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レノファ山口ユース 真夏の躍進 〜2022クラブユース選手権 ノックアウトステージ編〜

本noteはレノファ山口ユースが奮闘したクラブユース選手権、ノックアウトステージの振り返りとなります。グループステージの戦いぶりはこちらで振り返りました。


vs鳥栖U-18

グループステージを首位で通過した山口は、抽選の結果サガン鳥栖U-18とノックアウトステージの初戦を戦うこととなった。鳥栖は言わずもがな、この年代の強豪チームで、現在もプレミアリーグwestで首位を走るチームである。この大会はグループステージで湘南と名古屋に引き分け2位通過となったが、優勝候補筆頭のチームであると言える。


一瞬のクオリティを見せつけられた前半

グループステージを首位突破したとはいえ、向かっていく立場の山口。スタメンには足立くんを起用し、原田くんをトップ下のような形で一列上げる形をとった。

立ち上がり5分は山口がボールを握る展開に。中盤の足立くんを経由し、大きな展開からのクロスや上村くんのドリブル突破など、十分にやれる姿を見せてくれた。

しかし、5分を過ぎた辺りから鳥栖のペースになっていった。ボール保持時は福井くんをアンカー気味に据え、彼を中心に展開し、敵陣に進入する鳥栖。彼を中心に即時奪回を行い、山口を自陣に釘付けにしていた。

また、試合の構造として、鳥栖の右SBが大外のレーンで高い位置を取り、そこにあらかじめ左SHの新澤くんがマークにつくことで、山口は前線の人数が足りず、プレスに行きづらい形になっていた。自陣でのリアクションの守備が中心となり、押し込まれる時間が続いていた。

その結果、鳥栖が自分たちのアクションでどう崩すか、山口が自陣からのカウンターで一発狙えるかという構図となった。

ただ、そんな中でも鳥栖の縦パスに対してはうまく対応できており、鳥栖としてもいつでも崩せそうだがチャンスまでは至らない時間が続いていたように思う。その中で、末永くんのボール奪取やキープからの反撃も何回か出せており、決して悪い流れではなかったと言える。

27分、山口が自陣からのビルドアップ。ボールを持つ隅野くんが狙われボール奪取をされると、楢原くんがそのままシュートを沈め鳥栖が先制。5分後の32分にも大里くんから左の鬼木くんへ大きな展開がされると、鬼木くんが軽く縦を突破してクロス、そのクロスに増崎くんが合わせ追加点。

鳥栖が一瞬で2点のリードを奪った。その後の34分にも完璧な崩しを見せるなど鳥栖が流れを掴む。

しかし、山口も38分、末永くんのシュートから新澤くん経由し、末永くんがシュートを放つも、鳥栖DFのスーパーブロックにあい得点には至らず。そのまま鳥栖の2点リードで前半を終了した。


配置の変更で流れを引き戻した後半

後半開始から山口は岡田くんに替え大宮くんを投入し、全体的に配置変更を加えた。後ろは3バック気味にし、藤井くんと角くんが両サイド、大宮くんをトップに配置。そして最も大きな変更が原田くんをアンカー、末永くんと新澤くんをIHのような位置に置き、ビルドアップへのサポートを実行せよというタスクを与えたことだった。

前半に山口が押し込まれた要因として自陣から長いボール以外での前進方法がなかったことが挙げられる。右サイドに末永くん、左サイドに新澤くん、トップ下に原田くんが待っているが、そこまでボールが届かずに失ってしまう展開だったため、彼らを中盤に配置し、彼らを経由することで安定してボールを運べるようにしたいという意図があったように思えた。

試合中には気づかなかったのだが、彼ら3人に上村くんの計4名がフィールドプレイヤーの中で現在トップチームに2種登録されている。おそらくこのチームの中でボールを扱うスキルがトップクラスの面々にそのようなタスクを与えることで試合をコントロールしたかったのではないかと感じた。

実際、この変更によって山口がボールを持つ時間が増えていった。特に輝きを放っていたのが末永くんだった。360度視野の中で、体の使い方やボールを受ける体の向き、場所を見つける目、場所を使うタイミング、落としのパスの繊細さなど、彼の良さが遺憾なく発揮されていたように思った。61分に石﨑くんが投入された後は再び右サイドに出ることになったのだが、そこでもボールを受け時間を作るプレーを見せ、このチームにおける影響力の高さを感じた。

