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ふたり旅のつくりかた 晩秋の新潟 日帰り旅② こたえあわせ

大学時代の友人と新潟への日帰りふたり旅。旅のマエ、アト、旅中の余白を中心に書いています。

旅行スケジュールはカンペキに立てました。しかし、旅はその通りにいかないもの。今回も脱線です。

旅支度 日帰りだけど何を持っていく?

移動は車と新幹線。外を歩くのは弥彦神社あたり。最後に温泉に入るから、タオル2本・着替え・化粧水と保湿液を

モンベルのスタッフバッグ(5ℓ)に収納。

東京が位置する太平洋側からすると、日本海側は全く違う個性の土地。天気予報をみると、東京は晴れ、新潟はあいにくの雨。しかも一日中。真冬並みの気温に、一日中雨かあ。

寒さ対策のダウンベストと折りたたみの傘も入れていこう。折りたたみの長靴を入れようかと迷うが、ほとんど外は歩かないだろうと見込んで、札幌で購入した雪道用のショートブーツにする。

こうして書くと、荷造りは「水」に関連することで構成が決まります。

温泉と雨。

旅程こたえあわせ 

さて、当日。おひるごはんの寿司店までは予定どおりでした。迷子になるだろうと見込んでいたロスタイムも、ジャストな読み。

ナビには、「有料道路 回避」の設定をしていたのですが、案内される弥彦神社までの道路が、高速道路っぽい。標識なんかもお馴染みのグリーンの表示で、ナビが示す道路から降りたものの、再び案内されるのは、元の道。どうやら、これは高速ではない、と気づいたのは、3回目に乗ったとき。そんな迷子っぷりも、旅だからこそ。

あとで、すし店のおかみさんに話すと、「あ~、あの道は高速っぽいのよね。私も最初、焦った~~」とのこと。おかみさんは千葉からお嫁に来られていて、太平洋側と日本海側の違いをよくご存じだったのです。

弥彦神社へ

さて、弥彦神社について書いておきます。こちらが本殿。

弥彦神社

越の国 一の宮である弥彦神社について・・・

弥彦神社の神様は、伊夜日子大神(いやひこのおおかみ)御名 天香山命(あまのかごやまのみこと)。高倉下命(たかくらじのみこと)とも言われ、天照大御神の曾孫にあたられるとのこと。

越の国に、漁業、製塩、酒造などの技術をもたらし、稲作・畑作など諸産業の基を築かれました。越の国の礎をつくられた一の宮さまなのですね。

私たちは11月28日に伺ったので、参道脇には空っぽの屋台しかありませんでしたが、11月1日から24日は菊祭りが開催されています。

新潟のレンタカーを出発したときは土砂降りの雨だったのが、弥彦神社では青空でした。さて、次はメーンイベント、すし店へ。

すし大仙で「極み」をいただく

時間通りにすし大仙に到着。店内に入ると、ちょうど、ご主人がわれわれの『極み』を握っているところでした。この段取りのよさ、気持ちいい。

すし大仙についてはこちら  https://www.niigata-daisen.com/

大仙

国道に面しているけど、ちょっと看板が分かりづらいのが隠れ家のようで、穴場っぽいかんじ。手入れが行き届いた庭と玄関が期待を盛り上げます。

駐車スペースは6台分あります。

テーブルに運んでくれた奥さんが、1,5人前だけど、するっと食べちゃいますよー、とのこと。

新潟地元のネタと、ウニ、イクラとトロで10貫。それを、すし醤油と魚醤で提供されるのが、『極み』のお決まり。それに、えきねっとプランだと、イクラ、エビ、白身から一貫選べるオマケつき。お椀はエビが3尾入ってました。

シャリは、関東よりもかなり大きめ。新潟の寿司の特徴だと思う。酢はそれほど強くなく、まろやかな甘さがあるのも特徴かもしれない。

ネタももちろん大きい。トロ、ウニ、イクラ(イクラは店でばらして醤油につけた自家製とのこと)、なんばんエビ、カニ、アオリイカ、ヒラメ、バイ貝、ブリ、のどぐろ炙り、それと、オマケの一皿は白身を選ぶ。ヒラメだったけど、若いヒラメ。一貫に一匹分のヒラメがのっていて、おとなのヒラメとはまた違う、さっぱりした味わいで、同じネタだけど、おとなとこどもの味の違いを楽しめました。

