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J2リーグ 第24節 レノファ山口FC vs ファジアーノ岡山 感想

2021年シーズンのレノファ山口の24試合目、ファジアーノ岡山との試合は0-1で敗戦となりました。今回はその試合の感想です。


試合の入りこそ惜しいシーンを作ったものの…

中断明け初戦、山口のスタメンには新加入の大槻が加わりましたが、それ以外のメンバーやシステムには大きな変更はありませんでした。キックオフすぐの時間帯は、大槻へのロングボールを使いながら試合に入っていきました。立ち上がり15分程は、相手の岡山も山口の入りを伺うような形で中盤で待ち構える形も多くありました。

その中で最終ラインからの前進で良いシーンが2つありました。3分のシーンと9分〜10分にかけてのシーンです。構える岡山に対して先手を取ったポジショニングからライン間を通過する縦パスが入るプレーで、非常に良い入りができたように見えました。

しかし、時間とともに岡山も前線から奪いに来るようなプレスが見られるようになり、プレッシャーを感じたのか、ビジョンは良いのだけれども繋がらないというシーンも増えていくようになりました(33分や38分、39分のシーンなど)。そして、岡山のロングボールを駆使した攻撃に対し、1トップの高井の走力による陣地回復が精一杯となっていき、チャンスらしいチャンスを作ることができない前半となりました。

前半終了間際には、縦パスをカットされカウンターから決定機を作られてしまいました。ここは関のビックセーブで何とか凌ぎスコアレスのまま折り返しました。


続く自陣でのプレーと一瞬を的確に咎めた先制点

後半立ち上がりは岡山に押し込まれる時間となりました。自陣でのビルドアップを阻害されミスが発生したり、良いプレスで相手をサイドに追いやったもののそこで奪いきれず局面をひっくり返されたり(50分)などもありましたが、気になったのはスローイン周りの攻防でした。相手のスローイン時だけではなく自分たちのスローインからも岡山のボールとなりチャンスを作られるシーンが何回か見られました。せっかく自陣でボールを奪ってスローインを獲得したにも関わらず、スローインからボールを奪われてそのまま攻め込まれるということになってしまっては、なかなか自分たちの流れにはできません。

47分や60分、67分や69分などでスローイン周りの攻防から岡山が攻め込む場面がありました。この辺りの細かい部分で岡山が優位に立っていたことも、見過ごすことはできないなと感じました。

この試合唯一の得点は75分の岡山のビルドアップから始まりました。最終ラインでボールを持った岡山に対し、山口は63分のシーンと同じようなイメージで真ん中を締めてサイドへ誘導するような姿勢を見せていたと思います。前線の3人はアクションを起こしてボールを奪いに行くよりもまず真ん中を使わせないように構える姿勢を取りました。

ただ、63分のシーンよりも少し深い位置で構えたこともあったのか、ファーストディフェンダーが決まらない形で守備ラインを超えられてしまいました。池上の背後で受けた宮崎への川井のプレスが遅れ、内側から背後へのランニングを見せた徳元に対する楠本の対応が遅れ、後手後手の状況でペナルティエリアを横断されてしまいます。そして、右サイドでボールを受けた後向きの相手に対してファウルを与えてしまい、その流れのコーナーキックからの失点となりました。

一瞬の隙と言えばそれまでなのかもしれませんが、それを的確に咎めた岡山が見事でした。

反撃に出たい山口でしたが、なかなかチャンスが作り出せず、終了間際のパワープレーでゴールに迫るも届かず敗戦となりました。


伸び代とトライ

再開初戦も今シーズンここまでの課題が感じられる試合になったという印象でした。敵陣で思うようにボールを奪うことができない試合でどのように戦っていくかが難しいテーマだと感じました。

今の山口にとって、自陣からボールを運んで行ってチャンスを多く作り出し、ゴールを奪うというプレーはトライしている最中であり、この試合でもなかなかチャンスは作り出せませんでした。ここは今シーズン通してチャレンジしていくものであるでしょうし、少しずつ表現できるようになっていることが重要です。

そんな中でここまで勝点を積み上げられているのは、敵陣からの守備でボールを奪いショートカウンターを繰り出すことができるからだと思っています。そのままゴールに結びつかなくても、敵陣でプレーを続けることによって得たセットプレーという飛び道具もあります。

それが嵌ればもちろん自分たちの試合になるのですが、この試合の岡山や6月に対戦した大宮のように自陣からボールをつないでチャンスを作ることに固執せず、常にロングボールでまず敵陣に入って、そこからチャンスを伺っていきましょうというチームと対峙した際が厄介になります。敵陣からボールを奪いに行こうにも、簡単にロングボールで自陣に入られてしまうので、ボールを奪う位置がどうしても自陣になってしまうためです。

敵陣でボールを奪えば、そのまま素早い攻撃でゴールに迫ることができますが、奪う位置が自陣になると、そこからボールを運んで行かなくてはなりません。そうなると今のチームの強みが発揮されづらく、トライしている部分が問われる試合になってしまうので、厳しい戦いを強いられるのではないかと考えています。

こういった試合で、チャンスシーンがたくさん見られたり、結果が出るようになったりした暁には、また一つ成長した山口を見ることができると思うので、それを大いに期待してシーズン終了まで応援したいと思いました。



*文中敬称略

*この試合のハイライトはこちら


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