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NISAを始めたきっかけの話

【投資を始めることにしたのでそのきっかけについて話しているだけの雑文】

 2021年秋、郵便局からハガキが届いた。定額貯金が満期を迎えるという通知だった。

 不勉強なもので、定額貯金は10年で満期になるということをこのとき初めて知った。否、恐らく口座開設のときに聞いていたはずなのだが、少なくともこのときまですっかり忘れていた。
 社会人生活も11年目に突入した。10年前の貯金とは恐らく、1年目の冬に余剰資金を貯金したときのものである。学生時代のアルバイトで貯めたお金も含まれていたはずだ。右も左もわからなかった新入社員は、畏れ多くもリフレッシュ休暇なるものを頂戴するような年次になり、ささやかな役職手当を頂けるようにもなった。

 さて、この貯金、どうしたものか。

 もともと面倒くさがりなたちである。できれば預けっぱなしで放っておきたい。ただ、定期預金の利率が悲しいくらいに低いということは痛感していた。10年前の利率がとんでもなく高く見える。
 もう一度定額貯金に預け替えるか。個人年金にするか。悩んでいるうちに、再び郵便局から通知が来た。今度は封書で、リーフレットが入っていた。満期の通知は見ましたか? ――もちろん。続いて資産運用についての簡単な案内。そして目が留まった。

 NISA。

 そうか、その手があったか。

 正直、投資をしようという発想は無かった。資産が減るリスクはなんとしても避けたかった。リスクを分散させるとか、預けていても価値が落ちたら減ったのと同じだとか、解っていても気は進まなかった。

 けれど気が変わっていたのは、郵便局からの通知に記されていた税金を見たからだった。

 利率が低かろうがなんだろうが、10年も預けておけば多少の利子がつく。が、せっかく増やせたその利子から、そこそこの税金が引かれていた。10年前の多少マシな利率だからこそ、余計に目立った。

 ――こんなに引かれてしまうのか。

 それなら投資を試してみても良いかもしれないな、と、漠然と考えた。多少減るリスクがあるかもしれないが、猶予は5年ある。別に全財産というわけでもない。なにより利益が出たら非課税だ。

 ――やってみるか、試しに。

 いろいろ調べて、某ネット証券会社で口座を作ることにした。マイナンバーカードがあれば簡単に開設できた。マイナポイントにつられて作っただけのカードだったが、案外役に立つものである。そういえば、ふるさと納税でも大いに役立った。巧いことできているものである。

 そうはいってもいきなり何万円も預けるのは怖かったので、練習がてら、500円分だけ投資信託を買ってみた。1円か2円ずつ変動する数字を毎日眺めていたら、ある日突然一気に10円も下がった。外国人の新規入国制限措置が発表された日のことだった。なるほど株価変動とはこういうことかとなんとなく納得した。私の500円は、一時480円台まで下がったが、今のところは490円台をうろうろしている。そのうち500円に戻ると良いのだが。

 恥ずかしながら経済用語や経済界の動向には疎かった。だから少し調べた。株式だとか、投資信託だとか。NISAとつみたてNISAの違いだとか。だからどうしたそれくらい常識だと怒られそうなくらいささやかな事柄だったが、知識がついて、見える世界が少し広がるというのは嬉しいものだった。

 さて、準備は整えた。万端とはいかないが、初心者ですとくらいは名乗って良いだろう。

 今度、定額貯金をNISA口座に移しにいく。そうしたらいよいよ、投資初心者の仲間入りである。どうなることか、長い目で見てみるつもりだ。

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