すし大仙さんは、旅行者にとって、居心地がいい。ご主人もおかみさんも気さくで、話が楽しい。店も広くて、清潔でキレイに整えられています。座席から見える中庭も目をいやしてくれる。

カウンターだけの店だと、ちょっと構えてしまうし、大きな店舗だと職人さんとの会話がなさそう。味と、設えと、職人さんとのやりとり、全ての感覚が納得してこそ、いい店だな、と感じるんですね。

料金の支払いは、えきねっとのバウチャー券を渡すだけ。現金の支払いをしないのって、らくちん。支払いって意外とストレスなんだな、と気づかされた。

道の駅 新潟ふるさと村で散財

この後のスケジュールはグダグダになっていきます。まずは女将さんのお薦めで、寿司店の手前の標識にも出ていた、「道の駅 新潟ふるさと村」へ行くことに。すし大仙からは車で5分ほど。建物がばかでかい。

今回の新潟行きで、絶対買おうと決めていたものがあります。11月後半が旬の西洋なし「ル・レクチエ」。

まぼろし~~の洋ナシ~~

この旅行の1週間前に行った、銀座「千疋屋」で、ル・レクチエのパフェが期間限定メニューで掲載されていたのですが、お値段2000円を超えていたため諦めていたのでした。そこに置いてあったル・レクチエのパンフレットをみると、主な産地は新潟であり、旬の時期が短くて、11月下旬から12月いっぱいとのこと。しかも生産量が少ないんだとか。今まさに旬。ぜひ味わいたい。

ふるさと村に入ったところに、農産物コーナーがあって、店頭には、お目当てのル・レクチエが山積みになっているではないか!そのなかで、あれ?傷物なのかな?って思われる3個入りパックが、580円!傷物ではありません。食べごろなのです。ほかにも、贈答用の箱入りもありました。

ネットで調べてみると、ル・レクチエは、1903年に新潟の農家さんがフランスから洋ナシの苗を取り寄せて、新潟で栽培を始めたらしい。1950年ころには、地元の料亭で高級フルーツとして提供され、2019年に原産国フランス オルレアン地方とル・レクチエを介した交流がスタートしたばかりとのこと。

収穫してから40~45日追熟させるのだそうで、その日数がほかの作物よりも長いのと、栽培自体が難しいのとで幻の果物と言われているんだとか。食べごろは、表面の皮が黄色くなり、黒い斑点が出て、実についている茎が黒くその周辺の皮が皺がよっている状態が食べごろ。

相方が、食べごろの兆しを指さしながら、「シミ、シワ。」

まあ、人でいうと、熟年ってやつですね。

それと一緒に和梨も購入。売店コーナーでは、新潟名物「笹団子」が蒸かされてホカホカ状態で並んでいたのをおやつに。さきほど、寿司1,5人前を平らげていたのに、すぐお腹すくよーと、おかみさんが言った通り、難なく胃の中へ。笹団子はお土産でいただきますが、それは冷たいまんまだけど、蒸かすと温かいし、ヨモギの香りが強くなり、餅となかのあんこが交じり合ってねっとりしてうまさが倍増する。これからは、蒸かしていただくことにしよう。

予定外だったふるさと村を出ると時間は14時半。万代島美術館は諦めて、新潟に観光に来たぞーって分かりやすい場所に行こう!と、元斎藤家別邸に向う。こちらは古い豪商の建物と贅をこらした日本庭園と、板の戸に描かれた日本絵画がみどころ。

元斎藤家別邸は紅葉のパノラマ

玄関を入ると、すぐ大広間で、入った途端に、正面に広がる日本庭園に圧倒される。庭園の紅葉がこちらに溢れてきそうなほど。敷地の見取り図をみると、庭園は建物の奥行の3倍ほどありそうで、目の前に迫ってくる竹や紅葉の向うにも庭が広がっているようだった。

日本庭園から見た、元斎藤家別邸外観。

齊藤家別邸

このカメラを設置した、背中側、目で見えない向こうの庭園に存在する木々や石や池が、視界にうつる景色を支えているようだった。紅葉の盛りは1週間前だったろうが、きっと、いつ見ても、今が一番いい時期だと思わせる。

