ハーフスペースの使い方:2019年バージョンフロンターレ
去年は可変型4-2-3-1
今年のフロンターレは4-3-3のフォーメーションを取っている。けれど、去年までは4-2-3-1だった。
ただ、去年も、マイボールになるとボランチの1人が最終ラインに落ちて3バックになり、サイドバックがウイングポジションまで上がる。なので、マイボール時は3-4-3みたいな形になっていた。
1999年ルヴァンカップ、対アントラーズ戦
ちょうど10月9日のルヴァンカップ対アントラーズ戦に行ったとき、フォーメーションを横から撮りやすい席だったからいくつか写真を撮ってみた。(あの日は昼間、熊谷でラグビーワールドカップのアメリカ対アルゼンチン戦があったので、熊谷でラグビー見てから湘南ラインで武蔵小杉まで行ってサッカー見たんだよな~)
これがユアボールの時のフォーメーション。前線はちょっと乱れているけどきれいな4-2-3-1なのがわかる。
続いて、マイボールになってボランチが最終ラインに入る時のフォーメーション変化。ボランチはまだ落ちきってないけれどサイドバックは既に上がっている。
これがマイボール時のフォーメーション完成形。ウイングは基本ハーフスペースで、サイドバックがサイドを上がる。
これはバリエーション。ボールは右サイドにあるけれど、左サイドではウイングの長谷川竜也がサイドに張っていて、サイドバックの登里はハーフスペースにいる。
ハーフスペースのメリットは?
このいくつかの写真をよく見てみると、ハーフスペースというレーンを意図的に使うことのメリットがはっきりする。ハーフスペースにボールホルダーがいる場合、パスの選択肢はサイドとセンターの2つの方向にできる。なのでプレスを受けたとしてもボールを逃がせる可能性が増える。
2019年バージョンのフロンターレの場合、前線の選手が同じレーンに入って縦パスを受ける態勢になるのもよく見られた。この場合はパスコースは3つになる。なのでプレスに来てもどこかが空く。
縦レーンを使って隣のレーンへのパスコースを空ける
実際の2019年10月9日のアントラーズ戦でのケース。先ほども上げた写真だけれど、これをレーンを切って見てみる。
ボランチが落ちてきて3バックになった最終ラインの右に入った谷口彰悟と同じレーンに家長昭博。右サイドには馬渡和彰、センターにはボランチ2枚(下田北斗、脇坂泰斗)がパスを受けられる態勢。
このとき、家長は自分への直接のマーカー2人と、パスコースを塞ぐディフェンダー1人、合計で3人を自分1人で拘束している。その結果、右サイドの馬渡とボランチのいずれかにきれいなパスコースが空いている。もし家長がサイドのレーンやセンターのレーンにいたら、こんな形ではパスコースは空かない。
結局、フロンターレのパスサッカーというのは、「蹴る、止める」という技術に加え、立つ位置の的確さから来ているということが、この1枚からよくわかると思う。
後はこの試合で撮った写真。この日はシャッタースピード落として流し撮り、というのがマイテーマだった。