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大学教員になりたい人へ Vol.1

みなさん、こんにちは。小辻寿規です。
大学で授業を担当するようになって約10年が経過しました。気づけば若手教員とはいえないような年齢になってきました。
この間、後輩や色々な場所で知り合った方から大学教員になりたいのですがどうすれば良いのか?とよく聞かれます。
正直言って個人的には関西弁でいう「知らんがな」の領域です。それぞれ分野も違うし「こうすればなれますよ。」なんて言ってもなれないこともある。責任なんて私は持てません。
とはいえ、どうしたらなれるのかという話はあまり有名なものではありません。偉い先生などに聞くと「良い研究をすればなれる。」とおっしゃったりします。まあ、それは正解なのだけど、じゃあそれで終わりというのも寂しいし、せっかくなりたいという希望を持たれている方々がこのnoteに辿り着いてくれたのだと思うのでも普遍的な話をここではします。
まだ、大学教員になっていない方向けのものになります。

とりあえず、大学院へ行け

「先生、どうしたら大学の先生になれますか?」そう聞かれた時の私の回答は「とりあえず、大学院へ行け」です。
大学院のことをあまりご存じない方向けに簡単に説明すると大学での学びを基盤に専門的に研究する場所です。詳しくは調べてもらえれば良いのだけど、研究者の育成をする大学院と、高度専門職業人の育成をする専門職大学院に分けられます。この研究者育成の大学院には修士課程(博士前期課程)博士課程(博士後期課程)があります。
まずは修士課程もしくは専門職大学院に進学して修了(卒業)してください。修士号を取得すること、話はそこからです。
つぎに博士課程に進学しましょう。これで一応、大学教員になる準備は一応完了です。

大学教員になる資格は?

実は日本において大学教員になるには資格は要りません。大学がOKを出せば誰でもなれます。高卒で大学に入学していないよという人も。もちろん、中卒の人もなれます。
実際には特定の分野で素晴らしい業績があることが必要になります。簡単にいうと映画の名監督とか文豪とか超大物政治家とかそんなイメージです。とりあえず、中卒や高卒で大学教員になる場合には大学からオファーがきます。今、オファーがきていないよという人はとりあえず修士号を取得しましょう。

どんな教員になりたいのか?

大学教員になりたいと思った時、教授だとか准教授だとかそういった職位が思い浮かぶ人も多いと思います。これらの職位は研究業績や年齢等が加味され決定するものなので詳しくは記載しません。大学の業界に入っていけば分かることだし、今回は大学教員になるための話を書いているので割愛します。
では「どんな教員になりたいのか?」というのはどんな意味か。常勤職が良いのか、非常勤職が良いのかという意味です。
常勤職は基本的に大学での仕事を主な収入を得ています。筆者もこれに該当します。教授准教授のほかに専任講師助教という職位もあります。授業(講義や演習)をするという意味では博士研究員(ポスドク)も担う機会もありますから常勤職で教員業をしたいと思うならこれらの職を目指していく必要性があります。
非常勤職は非常勤講師(嘱託講師等も同意義)と呼ばれます。こちらは他の仕事と掛け持ちする方がほとんどです。他大学で常勤職に就いている教員が担う場合もあれば、企業や行政、団体等の職員に就いている方が担う場合もあります。そのほかにも非常勤講師を複数の大学で兼務し、非常勤講師業で生計を立てている専業非常勤講師とよばれる教員たちもいます。
研究に一定の時間を割きながら大学教員になりたい場合は常勤職を目指すべきだし、他の仕事をしなながらその知見を学生たちに伝えたい場合は非常勤職を目指すべきだと私は考えています。

得意とする学問分野の教員ポストのニーズを知る

大学教員になることを目指すことを決めたら自分が得意とする(研究をおこなっている)分野の教員ポストのニーズを調べてみましょう。国立研究開発法人科学技術振興機構が提供するJREC-IN Portalで調べてみるのが良いです。ここで求人公募情報を検索すると教えたいと考えている分野に対する大学からのニーズが見えてきます。季節によっても募集内容が変わってくるので、できれば1年くらいの期間を使って月に1回で良いのでみてみましょう。
当該分野で応募資格の傾向もみえてきます。博士号を持っていることが必須であるとか、論文を○本以上書いている必要があるとか、資格を持っている必要があるとかが分かると思います。
ニーズを知ると今の自分に足りないことは何かを知ることができますし、大学教員になるための戦略を立てやすくなります。
これを知らずに博士論文を提出する時期になってから就職を考え出すと大変なことになります。博士号を取ったのに自分の分野で大学教員になるには別の持っていない資格もいるなんて状態は避けましょう。

とりあえず、教員公募に応募する

博士課程に入学すれば、研究をしながらJREC-IN Portalの情報を入手する日々になると思いますが自分が応募できる教員の公募を見つければ、指導教員に相談した上でOKが出れば、基本的には応募するべきです。
今の自分が出したって受かるはずがないと思うことももちろんあるでしょう。せっかく何日もかけて応募資料をつくっても受からなければ、その時間を研究や他のことに使った方が有意義であったと思うかもしれません。
しかし、採用されなくともあなたがつくった履歴書志望理由書等は残ります。これからのチャレンジの際に少なくとも履歴書としてまとめたもののデータは使えます。
もし、面接まで進めていたとすれば、大学教員の採用に関する面接を受けた経験はあなたのものです。きっと次回に生かすことができるでしょう。私自身、初めて大学教員の公募に出した際には幸運にも面接に呼ばれました。その際は採用とはなりませんでしたが、それ以後の面接に経験を生かすことができました。ぜひ、応募してみてください。

大まかな話として今回は書いてみました。また、聞きたいことなどありましあたら問題ない範囲で書いていきますのでご意見ください。

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