思い出した祖母のこと

「すべて忘れてしまうから」というタイトルに惹かれて手に取った文庫。
著者は燃え殻さんというらしく、私はこの文庫で初めて知った。
エッセイは読んでみようと挑戦したことがあるが読了できた試がなく、とくに記憶にも残っていないことが多い。
だからこれも悩んだけど、結果買って良かったと思った。面白い。

その中で祖母の話があって、私も祖母との思い出でも書いてみようと思った次第。
少し遅いけれど、お盆でもあったので。

母方の祖母のことは好きか嫌いかで言えば好きだったし、苦手でもなかった。
共働きの家だったので、祖母宅に預けられたり小学生の頃には父方の祖父母と交代で私の家で帰宅を待っていてくれていた。

「みぃちゃん」と私のことを呼んでくれた。
声は、優しくてのんびりした感じで、たぶん少しだみ声な感じ。
祖父と一緒にずっと畑仕事をしていて、広間でお茶を飲んで、特別なにか話したとかの記憶はない。
よく覚えているのは、私がコーヒーかお茶か、熱い飲み物に手が当たって溢したとき、熱いと泣く私に、玄関にあったアロエを切ってやけどした箇所にそれを当ててくれたこと。
アロエの棘が肌に当たって痛いと思いながらも、ずっと当てていた。
効果は覚えてなくて、ただアロエの棘が痛かったことしか覚えてない。

作っていた黄ニラを新聞紙で束ねて輪ゴムでとめて、その作業をずっとしていたことをよく覚えている。

それから何十年も時が経って、いろいろなことが起こって。
認知症になったり施設入ったり、私のことも自分の娘のことも分からなくなってしまう。語彙が出てこないが、とても悲しく辛いものであった。

祖母が元気だったころの事を、ぼんやりとでも思い出せてよかった。
誰に対しても親切で、損をすることも多々あったらしいけども、そんなことも私みたいにネチネチ気にしない人だったな。


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