読書の記録〜自負と偏見(または高慢と偏見)
娘が高校生になった時、ぼちぼちこういうのも読むかなあと買ってみたジェイン・オースティン「自負と偏見」。ちなみに「風と共に去りぬ」も全巻そろえたのだが、娘は未だに「転生したら○○」みたいなラノベから卒業してこない。
積んでおくのももったいないので私がせっせと読んでいるのだが、これが思っていたより楽しい。最初はどんな話か聞かれても困らないように…くらいのつもりだったのがすっかりハマってしまった。ちなみに自分が高校生の時に読んだのは「高慢と偏見」のほうだった。
18世紀のイギリスの田舎を舞台にした若い男女の恋物語。初めは噛み合わなかった二人がさまざまな人に揉まれ流され、自分の気持ちに正直になった後に結ばれる。
このストーリーが後世の映画や小説やドラマに与えた影響を考えると、田舎暮らしかつライター教育を受けたわけでもないジェイン・オースティンの凄さがじわじわと伝わってくる(時間は有り余るほどあっただろうけど)。日常を緻密に観察・記録し組み合わせることで、ここまで完成度が高い小説を手書きで書いたとは。
田舎の日常が舞台なので、ドラマチックな展開も少ないし泣けるような場面や名言もない。最近の書店の店頭に並べるとしたら、POPや帯に入れる言葉に困るだろう。あえて付けるなら「恋愛小説の原点」とか?(売れなさそうだなあ)。
編集者のサポートやマーケティングの知識から離れていたからこそ、人種や社会や時代が変化しても人の心を打つ普遍性が生まれたのかもしれない。
「古くさい恋愛小説なんじゃないの」と偏見に囚われて未読の方がいたら、再考を強くおすすめしたい。恋愛ほど人間をくっきり描ける素材はないのだ、と改めて思い知らされる一冊だった。
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