二階からの見ると、同じ庭園でも、目線が上にあがり、木々の上部のみ目に飛び込んでくる。広間には、欄干がめぐらされているが、欄干は影絵のような、額縁の飾りのような、レースの縁取りのような。

こちらが、2階からの景色。庭の葉の部分しか見えない。1階からと2階からとの見え方がぜんぜん違う。

別邸2階

別邸というからには別荘で、本住宅もあるはずだが、ほとんどは失われ、一部は、市内の白山公園に移築されているそう。

元斎藤家別邸の隣は『行形亭』(いきなりや)という老舗の料亭で、この通りは2軒の古い商家が並んでいる、風情のある小路である。小路の入り口には、『地獄極楽小路』という思わせぶりな表札が掲げてあった。

地獄極楽

あとで調べてみたところ、行形亭と元斎藤家別邸が並ぶ側は、黒塀で、こちら側が天国、反対側は、赤いレンガの塀で、中は刑務所だったそうで、こっちが地獄。細い路地を挟んで、料亭と刑務所が向かい合っていたのです。

もう一か所、行けそうだ。『エフスタイル』へと行ってみる。

現代の民藝 エフスタイルへ

エフスタイルは、ここから駅の反対側にあり、ナビでの移動時間は、15分ほど。上越新幹線の線路沿いにある。

ホームぺージはこちら https://www.fstyle-web.net/top.html

こちらはショールーム兼ショップだけど、土曜日と月曜日しか営業していない。今日行かないとたぶん、一生行けないだろう。

静かな住宅街に、ひっそり佇む四角形のコンクリート打ちっぱなしの建物。店内にはいると、壁や柱などの遮るものがなく、ゆったりとした間隔で商品が並べられている。地方都市ならではの余白の多い空間が気持ちいい。

愛知県のショップのキャンバスバッグがお値打ちになっていて、時間ギリギリまで悩む。かなり大きなサイズで、モノを運ぶのに便利そうだけど、そんな出番があるかなーと。。と悩んだあげく、諦めた。友人は、すでにホームぺージでチェックしていたらしく、セーターを購入。東京八王子の佐藤ニットが手掛けている、ホールガーメントの薄いニット。網目がデザインとして表地に出ているのがポイント。手ざわりがよく、気になったけど、今月は洋服買い過ぎているので私は諦めた。ネットでも買えるから、友人が着ているのを見て考えよう。

15時50分にエフスタイルを出て、一路レンタカー屋へ。

途中で絶対に道を間違えてはならない。ナビによると、レンタカーまで20分。そういう時に限って、ナビが血迷い、絶対真逆の方向だよね、っていう道案内をしてくれる。ナビよりもカンを信じて、突っ走り、16時20分に到着。現美新幹線の出発まで10分以上あるので、余裕のはずだが、急ぎモードに入った彼女は止まらない。駆け足で駅に向かう。

駅へは階段だし、構内も広いのだけど・・・

あのー。。余裕だから。ぜんぜん。。。

ランニングで鍛えている体力に追いつかず、早々に諦めて早足で追いかける。すでに姿を見失い、慌てて在来線の改札口に入ろうとしてしまう。新幹線口の改札では、切符を入れ間違うという粗相をしでかす。なかなか追いつけず、ごめん。

旅のきっかけは・・・現美新幹線、だった

新幹線乗り場に出発5分前に到着。すでにアート女子と鉄道男子と、普通の利用者であろう子連れや、大きな荷物をもつじーさま、ばーさまが並んでいる。上越新幹線各駅停車で、湯沢まで1時間ほど。

新幹線外装のラッピングは、どこからどうみても、蜷川実花さんだ。一目見て、誰の作品かわかる、っていうのは、アーティストとして確立されているワケで、それはすごいけど、ワタシを見ろ!感でお腹いっぱい。

車内は全て自由席。キッズスペースはフェリーの二等席のようなフリースペースになっている。ここはアートユニットの作品で、壁面はプラレールの線路をイメージしているそう。白い突起物があっちこっちに張り付けてあり、てっきり餃子だと思っていたら、山を表しているんだそうだ。

