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自分的サッカー撮影メソッド紹介(2):試合前の5つの設定

前回は機材とかレタッチソフトについて書きました。

今回はスタジアムで試合前に行う撮影設定を書きます。いろいろ設定すべき項目がありますが、まずは5つの項目について。

RAWかJPEGか

まず、メーカー、機種に関わらずデジタル一眼で最初に決めなければいけないことが、RAWで撮るかJPEGにするかです。

RAWとは、画像としての生データがすべて含まれているデータで、レタッチを前提に撮るならばこちらの方がいいというものです。

ただこのままでは画像データにならないので、現像ソフトを使ってレタッチ後にJPEGなどにコンバートする必要があります。JPEGは言うまでもなくそのまま使える画像データです。

自分は、風景とかポートレート撮るときにはRAWで撮りますが、スポーツ写真の時はJPEGにします。まず枚数が段違いに多くなるのでいちいち丁寧にレタッチしていられないのと、夜間の高速シャッターでの撮影でどうしてもISOが高くなるからです。


ISOが高くなると高感度ノイズが乗ります。このノイズ、Lightroomなどのレタッチ・現像ソフトのノイズリダクション機能で消せるのですが、JPEGで撮影するとカメラ側で消してくれます。ISOが高くなりすぎると、消しすぎていわゆる「塗り絵」っぽくなることもあるのですが。

ニコンの場合、このカメラ側でのノイズリダクションが結構優秀なんです。いろいろ試してみましたが、Lightroomで後処理するより、撮影の段階でJPEGにして出力させる方がきれいに消えることがわかりました。

もちろん、RAWとJPEGと同時撮影することもできますが、そうなるとデータ量が多くなり連写可能時間に影響する可能性があります(XQDカードを使っていれば大丈夫だが、自分は高速のSDカードを使っているので)。というわけで、JPEGのみで撮影しています。

ピクチャーコントロール

JPEGで出力させる場合、カメラのピクチャーコントロールという機能であらかじめ画像の方向性を設定させることができます。例えば「ポートレート」だとやや柔らかい雰囲気、「ビビッド」だとコントラスト高めの画像を出力してくれます。

逆に言うと、JPEGで撮る場合、撮影する側が、どのような仕上げにしたいかをあらかじめ考えておく必要があるわけです(RAWだけで撮るならピクチャーコントロールの設定は不要。RAW現像時にすべての設定を自分で決める)。

自分は、スポーツ撮影用にオリジナルのピクチャーコントロールを設定してあります。ちょっとくっきり写る「風景」をベースに、〔明瞭度〕という設定項目を上げて、選手がよりクリアな感じで写るようにしています。

露出の基本設定をどうするか

写真の露出(=明るさ)を決める要素は、シャッター速度、絞り、感度(ISO)の3つです。この3つの変数をいじりながら、最適な設定を導き出していくのが撮影の時にはとても重要です。

ただスポーツ撮影の場合、流し撮りとかするのでなければ、シャッター速度はかなり高速に設定しなければなりません。優先されるのはシャッター速度なので、絞りは基本一番明るい数字に設定し、ISOは自動設定にします。

そしてシャッター速度ですが、自分の場合は、基本は1/1000秒、できれば1/1250秒にします。こうするとだいたいのプレーはきちんと止めて撮ることができます。

ただ、それでもキックした瞬間のスパイクはぶれます。これはフロンターレ対サンフレッチェ戦での田中碧の先制ゴールで、なぜか1/2000秒の設定で撮ったものですが、それでもスパイクの先端とボールはぶれています。ただ、多少ぶれててもそれはそれで動感表現になります

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露出補正は?

もう一つ、露出補正をどうするかを考えなければ行けません。露出補正は、カメラが算出した最適値そのままで撮影するのではなく、撮影者の意図に応じてプラスマイナスするためのものです。

サッカーのナイター撮影を行うときの露出で難しいのは、アウェイのチームのユニフォームが白いことが多いことです。背景が芝生だからだと思うのですが、白いユニフォームが明るく写りすぎることが多いです。

これはフロンターレ対セレッソ戦でのデフォルト。白いユニフォームがとても明るく写っていて、白飛びしそうになってます。

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特に、この試合がそうですが、フロンターレの2020年限定ユニフォームの時にように、片方のチームが黒く、片方のチームが白くなるとどうしても露出が難しくなってしまいます。これはレタッチソフトでハイライトを下げると、白のユニフォームをきれいに出すことができます。

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だったら最初から、ということで、撮影時に、-0.3ないし-0.7、つまり少し暗めに露出補正をかけることにしています。そうするとISOを下げることができるので、高感度ノイズを減らすこともできます。

もちろん心持ち暗めになりますが、高感度ノイズを消すより、暗めの絵をレタッチで持ち上げる方がきれいに仕上がるからです。このあたりは試合中に適宜ヒストグラムを確認する必要があります。

ホワイトバランス

もう一つ設定しなければならないのがホワイトバランス。基本的にはオートでいいのですが、全体が芝の緑なので、特に緑色のユニフォームのチームが出てくるときは、全体が緑に転んでしまうことが多いようです。

これは相手のユニフォームが緑色のベルマーレ戦で、ホワイトバランスオートで取ったものをそのままアップしてみました。

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これはLightroom使ってボールの白に合わせてホワイトバランスを補正したもの。

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上の色の方がちょっとべったりした感じですね。下の絵の方がクールな感じ(色温度が低い)で、ベルマーレのユニフォームの黄緑色はよりきれいに出てます。

自分はこれはLightroom使って撮影後に補正しますが、それがめんどくさかったら、ゴールポストとかを使って、あらかじめマニュアルでホワイトの設定をしておく必要があります。

試合前の設定だけで2000字近くなってしまいました。試合中・試合後についてはまた日を改めて。


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