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【ミスチル】ファスナー、それは思春期男子のサクラメント

Mr.Childrenの『ファスナー』という曲が好きです。
女の人に「どうしてこの曲が好きなのか信じられない」と言われたことがあるので、本日は好きな理由をお話しします。

今回紹介する『ファスナー』ですが、2002年5月発売のMr.Childrenのアルバム『IT'S A WONDERFUL WORLD』に収録されています。魅力を語る前に当時の時代背景を語る必要があります。

2002年に高校で流行っていた音楽とは?

2002年、私は当時17歳の高校2年生。当時はまだCDが沢山売れていた時代。
CDオリコンランキングもチェックしていないと話題についていけないような空気でした。その当時、高校で流行っている音楽がありました。

それはインディーズバンドの音楽です。モンゴル800とか175Rですね。ハイスタンダードも聴いているとモテるようでした。

当時ひねくれ者だった私は「インディーズバンドが良い」という風潮についていくのが嫌でした。Mr.Childrenも人気あったのですが、メジャーすぎるので「今更好きといってもなあ」という空気もあったようです。

そういう空気感だったわけですが、私の友人A君はミスチルが好きでして、私は『IT'S A WONDERFUL WORLD』を貸してもらったのです。

最初はシングルカットされた曲だけ聞いていたのですが、耳に止まった曲がありました。アンニュイなメロディ、直接ではないものの冒頭から始まる淫靡な歌詞。そのとき私は勘ピュータが反応しました。この曲には何かあると。。

当時の私は直接的で分かりやすい歌詞に食傷気味でした。インディーズバンドの歌詞は愛だの平和だの当たり前すぎるのです。

絶妙な厭世観が一部の人間にズバッと突き刺さる

高校のマジョリティたちのように「インディーズバンドが良い」と言いたくない。「愛だの平和だの」直接的な歌詞には飽き飽きしている。かと言ってメジャーなバンドの曲を今更好きと言ってもなあ。でも読解力が低いから本当に難しい歌詞は分からない。

読解力が低くても「ファスナーを境に本音と建前があるのね」ということでだいたい意味が分かります。だからファスナーはそういう面倒な心境の少年の心にズバっと刺さった曲なのです。歌詞で印象的なのが、ウルトラマンですね。

きっとウルトラマンのそれのように~♪

ウルトラマンは実際のところは気ぐるみだからファスナーを下ろせば人間が出てくる。どうせヒーローなんて居ないという厭世観。
この厭世観がいいんです。ひねくれ者でニヒルになってる思春期のごく一部の男子にメガヒットするんです。

全然難しい例えじゃない所がポイントだと思います。ウルトラマンとか持ってくるところが「やるなあ」と。大人から見れば、大した歌詞じゃないと思います。でも、思春期の一部のちょっとひねくれた男子の心には、確かに響いた。 

自分が大好きなことでも第三者に共感してもらえることがある、でもそれでいい

大人になって歌詞を読み返すと「ちょっと櫻井さん32歳になってこんな歌詞ですか」って思うこともあります。今だと好きにならないと思いますw

当時は17歳です。とてつもなく深い何がある歌詞に思えたんです。その頃の私の読解力は相当低く、直接的な表現は嫌うものの、なんだか分からないけど、難しそうなこと言っているそうな雰囲気に流される奴でした。

多分、クラスに1人か2人ぐらいの傍からみえば変な男子がハマッた。それは多分、私の学校だけでなく全国の学校でそういう人がいたんじゃないかと思います。だから「ファスナーが好きだ」という人はちらほら程度で存在する。そして多分年齢層も、2002年に中学生か高校生ぐらいだった男子。
ミスチルのファスナーは一部の男子に音楽の神秘性において秘跡<サクラメント>を起こしたのです。だからどうしようもないです。今更この曲を嫌いにはなれません。
※「あとアルバム用に収録されたこの曲が好き」っていうも通っぽくて良かったですね。

「どこがいいか分からない」という人も気持ちも分かります。事後の男の気持ちをだらだら語ってるだけですからね。この曲に限らず、自分が好きな曲でも第三者からすれば全然共感してもらえないことってありますよね。

人からの評判悪くても「自分自身に起きたサクラメントだ」と思えば堂々と弁をふるえんじゃないでしょうか。長くなりましたので、この辺りで失礼します。惜しみない経緯と愛をこめてファスナーを…



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