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大学教員になりたい人へ Vol.3 ー非常勤講師になるにはー

大学院生、特に博士後期課程に在籍する院生からよく相談されるのは非常勤講師になるにはどうすれば良いですか?というものです。
相談する気持ちはよく分かります。私も当時そう思っていました。でも、最適解を教えてくれる人はあまりいません。ここでは最適解とはいえないと思いますが少しでもそんな方々のために書いてみようと思います。


非常勤講師って何?

今回のテーマとなる非常勤講師は「兼任教員」というのが正式な名称でほかにも嘱託講師などと呼ばれる職業になります。今回のnoteを読まれる方は非常勤講師が何かをご存知な方が多いと思いますが、他大学等において専任教員として所属している者や、他の職に従事している者が非常勤として授業を担当する者になります。他の大学の先生や他の仕事をしている先生が担当しているということが建前です。
学校教育法に定められている大学教員の基本的配置は「教授→准教授→助教」であり、この中には含まれていません。大学によっては「教授→准教授→専任講師→助教」という職位の場合もありますが、この専任講師と非常勤講師は同列の職位ではありません。
また、専任教員は学務や委員会などを担当しますが非常勤講師はそういった担当がなく授業を担当するだけになりますが、1コマ担当し1ヶ月おおよそ2万円〜3万円程度が報酬になります。この価格が適切なのかは議論の余地があるところですが、学生目線で考えれば、割の良いバイトに思えるかもですね。もちろん、授業の準備にかける時間がどれだけ増えても報酬は増えません。ですので、割は良くないと思う先生方は多いと思います。
基幹教員という制度も2022年から導入されていますが2024年5月時点でその話をするとややこしくなるので今回は触れません。

非常勤講師になりたいという需要

なぜ、非常勤講師をやりたくなるのでしょうか。やらねばと考えるのでしょうか。理由はたくさんあると思うのですが、大雑把にはこのような感じでしょうか。

  1. 教育目的(大学院でのこれまでの研究成果やこれまでの人生キャリアで得たものを学生たちに伝えたい等)

  2. 教歴目的(専任教員になるために教歴が必要であり、非常勤講師になりたい等)

  3. 肩書目的(大学教員という肩書を持つことで社会的信用を高めたい等)

  4. 金銭目的(アルバイトの一つとして非常勤講師になりたい等)

  5. その他(他の院生もしているのでやりたい等)

私の場合、博士後期課程在籍時(教職員になるまで)は特に「2.教歴目的」で非常勤講師になりたかったです。
大学教員になろうと考えだした頃から求人サイト(JREC-IN等)で応募における必要要件を調べはじめたわけですが、一部の公募では教歴があること(非常勤講師でも可)が求められると知るわけです。ですので教歴がつくまでは公募を探す際には教歴を求められないものを探しましたし、教歴が必要と書いてあると悔しい思いもしました。
早く教歴が欲しかったな、あの頃は。

どうしたら非常勤講師になれるのか

簡単にいえば、求人サイトに出た非常勤講師の公募に出せば良いのです。ですので、専門に合致し、通うことが可能でかつ大学・短大・高専等の非常勤講師の公募が出たときは積極的に応募しましょう。それが正攻法です。このnoteを読んでいただいた方々が良い形で非常勤講師に決まることを願っています。少なくとも10年前と比べれば、非常勤講師の公募は多くなってきたと思います。定期的に求人サイトを確認することが何よりも大切だと私は思います。
ただ、この公募での非常勤講師の募集はイメージしているよりも少ないかもしれません。少なくとも専任教員の募集よりも少ないです。世の中に非常勤講師がたくさんいるのになぜだ?と思う方もいるでしょう。
それは、正攻法以外でなる方々が多いから公募にあまり出てこないのです。
非常勤講師の多くは「非公募」で決まっていることが多く、担当者が専任教員になったり、別の就職をしない限り辞める人が少ないです。
ですので、非公募の枠で採用してもらうのが近道になります。
どうしたら非常勤講師になれるのかといっているのに非公募とは役に立たないnoteだなとお思いでしょう。ですので、非公募枠に入れてもらうにはどうしたらいいのかを少し書いておきます。

  1. とにかく、非常勤講師をやりたいことをアピールする

  2. 学会発表をする

  3. 論文投稿をする

  4. 非常勤講師の公募に応募する

  5. 雑用を頑張る

  6. 非常勤講師をしている先輩の専任教員への就職を願う

まずは、1〜4についてです。私は何よりも、非常勤講師をしたい(大学の教員になりたい)ことをアピールすることが大切と思っています。あの人「できる内容の授業なら何でもやります」とアピールしていたなと思ってもらいましょう。非常勤講師を探さなければと思った時(もちろん、専任教員もですが)に声をかける上位に入れてもらうことが重要なのです。
ですから、アピールの機会を増やすためにも、研究の中身を知ってもらうためにも学会発表も論文投稿もすることが重要になります。名前を売ることは仕事を探す上で重要です。非常勤講師の公募に応募することもアピールになります。その時には採用されなくても次年度に非公募でお話をいただくなんてこともあります。そういう業界です。
もちろん、私もずっとアピールしてきました。今もアピールしていますので、私にも非常勤講師の話、専任教員のスカウトの話、論文や講演依頼の話、委員就任の話、何でもお待ちしております。よろしければ、お願いします。
5〜6についてです。これは周りに人にあの人を何とかしてあげようと思ってもらう方法です。可愛げのある後輩等に教歴をつけてあげたいな、いつもみんなのために頑張っている人を何とかしてあげたいと思うのは人間として当たり前にある心です。お金に困っていそうだからアルバイトの一環として非常勤講師の依頼をしようと思ってくださる人もいるでしょう。今いる場所から離れた場所の専任教員に採用されたから、この非常勤講師の枠をあの後輩に譲ってあげようなんて話もあります。ですが、これは狙ってするものではありません。狙っても大概魂胆はバレるので、色んなことに対して真面目に誠実に取り組むことが大切と思っていただければ良いです。

非常勤講師にならなくても専任教員になれる

多くの公募を見れば分かることですが非常勤講師をしたことが無くても専任教員になることは可能です。私自身がそうでした。採用いただいた大学以外にも面接に呼んでいただいているので研究歴が短いうちは教歴を意識し過ぎなくて良いと思っています。
何であの人が非常勤講師をしているのだろうかなどと思わず、研究を頑張り、あなたのところに話がくる時を待つのがきっと精神状況的にも良いと思います。頑張っていれば、きっと話は来ますので。
このnoteを読んでくださったみなさんに良き非常勤講師の話があることを願っています。

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