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『新型コロナ後遺症 完全対策マニュアル』(平畑光一)

著者は渋谷の開業医なのですが、2020年頃から何が原因かわからない患者がやってくるようになったと言います。
他の病院では「心因性」と言われて精神科への受診を勧められたそうですが、どうもそうは見えない。
著者は考えた結果、これは新型コロナ後遺症ではないかと疑い、「コロナ後遺症外来」を設立して1500人以上も診てきたそうです。

新型コロナ後遺症は症状が出ないことが多く、多くの場合は軽い発熱で終わってしまいます。発症する時期も様々でわからないことも多いので、後遺症だと気づくまでに時間がかかってしまうのです。とはいえコロナ後遺症で苦しむ方は多いうえに謎も多い。謎の倦怠感を訴えても「仕事したくないだけでしょ」と言われてしまい、周囲の無理解によってさらに苦しんでしまうといったことも起こります。正しい理解を身につけてほしいという思いから本書が書かれたそうです。

新型コロナ後遺症とは?

新型コロナに感染して回復したあとに、微熱、倦怠感、疲労感、しびれ、息苦しさ、食欲不振、頭痛などの症状を訴える人が各国で報告されています。
アメリカでは回復した270人のうち約35%、フランスでは120人のうち約30%がそのような症状を訴えたそうです。何か考えられる原因がなく、新型コロナウィルスに感染した疑いがある場合は、後遺症を疑うことになります。

とはいえ現時点では後遺症が発症するメカニズムは謎です。それに新型コロナウィルスに感染しても無症状の人がいますが、その人も後遺症を発症することもあるんだそうです。こうなってくると新型コロナウィルスに感染したことも不明なので、ますます原因が分かりにくくなります。
このことから少なくとも一つ言えることがあります。「感染しても無症状がほとんどだから感染しても問題ない」と考えることはよろしくない、ということです。

後遺症の治療法は?

残念ながら特効薬のようなものはありません。患者の症状に合わせた対処療法しかないのです。生活習慣を変えて、疲労感があるなら疲れないようにするとか、咳が出るならそれに効く漢方薬を飲むとか、そんなものです。ここで大事なのは周囲が理解してあげることです。

新型コロナに感染して回復して時間も経ったはずなのに「元気がないのはおかしい」とか言うのはやめましょう、ということです。仮に新型コロナの感染者が減っても後遺症の患者は爆発的に増えてくるだろうと著者は言います。調べれば新型コロナ後遺症外来はありますが、まだまだ数は少ないです。後遺症らしき症状が発症し、いつもの病院にいっても原因不明と言われた、精神科に行け、と言われるかもしれません。繰り返しますが、気づかずに実は新型コロナに感染し回復して、後遺症が発症したのかもしれません。そういうときは一人で苦しまずに新型コロナ後遺症外来を探してみましょう、ということだそうです。

自分は感染すらしてないかもしれませんが、そういう症状の人とも出会うことが今後あると思います。正しい知識を身につけて、無知の暴力を振るわないようにしたいと思いました。


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