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スポーツ写真を始めよう<2>:どれくらいの望遠レンズが必要?

 前回はカメラ趣味のとっての「理想」であるフラッグシップ機について話しました。

 しかし、カメラボディに見合うレンズを買うとなると合計で予算も100万を軽く超えます。また、満員のスタンドでも使える、ということを前提にすると、レンズが大きすぎておよそ現実的な選択肢ではありません。

やはり300mmは必要

 スポーツ写真を一般ファンが撮ろうとする場合の最初にして最大の問題は、「座席を自由に選べるわけではない」「基本的に座席から動けない」ということです。機材を考える上でも、まずそこをスタートにする必要があります。これは具体的にはどういうことかというと、それなりの望遠レンズが必要になると言うことです。

 ではどれくらいの望遠レンズが必要でしょうか。結論から言うと、300mmは必要です。日本の多くのスタジアムには陸上トラックがついてます。その分距離が離れているので、300mmより短いレンズでは足りないケースが多いです。

 これはラグビーワールドカップ。東京スタジアムにて。1階席24列から。トリミングをするとこれくらい。

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 トリミングしないで300mmだとここまで小さくなります。

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300mmでも長すぎる時もある。なのでズームがベター

 逆に、300mmだとちょっと長すぎる状況があるのは、ピッチサイドシートのような特殊なシートで、間近にいる選手を撮る場合です。

 これは等々力のピッチサイドシートから(APS-Cなので450mm相当の画角ですが(後述))。タッチライン際に立つ選手は近くなりすぎ、ここまで大きくなってしまいます。顔とボールの両方は入りません(笑)。

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また、秩父宮のように陸上トラックがないスタジアムの場合は、前の方の席だったりすると300mmでは長すぎる場面が頻発します。これは18列目から。ノートリミングでこの大きさです。10列目くらいだと収まらなかったでしょう。

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 そういったことを考えると、レンズとしておすすめするのは70-300mmの望遠ズームです。このクラスの望遠ズームは、望遠レンズの入門用に各社リーズナブルな値段でラインアップされています。(といいながら私は300mmの望遠単焦点を使っています。単焦点には「明るい」という利点があるので。このあたりもまた回を改めて話します)

センサーサイズは?:スポーツ写真ならAPS-Cが最適

 もう一つ考えておきたいのは、カメラ本体のセンサーサイズです。実は、レンズ交換式カメラは、いくつかのセンサーサイズがあります。スポーツ写真の点から言えば、「フルサイズ」「APS-C」「マイクロフォーサーズ」の3つが選択肢になります。

 いろいろ違いはありますが、スポーツ写真の点から言うと重要なのは画角です(もう一つ重要な違いはボケなのですが、スポーツ写真ではほぼ関係ないので捨象します)。画角というのは、視野の角度です。小さければ小さいほど望遠効果が高いということになります。

 例えば焦点距離が300mmのレンズがあったとしましょう。フルサイズはそのまま「フルサイズ300mm相当」の画角になります。APS-Cの場合はそれが1.5倍の450mm相当、マイクロフォーサーズの場合は2倍の600mm相当になります。

 スポーツ写真では望遠レンズが必須だとすれば、マイクロフォーサーズが一番いいのでは?と思われるかもしれません。

   しかし話はそれほど単純ではないのです。画素数が同じだった場合、センサーサイズが小さくなると1画素あたりの大きさが小さくなります。なので、ナイター競技のような暗い環境だと、センサーサイズが小さい方が不利になるのです。また、マイクロフォーサーズは「ミラーレス」ですが、スポーツのような動体撮影には一眼レフのオートフォーカスの方が一般的に精度が高いです。

 というわけで、スポーツ撮影に必要な望遠効果と画素数のバランスから言うと、APS-Cの一眼レフ(ミラーレスではなく)がベストの選択だと私は考えています(ただし、満員のスタンドでの撮影もあり得るスポーツ写真の場合、マイクロフォーサーズのコンパクトさは軽視できません。マイクロフォーサーズにはサイズの利点があることは確かです。ニコンとキヤノンからは出ていませんが)。

 と、ここまで論点を整理してきたところで(2回もかかってしまいましたね)、次回からおすすめ機種の紹介に入ります。自分が使っているのがニコンなのであくまでニコンの場合、です。

(続く)




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