#じんのひろあき
じんのひろあき短編戯曲集 『どうにか・したい』
明転。
居酒屋。
津村が生中を目の前にして、ぶつぶつ言っている。
津村「はあ……二十分だよ…マジかよ…ほんと来ねえな…え? なんでだ? なんで俺、一人で飲んでんだよ…ふう…落ちてるなあ、落ちてんなあ…落ちてる、落ちてる」
と、やって来る吉野。
吉野「津村さん」
津村「おお!」
吉野「遅くなりました」
津村「遅いよ、遅い、遅い。…」
吉野「すいません、どうも」
津村「お疲れ…お疲れ」
じんのひろあき短編戯曲集 『135』
コンビニの控え室。
だらっとパイプ椅子に貴理子がいる。
やってくる拓弥。
慌てて姿勢を正す貴理子。
めんどくさそうに同じくパイプ椅子に座る。
拓弥「なに、話って…」
貴理子「えっと、えっとですね」
拓弥「辞めたいとかいうんじゃないだろうねえ」
貴理子「え?」
拓弥「バイト、辞めたいとかそういうんじゃないんだろうね」
貴理子「え…っと、当たりです」
拓弥「(うんざりする)おまえも
じんのひろあき短編戯曲集 『百年の孤独』
柳沢タツの家。
喪服を来ているタツ。
その側で、やはり喪服を着た未知がうろ うろしている。
未知「数珠は?」
タツ「もったわ、ほんなもん、持たんで行ってなにしにいくだ」
未知「ハンカチとかは」
タツ「あ、忘れたわ」
未知「香典の袋、はい、買ってきたから」
タツ「入れといて」
未知「入れといたから」
タツ「わしの名前、書いといて…」
未知「名前…名前か…名前ペンは?」
タツ「抽斗の中にあ
じんのひろあき短編戯曲集 『合コンに行こう!』
渋谷の街角。
拓弥とカンが立っていて、道行く人を眺めている。
雑踏の音がやや大きめに入る。
拓弥「さすがに金曜の夜は人の量が違うね」
カン「あ、あれがそうじゃないかな」
拓弥「え? どれどれ?」
カン「あのほら…」
と、指さしたカンに。
拓弥「ダメだよカンちゃん、指さしちゃ」
カン「あ、あ、そうかな」
拓弥「で、どれ?」
カン「(目で追って)あ…ああ…違うみたい…あ、でも、よく見り
じんのひろあき短編戯曲集 『別れの準備』
喪服の拓弥。
中学校の制服姿の朝子がベンチに並んで座っている。
斎場のロビー。
間。
朝子「拓ちゃんは、結婚はしないの?」
拓弥「ん……今はね」
朝子「いつかはするの?」
拓弥「うん…しなきゃあ…なんないかもしれないんだよね」
朝子「でも、もう同棲してるんだから、今更、結婚しなくてもいいってことはないの?」
拓弥「うん……うん…そういう意見もあるね。俺の中にはね」
朝子「咲美さんの