餃子

ビデオアートあり、写真あり、だけど、新幹線ホームまで足早に動いた私たちは疲れ切っていた。スケジュールを組んだ時点で、現美新幹線は移動手段と化していたが、もはや、新幹線内では、ほぼ地蔵となる私たち。

車掌さんが、乗客ひとりひとりに記念の絵ハガキを手渡しにきてくれて、一瞬、我にもどる。

予定時間より2分ほどオーバーして湯沢に到着。

のん兵衛なら、駅ナカには、日本酒の飲み比べ、なんていう誘惑があるのですが・・・

へぎそば 食べたい

温泉入る前に食事をしたい。というので、駅構内をぐるっと一周して店を探す。おにぎり、米粉をつかったラーメン、タレカツ、回転すし。お腹が空いている彼女と、まだお腹がこなれていないワタシ。

ふたりが満足できそうなのは、ソバだ。新潟は「へぎそば」といって、ふのりが入ったソバが名物。つるっとしたのど越しで、ウォータースライダーのように胃に収まるのだ。これを天ぷらセットをオーダー。

セットを待っている間に、彼女が温泉浴場をリサーチしに行ってくれる。駅周辺に何か所かあるのだが、施設によっては閉館が早いのだ。

地元人おススメの温泉 神泉の湯

観光案内お薦めは、駅から3キロ離れた神泉の湯。すでにチェックしていた温泉だが、やはりここがお薦めなのか。

こちらは源泉で、明日までぽっかぽかなんだそう。

観光案内でもらった地図には、ネットで引っかからなかった、駅から徒歩圏内の温泉が数か所〇がつけられていた。歩いて近くに行くか、タクシー代を払ってでもちょっと遠いお薦めの湯にするか。

時間の余裕もあったので、神泉の湯へ初志貫徹しましょ、とここにする。

駅から出ると、大粒の雨。タクシーに乗り込むと、あっという間に周囲は真っ暗でどこを走っているのか検討もつかない。3キロっていうけど、なかなかの距離で、タクシー料金は1350円。地図を見ると神立スキー場の近くなのだそう。

神泉の湯 http://www.shinsennoyu.com/

湯沢唯一の源泉かけ流し。飲泉ができます。冬期(12月から3月)は定休なし。20時閉館です。

アルカリ性単純泉で湯の温度は42度と、熱すぎず、適温でじわじわあたたまる感じ。アルカリ性単純泉は美肌の湯ともいわれるんだそうです。湯のかんじはしっとり肌にまとわりつくようでした。先客に3人ほど、私たちのあとからも3人ほど入ってきたので、地元で人気のようです。

買ったら後悔するで

売店では、殻付きのクルミがあったので購入しようとしたところ、地元のおじさんが、「殻が固くて割れんよ」という。

鬼ぐるみの殻が固いのは経験済み。鬼ぐるみ専用のくるみ割りペンチを所有しているから大丈夫、と言ったところ、

「固くて食べられんよ」とまだ仰る。

じゃあ、地元の人はどうやって食べてるの?って聞くと、「・・・湯でるかな」。

さらにクルミを差し出す私に、「え、それ、買うの?」とさらに念押しされて、おじさんは根負けしたように、料金200円を受け取ってくれた。

ちなみに、鬼くるみ用のペンチ『古沢製作所 和くるみ割り器 ほじくるみん付』(アマゾンにて1980円)

https://www.amazon.co.jp/dp/B00AEK5HZ4/

都会からわざわざ来てるのに、こんな固くて食べる実も少ないクルミなんぞ、買わなくてもよかろうに、と思ってくれてのことだった。と思いたい。

帰りは、すっかりみぞれに変わった夜道をタクシーはひた走り、湯沢駅に到着。駅ナカの売店は全てシャッターが下ろされ、何も買えないのは想定どおり。予定より1時間早めに戻れたので、19時半の新幹線自由席に乗ることにする。

帰りの車内で、ワタシが買った和梨を一個と、相方の買った、食用菊と笹団子一個を交換。クルミも持って帰るか聞いたら、静かに首を横に振られてしまった。

東京駅に着くと新潟と同じように冷え冷えとした空気だったが、体はほかほかのまんま。来週あたり、反省会をしよう!と約束して別れたのでした。

さらに、旅の余韻は続く・・・








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