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「時間」について

時間についてのテーマとしたものの、哲学における時間論ではなくて、仏教と科学の時間論についてです。

仏教では、時間を流れとして捉えるのではなくて、映写機のフイルムが上にリールから下のリールへと巻き取られていくとき、一コマずつフィルムがランプの前を通り過ぎることに譬えている。

時間は実在ではなく、そのひとコマが現在にポンっと入ったときに、われわれは「あっ、時間が流れたというふうに捉えるわけです。

つまり 時間 は、 時間 という実体がスムーズに流れるのではなく、コマが未来から現在、現在から過去へと移動する、その変移現象を表しているに過ぎないというのです。

佐々木閑; 宮崎哲弥. ごまかさない仏教―仏・法・僧から問い直す―(新潮選書) (p.218). 新潮社. Kindle 版.

つまり、時間というのは、飛び飛びに移動するというのです。映画のコマの進む速さは、約0.04秒で、この速さですと、人間の眼には、動作が連続として見えるようです。

エネルギーというものについては、無限に細かく分けることができて、連続的なものと考えてきましたが、ミクロの量子世界では、そうではないのです。

ミクロの量子世界では、エネルギーは連続的ではなく、物差しに刻まれた目盛りに上にぽつんぽつんと存在するように、飛び飛びの不連続な値をとるというのです。

高水裕一. 時間は逆戻りするのか 宇宙から量子まで、
可能性のすべて (ブルーバックス) (p.95). 講談社. Kindle 版.

イタリアの理論物理学者ロヴェッリは、時間についても連続ではないと考えている。

じつは 時間 も 無限 に 細かく 分割 できる わけ では なく、 最小 単位 の よう な もの が 飛び飛び に 存在 し ているのではないだろうか

高水裕一. 時間は逆戻りするのか 宇宙から量子まで、
可能性のすべて (ブルーバックス) (p.95). 講談社. Kindle 版.

ロヴェッリは、空間も時間も量子と見なして、ループ量子重力理論を展開している。

重力場 とは、 重力 を 伝える 時空 に ほかなり ませ ん ので、 空間 も 時間 も、 素粒子 で でき て いる という わけ です。 これ が、 ロヴェッリが考えた時空の量子化です。

高水裕一. 時間は逆戻りするのか 宇宙から量子まで、
可能性のすべて (ブルーバックス) (p.176). 講談社. Kindle 版.



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