J2リーグ 第26節 ザスパクサツ群馬 vs レノファ山口FC 感想
2021年シーズンのレノファ山口の25試合目、ザスパクサツ群馬との試合は0-3で敗戦となりました。今回はその試合の感想です。
気付いたら試合が決まってしまった前半
前半に3失点を喫してしまう厳しい試合となりました。試合の入りとしては特別悪いという感じではなかったように感じました。ボール保持からの攻撃の部分で言えば、6分〜7分のシーンのように、最終ラインでボールを保持しながら、菊地からのダイナミックな展開でクロスまで向かうシーンが1つありました。このプレーでは、神垣が進の背中を取るようなランニングを見せたことで、菊地に少しの時間を与え、そのランニングによって、ロングボールのこぼれ球も拾うことができました。
13分〜14分にかけてのシーンは前半数少ないチャンスシーンでした。ヘナンから大外の澤井へ送られたボールを、内側の田中陸に預け、前線の高井へ相手のディフェンスラインを突破するようなパスが出た場面です。これはきれいな崩しでした。
21分のシーンも悪くないプレーでした。やり直しの攻撃ではありましたが、右サイドでボールと人の出し入れを行いながら、川井が高い位置を取り、タイミングを逃さずに相手のサイドバックの裏へランニング、そこへフリーの菊地からのパスがつながりました。
上記以外のシーンを挙げるとなるとなかなか難しいという点が、継続的な課題にはなるのかもしれませんが、悪くないプレーもあったことを書き残しておきたいと思いました。
非保持、守備の局面では、ボールを失った後の敵陣での切り替えはうまくいっていたシーンがいくつかありました。12分や30分のシーンなどです。
敵陣からのプレスについては、いつもに比べるとうまくいっていないように感じました。群馬はボールを大事にしつつも、山口が前から奪いに来れば、サイドの裏のスペースを狙うという共通意識を持っていたように見えました。最終ラインにボールが蹴られる大武がいることもあるのでしょうが、プレスに来る山口を嘲笑うかのようなロングボールが印象に残りました。
山口としては、システム上の噛み合わせもあってか、1トップの大槻の周辺でボールを引き出すボランチの岩上や中山だったり、シャドーの高井・池上やWBの川井・澤井のプレッシャーを受けないように離れているSBの金城や小島だったりを捕まえることが最初のミッションでした。
例えば、8分のシーンなんかが1つ気になりました。右SBの金城があまりにも簡単にフリーとなっていたり、そこから下げたボールに対しても特にスイッチが入るわけでもなく、左サイドから前進を許したりする姿があったからです。
かといって、自分たちから嵌めに行こうとプレスをかけると背後に走られて一発で裏を取られてしまうので、後手後手の対応になっていたように見えました。
先制点のシーンは、相手キーパーからのビルドアップに対して、中途半端に奪いに行ったことで大武にプレッシャーをかけきれず、一発で背後が取れるボールを蹴らせてしまっています。高井がその前にボールを奪うアクションを見せているので、ある程度は奪いに行く意識が全体にあった場面なのだと思いますが、下げたボールに対しての最初のスイッチが弱く、その隙を突かれた形でした。
2失点目はセットプレーの流れからクロスをファーサイドに上げられ、完全にフリーでヘディングを許してしまいました。
そして、3失点目です。このプレーは1失点目と異なり、前線からのプレスはつながっていました。左WBの澤井が下がらないで金城に圧力をかけ、ボールを下げさせます。そのボールに対して高井が反応し群馬の左サイドへ誘導、キーパーからのボールを受けた畑尾にも大槻がプレスをかけて、ボールをある意味蹴らせた形になりました。しかし、そのボールに反応した高木に誰も競ることができずにボールをキープされ、誰よりも素早く駆け上がってきた中山がゴールを奪いました。
これで3点のビハインドを背負って後半を戦うことになってしまいました。
反撃の後半には‥
山口は後半から島屋と石川を投入し左サイドの活性化を図り、群馬は前半と変わらず長いボールとカウンターで反撃を狙う展開でした。面白いと感じたのは、後半立ち上がりに最終ラインから島屋へのボールが立て続けに入ったことです。48分や52分などのように、前半にはあまり見られなかったライン間へのボールが入っていくようになりました。
これをどう見るかということが今後に向けて大切だと感じています。単純に島屋の技量が高いために最終ラインからのボールが入れやすいのか、ハーフタイムで全体の修正を図りそれが功を奏したものなのかということです。もちろん両方の側面があるのかもしれませんが、その場合はどちらの濃度が高いかです。目指すべきところは、誰が出ていても狙って内と外の使い分けをしながら前進していくことだと思います。
個人的には今までの試合の流れも踏まえると前者の要素がやや大きいのではないかと思ったのですが、この辺りは今後に向けた注目ポイントとして追って行きたいです。
とはいえ、決定機を作るまでには至らず時間だけが過ぎていく展開になります。誰が見ても超決定機と言えるのは85分のヘナン→石川→河野と繋がったシーンぐらいだったでしょうか。これは石川のアクションとヘナンのパストが繋がった非常に良いプレーでした。
これ以降も大きな決定機を作ることはできずに0-3のままタイムアップとなりました。
ブレずに結果も求める
順位が近い相手との試合で、今回のような結果になってしまったのは非常に残念です。ただ、前を向くしかありませんので、今のサッカーの精度を上げることにトライし続けて欲しいですし、その先に残留を掴み取ることができれば良いと考えています。これはシーズン開幕前に書いた気持ちと変わっているわけではありません。
1つ気になったことを挙げるとすると、失点の仕方が外から見るとやけにあっさりしているように思えたことです。ここまでの試合でこれだけ立て続けに、かつあっさりゴールを許してしまうことは無かった認識ありません。
個人単位のエラーもあったかとは思いますし、群馬がそれを逃さずうまく仕留めた側面もあります。たまたまそれがこの試合に集約されたということであれば、ある意味で切り替えもしやすいでしょうし、修正もしやすいかと思います。
ですので、次の試合が重要になります。この試合で感じたようなあっさり感が立て続くようだと少し心配になってくるところです。相手は山形と好調のチームですが、思いっきりぶつかって良い試合を期待したいと思います。
*文中敬称略
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