーター

          マップを見ずに目的地に辿り着くのは楽しい あー この旅は 気楽な帰り道 のたれ死んだ所で 本当のふるさと あー そうなのか そういう事なのか わたしだけの心の指針が指す先を追いかけたい

          ナビゲーター

          焔(ほのお)の灯りに心惹かれる。 火をつけた瞬間、ぼうっと明るくなる ゆらゆら揺れる灯りと溶けるロウソク。 砂時計を見つめる気持ちと似ているかもしれない。 ハッピーバースデートゥーユー 誕生日にロウソクの火を吹き消す時、 少し遠慮して一発で消せたことがない。 もう一回もう一回、ふっと吹き消した後の 焦げ臭い匂いがちょっと寂しくて嬉しい。

          機械的な何か

          時々、携帯電話を投げ捨てたくなる。 多すぎる情報に嫌気がさす。 SNSを更新するたび、あーしんどいしんどい。 便利な世の中。消費社会。 代わりはいくらでもあるよと言われている気分。 皮肉なことに携帯の充電はもう5%。 今日もまた便利な機械に生かされている。

          機械的な何か

          秘密にしておこう

          これは、母のアクセサリーケースを開けた時に起きた出来事。 誰かに言いたいような、秘密にしておきたいような。 開けるたびにワクワクしちゃうよ。 私のつけるアクセサリーは全部、母か祖母のもの。 ずっと大切に身につけられてきたであろうそのアクセサリーたちは、どこに売ってるネックレスよりも素敵で、私のファッションに彩りを与えてくれる。 いいものをずっと身につけていたい。

          秘密にしておこう