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J2リーグ 第19節 ヴァンフォーレ甲府 vs レノファ山口FC 感想

2021年シーズンのレノファ山口の19試合目、ヴァンフォーレ甲府との試合は2-2で引き分けとなりました。今回はその試合の感想です。


連動したプレスと失点シーンと

ここ数試合の中では、最もワクワクする試合だったのではないでしょうか。敵陣からの守備だけではなく、ビルドアップを含めた自陣からの攻撃で得点の匂いも感じられました。

敵陣からの守備は、対面する人を意識しながら掴みに行く形でした。高井が山本、池上が浦上、島屋が北谷をマークし、後もポジション通りに目の前の相手を意識する形です。甲府は最終ラインが2人変わっていたこともあってか、困っているように見えました。特に前半の前進の手段は、山本を中心とした最終ラインからのロングボールぐらいでした(とは言ってもロングボールからいくつかチャンスは作っていましたが)。

山口は17分や20分、30分のシーンのように連動した守備が随所で見られていました。唯一困りそうだったのが、高井の背中で山田がボールを受けた場合でした。CHの佐藤謙介や田中が捕まえに行くには躊躇するような距離感でボールを引き出された場合に、間を使われて前進を許していました。ここを抑えるかは次回対戦に向けての宿題だと感じました。

後半は甲府も可変の形を少し変えてズレを作ろうとする姿勢が見られました。荒木が最終ラインに下りて3バックのような形になったりしていました。また、交代で入ってきた鳥海がライン間でボールを引き出しリズムを作っていました。

山口の最初の失点は、数少ない見事に崩されたプレーの1つから喫したものでした。高井の背中で受けた山田がターンしてライン間に止まっていた長谷川へパス、ボールを受けた長谷川は前を向いて、山口の選手の視線を引きつけ逆サイドの中村へ展開、そこから泉澤、荒木とつないでクロスという形でした。


1つ1つスペースを取ることができていたボール保持

山口の自陣からの攻撃の作り方はスムーズにいっているように見えました。5-4-1のブロックで守る甲府に対して、1-4の五角形の間、5-4のライン間、3バックの背後のスペースと取るべきスペースを狙って取れていたと思います。それぞれ五角形の間のスペースは佐藤謙介が、5-4のライン間のスペースは島屋がキーになっていました。

佐藤謙介のポジションニングと微妙なボディフェイントとターンによって、甲府としてはなかなかスイッチを入れるタイミングが掴めないように見えました。また、佐藤はターンして素早く前方に強いパスを送ることができるので、相手の守備ラインを超えることもできていました。

最終ラインに下りて、ビルドアップのスタートになることも多い佐藤ですが、1列前のポジションでボールを引き出して前へ送ることにも長けた選手だなと改めて感じました。この辺りはこれからもうまく使い分けていって欲しいと思いました。

そして、島屋の存在も大きかったように見えました。5-4のライン間という時間とスペースが少ないエリアでスムーズにプレーができる貴重な選手だと認識しています。彼と池上をはじめ田中も含めて、相手のライン間でボールを引き出すことでチャンスを生み出したシーンがいくつかありました(26分や37分のシーンなど)。

島屋は左サイドでビルドアップの出口になるようなタスクも与えられていたとは思いますが、最初のカウンターのシーンでシュートも放ったようにその影響力の大きさを感じました。これからさらに重要な選手になっていくと感じました。


細かいところを気にするとすれば…

勝ってもおかしくない内容の試合だった中で、勝敗という点に関して言えば、2失点目は悔やまれるかもしれません。自分たちのスローインから相手にボールを渡してしまい、そのままカウンターでやられてしまったからです。カメラに映っていないので何とも言えませんが、鳥海にボールを渡してしまった神垣がボールを受けた瞬間、どれだけのパスコースがあったでしょうか。カメラが切り替わった瞬間を見るに、神垣の周りには佐藤謙介が横に、スローワーの石川が前方にいるだけで、後ろからはウィリアンリラが、そして前には中村と鳥海が立ちはだかっています。

個人的には、神垣にとってはなかなか無茶振りな状況ではないかと思います。1点リードの終盤のスローインにしてはあっさりな気がします。失点したからそう見えているだけかもしれませんが、良い内容の試合を披露するとともに細かい部分も重要になってくるはずです。

前半戦はあと2試合、少なくとも1勝1分で終え勝点25で折り返したいところかなと思いますが、どうなるでしょうか。ホームでの大宮戦、シーズン開幕前とは違った意味で大変楽しみな試合になりました。


*文中敬称略

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