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納涼幽霊映画大会

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ありふれた幽霊

さてさて、小説ばかりでなく、映画にもたくさんの幽霊物語があります

私自身は、日本の幽霊もの(怪談映画)は苦手なんですが、洋画のホラー映画は好きです。

そこで、そうした洋画ホラーのうちでも幽霊を題材にしたものをいくつかご紹介しましょう。

アメリカで有名な幽霊譚といえば「スリーピー・ホロウ」の伝説でしょう。
開拓時代のアメリカにやって来た残虐なドイツ騎士。彼は捕らえられて斬首されたのですが、その後その近辺には首なしの騎士が出没して犠牲者を狩るというもの。作家ワシントン・アーヴィングが小説化したこともあって、けっこう広く知られている怪談です。

1999年にティム・バートン監督、ジョニー・デップ主演で「スリーピー・ホロウ」として映画化されています。

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『ありふれた幽霊』に出現するのは当然ながらイギリスの幽霊ばかりですが、同じように過去の亡霊が襲ってくる話としては「緑のスカーフ」があります。首なし騎士ほどの迫力ある幽霊は現われませんが、優るとも劣らない恐怖が味わえますよ。

西洋の幽霊はわりと特定の家や場所に出現するのですが、それに対して日本の幽霊はけっこう自由にあちこちに出没しますね。特定のスポットに出現する幽霊をわざわざ「地縛霊」と呼ぶ言葉があるくらいですから。イギリスでは、そうした霊が出現する家は不動産価値が高いとかいいますが、本当ですかね。

幽霊が出る建物をあつかった映画といえば、原作も有名な「シャイニング」とか「ヘルハウス」といった名作があげられます。やはり欧米では幽霊屋敷はポピュラーなものなんでしょうか。

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『ありふれた幽霊』でも、「コーナー・コティジ」「屋根裏部屋」「無人の家」などがそうした幽霊屋敷をあつかっています。やはりイギリスは幽霊屋敷の本場ということでしょうか。私は、そんな家には住みたくないですけれどね。

あまり怖くない幽霊映画としては、タイトルもそのものずばりの「ゴースト/ニューヨークの幻」なんてのがあります。死んでしまった男が影ながら恋人を守るロマンティックな物語。こういう幽霊ならば出てきてもらっても歓迎?

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『ありふれた幽霊』に収録した「保護者」もそんな話です。学園に出没する幽霊が守ろうとするものは? こっちはちょっと怖いけど。

じつはこうしたホラー映画に登場する幽霊は、じつはあんまり幽霊らしくないのが多い気がします。

たとえば大ヒット映画「ゴーストバスターズ」に登場する幽霊たちを思い浮かべてみてください。あのミシュランマンとか……ね、どう考えても幽霊というよりはモンスターですよね。

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これはけっこう興味深いことですよ。最初に紹介したスリーピー・ホロウの首なし騎士も、日本ふうに考えたら妖怪とか怪物にカテゴライズされる感じですしね。アメリカの映画人が想像する幽霊のイメージって、ああいったモンスターなんでしょうか。

それに対して『ありふれた幽霊』にはこうした怪物っぽい幽霊はほとんど現われませんが、「保護者」にはそれらしきモンスターが出現します。こんなやつ。

「……昨夜十一時ごろ寝ようとして窓の外を見ると、恐ろしい吐き気を催すような怪物を眼にしたというのです……角のある蛙のようで人間ぐらいの大きさでした。そいつがのそのそと灌木の生け垣に入っていったのだそうです……」(仁賀克雄訳)

怖いですねえ。

じつはこいつ、ほんとは幽霊じゃないんですが、そのへんはご勘弁を(笑)

今回ご紹介した映画はたまたまアメリカの映画ばかりなんですが、こうして見ると、『ありふれた幽霊』のイギリスとかなりの違いがあるのが分かりますね。もちろん日本とも違います。これが文化の違いってことなのか。面白いですねえ。

『ありふれた幽霊』に収録した全15編のあらすじは、こちらからご覧ください。

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