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短編小説の練習

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短編小説を練習し始めました。
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#短編小説

雪虫 【掌編】

 おじいちゃんが亡くなった後、おばあちゃんは離れに1人で住んでいた。今なら、息子夫婦と折…

知恵の輪【掌編】

 女医さんが開業した産婦人科に通い始めて10ヶ月になる。ビルの3Fにあって、奥にキッズスペー…

ヒア カムズ ザ サン《Here Comes The Sun》 【掌編】

「原田知世が《Here Comes The Sun》歌ってるの観た? 先週NHKでやってたやつ。伊藤ゴローのア…

ポトフ 【掌編】

 子どもを授かれないと知った日も、私は鍋がコトコトと煮えるのを見守った。だんだん味がしみ…

丈の足りないカーテン

「もしもし、お母さん。今、引っ越し屋さん帰ったわい。」 「そうけ。ちゃんと、ペットボトル…

ネパールのチャイ

孫娘がネパール人と結婚すると聞いたときには、心配しなかったと言えば嘘になる。 ネパールで…

オレンジ色の象

「この象さんも昨日誕生日だったのかな。お鼻に生クリームがついてるみたい」 ──── 街が静まり返り、ぼくの1日が始まる。日が登る前にはお店に戻らないと。 今日のお目当は、いちごパフェだ。パフェパフェパフェ。 どうやら、行きつけのデニーズが、閉店になるらしいのだ。 コロナとはかくも恐ろしい。 ファミレスにまで大打撃を与え、ぼくからパフェを奪おうとしている。 オレンジ色の象は、夜空を飛んでいく。 今日は、代々木駅近くのデニーズまで。
 昼間の、ぼくの仕事は、 ずっと、お店

二瘤駱駝(フタコブラクダ)は暑さに弱い

 砂丘は砂漠ではない。が、一瘤駱駝(ヒトコブラクダ)のレオンは、鳥取砂丘で生まれた。生ま…

ガリガリ君の当たりの棒はちょっとだけ太い。

 「ガリガリ君の当たりの棒はちょっとだけ太い。」  中1の夏だった。部活の中3の先輩が、最…

理科室のメダカ

物心ついた時には、理科室の水槽で1人だった。 1人じゃないか、1匹だった。 理科の授業のとき…

「東京の海も、こなぁに穏やかなんじゃろうか」 体の弱かった彼は、 高校に進学しても、 部活…

恐竜図鑑

テレビのない1Kの部屋。 私ともうすぐ3歳になる娘、2人だけの世界。 私が家で仕事をしている間…

優しさへの、その一歩

一日一日を、 たっぷりと生きて行くより他は無い。 明日のことを思い煩うな。 明日は明日みず…

くまったな〜

 音楽レビューサイトの編集者をするぼくは小太りだ。彼女はいたりいなかったりする。もの好きな人に告白されて、付き合って、フラれる。ふられる理由はよくわからない。ぼくに誠意が足りないのだろう。短歌がマイブームだ。 ●愛らしく「プーさんみたい」とくっついて、あなたすべてを愛してくれた。  小太りの人間には、よくあることだろう。くまっぽいと言われる。嬉しくはない。彼もやはりぼくのフォルムから連想したのだろうか、大学時代の友人に頼まれて、2日前の土曜日、くまの、正確にいうとくまもん