見出し画像

天理。見事な準備。:ラグビー大学選手権決勝 早稲田対天理<1>(1月11日)

 早稲田大学対天理大学の対決となったラグビー大学選手権決勝は、55-28で天理大学が勝利し、初優勝を遂げた。

画像14

画像15

 予想外の大差、というべきか、難しいところだ。

 私は「矛」と「矛」の対決でハイスコアの試合になるとは思っていたので、「予想外」だったのは天理が55点取ったことではなく、早稲田が28点しか取れなかったことだ。

 28点「しか」と言っても、4トライだからリーグ戦ではボーナスポイントが獲得できるわけだし、明治が2トライしか取れなかったことを思えば十分な攻撃力を発揮できたわけだが。

プレビューの答え合わせ

 まずはプレビューで上げた注目点の答え合わせをしてみよう。

 プレビューで整理したポイントは、(1)テリトリーキック、(2)フィフィタのディフェンス、(3)縦と横を組み合わせた天理の攻撃、(4)天理のラインアウトだった。

テリトリーキックを有効に使ったのは天理

 まず、テリトリーキックだが、有効に使ったのは天理だった。

 特にキックオフの時、早稲田フルバック河瀬に捕らせるように蹴り返す。対抗戦では、河瀬が捕ったテリトリーキックは確実にカウンターでゲインされ、元の位置まで戻されることが多かった。

 しかし天理は、河瀬のランのコースにロックなどフォワードを当て、確実に止めにかかった。しかも止めるだけでなくてラックで激しくファイトしてボールを奪った。

画像1

詳細は第二回以降で見てみようと思う。

飛び出してこなかったフィフィタ

 フィフィタのディフェンスは、飛び出してしまう悪癖があるのだが、この日に限って言えば両脇のディフェンダーとの位置関係をほとんど崩さなかった。

画像7

 そのため、フィフィタのギャップを狙った攻撃は無意味だった。ただ、きれいにオープンにライン展開できる状況がそもそも少なく、フィフィタがギャップを作っていたとしてもそこを狙える状況自体がほとんどなかった。


早稲田ディフェンスを翻弄した天理の攻撃

 天理の攻撃は、スクラムハーフから真横にパスを受けるフォワードの縦攻撃、ブレイクダウンから少し離れた位置に立つスタンドオフから浅いパスを受けて外側の縦を突く攻撃、あとフィフィタをスタンドオフポジションに立たせる攻撃がある。

画像10

画像11

画像12

 明治はこの攻撃に対処できず、41点を奪われた。

 これだけの攻撃パターンを明治戦で見せていたので、早稲田はきちんと分析することができたはずで、一定の対処を見せるのではないかと思っていたが、全く対応できていなかった。特にスタンドオフからの攻撃で、フォワードがバックスを突くミスマッチを作られたり、ダブルラインを上手く使ってマークをずらされたりしてしまっていた。

画像4

画像3

画像2

 完全に明治がやられたのと同じパターンだ。これは既に詳しく分析している専門家がいるのだが、写真も交えながら私も次回以降に詳しく見てみようと思う。

見事な天理のラインアウト

 天理の弱点はラインアウトだったわけだが、明治戦と比べても見違えるほど修正されていた。

画像5

画像6

 むしろシーズンを通じて不安定なスローイングが顕在化してしまったのは早稲田だった。

早稲田、ミス続発

 天理がラインアウトを取れれば、40点以上取れるのは確かだと思っていた。なので早稲田が勝つとしたら、それ以上の点を取るしかない。

 しかし、ミスの続発がそれを阻んだ。ノットストレート2回、キックオフをミスしてのタッチ1回、マイボールのスクラムからボールがこぼれて失ったトライ1回、マイボールのラックでターンオーバーされてそのままゲインされたのが3回、最後のプレーがそうであったようにいくつかのハンドリングエラー。

画像8

画像9

 これだけミスすれば相手がどこであれ勝てない。むしろよく4トライ取ったと言うべきなのかもしれず、それはそれで今年の早稲田の攻撃力の高さを表しているのだろうが。

画像13

 点差は開いたが面白い試合ではあった。次回から何回かに分けて分析をしていきたい。

(続く)






この記事が参加している募集