ただ、鳥栖の守備陣も集中力が高く、クロスまではいくけれどもシュートにつながらなかったり、マークされた状態でのシュートになってしまったり、決定機を作るまでは至っていなかった。

72分、鳥栖の攻守の要である福井くんが真ん中をドリブルで突破し、シュートを決めトドメの3点目を挙げ万事休す。鳥栖が3点を挙げ力の差を見せつけた試合となった。


山口としてはノックアウトステージの初戦で鳥栖の壁の高さを痛感させられたわけだが、後半の巻き返しはお見事だった。2点ビハインドだったことの考慮は必要だと思うが、それでも自分たちから主体的にゲームをコントロールできるようになり、チャンス未遂のシーンも作ることができ、十分にやれるという姿は見せてくれたのではないだろうか。

クラブユース選手権はベスト16で幕を閉じたが、この後の県リーグの戦いを勝ち抜き、何とかプリンスリーグへの昇格を成し遂げてほしいと思う。この大会の戦いぶりを見れば、現実的な目標として考えることができるであろう。

ここからの更なる成長が期待できる素晴らしい大会だった。


おまけ〜選手寸評〜

*全選手書きたかったところなのですが、何名かをピックアップする形とさせて頂きます。ご了承ください。


GK吉本 空雅

シュートに対する反応とハイボール処理のうまさが印象に残った。初戦の大宮戦、受けざるを得ない展開の際に踏ん張ることができたのは彼の力が大きかった。特に終盤、大宮のハイボールを前に出てキャッチしたプレーはチームを助ける非常に大きなプレーだった。


DF角 来夢

右サイドバックで全試合にスタメン出場。小柄ながら力強いプレーが印象に残った。京都戦では右サイドを駆け上がり、クロスから2点目をアシストした。


MF原田 幹太

チームの攻守の要。ボールを扱う能力に長け、キラリと光るパスでチームのチャンスを演出していた。特に京都戦の前半は新澤くんへスルーパスを何度も通し、その能力の高さを見せつけた。そして、鳥栖戦では後半からアンカーの位置に入り、前半ボールを持つことができなかったチームを落ち着かせてくれた。


FW新澤 大知

京都戦での2得点はインパクト絶大だった。ボールを持った時のドリブル突破からのシュート。右サイドからのクロスに対して中で合わせるポジショニング。背後へ抜け出すタイミング。様々なパターンからチャンスを作り出すことができる選手だと感じた。また、鳥栖戦の後半では中盤に入りビルドアップの出口としてゲームをコントロールする役目も担った。


FW上村 音生

チームのエース。この大会で最初のゴールを決めてくれた選手。そのゴールは背後への抜け出しからだった。大宮戦は最前線に入りポストプレーでチームに時間を作る役目も担った。京都戦以降はサイドでの起用も増え、その中でドリブル突破からチャンスメイクも行っていた。


FW末永 透瑛

今大会で最も印象に残った選手である。初戦の大宮戦から素晴らしい選手だと感じるプレーをたくさん見せてくれたが、試合を重ねる度にその凄さをまじまじと実感することとなった。

まずはボールを持った時のプレー。体の使い方がうまいのか抜群のキープ力でチームに時間を作っていた。それからポストプレーでの落としの繊細さも素晴らしかった。

次にボールを持っていない時のプレー。ここが彼の一番の強みなのかもしれないが、場所を見つける目と使うタイミングが絶妙なのだ。彼のその能力に最も恐ろしさを感じたのが鳥栖戦である。この試合では、トップの位置、インサイドハーフ、サイドと様々なポジションでプレーをしたのだが、どこのポジションでも彼にボールが集まるのである。それは空いている場所を見つける目と出し手が顔を上げたタイミングでその場所に入っていくことができる部分が大きいように思う。また、ボール受ける際の体の向きやバックステップでスペースを作る動きも巧みで、ボールを受けた後のプレーがスムーズである点も忘れてはならない。

最後にボールを奪うプレー。彼の強度の高さによってボールを奪ってショートカウンターを繰り出すシーンがこの大会で何度もあった。
まだ2年生ということが恐ろしいのだが、今後の彼の成長が楽しみである。


自分のサボり癖によって寸評を残せず申し訳ない気持ちが大きいのだが、両CBのプレーも見事だったことを最後に書き残しておきたい。

これからは県リーグでの戦い。このチームであればプリンスリーグへの昇格も十分に狙えるはずである。皆さんもぜひ注目して頂きたい。





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