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【広告表現規制】広告担当者は"景品表示法ガイドブック"を読んでほしい

【注意】筆者の樋爪康之(@yasuyuki_ad)は、法律にたずさわる職業経験がありません。あくまで広告代理店の一担当者が書いた記事である点をご了承頂ければ幸いです(気になる点等ありましたらご指摘頂ければと存じます)


■本記事の想定読者とは?

「景品表示法って名前はよく聞くけど、具体的にはなに?」「広告担当の立場から知っておくべきことだけ知りたい」といった事業主、広告代理店の広告担当者様を想定しています。

■景品表示法の目的

景品表示法(正式名称:不当景品類及び不当表示防止法)とは、消費者が安心して良い商品やサービスを、自主的かつ合理的に選べる環境を守るために作られた法律です。

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独占禁止法の特例法として昭和37年に景品表示法が制定されました。不当顧客誘引に関して、BtoB(事業者間取引)では独占禁止法が、BtoC(消費者向け取引)では景品表示法が主に適用されるようになり、公正取引委員会から消費者庁移管されて今に至っています。

■本記事で扱うのは「不当な表示の禁止」のみ

景品表示法は、不当な顧客誘引を禁止するための2つのアプローチとして、以下画像の「赤枠部分」「青枠部分」に大別されます。

・不当な表示の禁止(赤枠) → 広告担当者向け
・過大な景品類の提供の禁止(青枠) → 事業主様向け

「赤枠部分」は広告担当者が押さえておくべき内容です。「青枠部分」は事業主様が主な対象となる内容なので、想定読者に合わせる形で、本記事では意図的に触れておりません。

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【引用URL】消費者庁 よくわかる景品表示法と公正競争規約(PDF)

令和4年1月改訂

■「不当な表示の禁止」の3区分とは

広告担当者は「不当な表示の禁止」の3区分を原文で把握しておいたほうが良いでしょう。以下「不当景品類及び不当表示防止法」の引用になります。

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【引用URL】不当景品類及び不当表示防止法(e-Gov法令検索)

■優良誤認表示、有利誤認表示、その他の不当表示

具体的にイメージしやすいように補足説明として要点をまとめてみました。

■優良誤認表示(5条1号)
商品・サービスの「品質」「規格」「その他」の不当表示を指す。
「品質」=原材料、純度、添加物、性能、鮮度、栄養価 etc
「規格」=国等が定めた規格(例 JIS)、等級、基準 etc
「その他」=原産地、有効期限、製造方法 etc

■有利誤認表示(5条2号)
商品・サービスの「価格」「取引条件」の不当表示を指す。
「価格」=料金の安さ、二重価格 etc
「取引条件」=数量、アフターサービス、保証期間、支払い条件 etc

■その他の不当表示(5条3号)
その他の内閣総理大臣が指定する以下のような不当表示を指す。
「無果汁の清涼飲料水等」「商品の原産国」「消費者信用の融資費用」「不動産のおとり広告」「おとり広告」「有料老人ホーム」
※各告示内容に関しては、記事の最後にリンクをつけておきます。

■景品表示法違反の具体例

原文チェック→要点チェックした上で、具体例を紹介してみたいと思います。

優良誤認表示(品質)
「コシヒカリ純米クッキー」と表示していたが、実際の主原料は小麦粉であり「こしひかり」は極めて少量しか使用されていなかった。

優良誤認表示(規格)
「国内産A4・5の黒毛和牛のみ使用」と表示していたが、実際はA5等級以下の牛肉が大部分を占めていた。ほとんどA5等級のお肉ではなかった。

優良誤認表示(その他)
「この技術を用いた商品は日本で当社のものだけ」と表示していたが、実際には競争事業者でも同じ技術を使っていた。

有利誤認表示(価格)
架空の通常価格を設定することで、割引額を大きく見せて割安であるかのように表示していた。架空の通常価格20,000円、割引率50%、割引額10,000円を表示していたが、実際の通常価格は10,000円だった。

有利誤認表示(取引条件)
「他社商品の2倍の内容量です」と表示していたが、実際には他社と同程度の内容量にすぎなかった。

その他の不当表示(無果汁の清涼飲料水)
「○○オレンジ」(果実名を用いた商品名)という商品名なのにも関わらず、実際の果汁の含有量の表記がなかった。実際の果汁5%未満の量の場合は「無果汁」と表記する必要があるのにもかかわらず明瞭に記載されていなかった。

その他の不当表示(原産国)
Tシャツのタグに「アメリカ製」と表示していたが、実際にはアメリカ合衆国以外の国が原産国だった。

その他の不当表示(消費者信用の融資費用)
割賦手数料について、実際にはアドオン方式により算出するにもかかわらず、あたかも、実質金利方式により算出するものであるかのように表示していた。(あたかも手数料が安いような誤解を生む表示を行っていた。)

その他の不当表示(不動産のおとり広告)
対象物件情報を掲載することにより、あたかも対象物件を販売しているかのように表示していたが、実際には取引に応じることができないものであった。

その他の不当表示(おとり広告)
「愛知県○○市産のうなぎ蒲焼」と表示していたが、実際には○○市産のうなぎを仕入れておらず、取引に応じることができないものであった。

その他の不当表示(有料老人ホーム)
「終身介護」「最後までお世話します」などと表示することで、終身にわたって入居者が居住し、又は介護サービスの提供を受けられるかのように表示していたが、実際にはそうではなかった。

■景品表示法違反は広告代理店も罪に問われるのか

参考までに以下Q&Aの引用を記載しておきます。

Q:当社は広告代理店です。メーカーとの契約により、当該メーカー商品の広告宣伝を企画立案した結果、当該商品の品質について不当表示を行ってしまいました。この場合、広告代理店である当社も景品表示法違反に問われるのでしょうか。

A:広告代理店やメディア媒体(新聞社、出版社、放送局等)は、商品・サービスの広告の制作等に関与していても、当該商品・サービスを供給している者でない限り、表示規制の対象とはなりません。しかしながら、広告代理店やメディア媒体は、広告を企画立案したり、当該広告を一般消費者に提示する役割を担うことにかんがみ、当該広告に不当な表示がなされないよう十分な注意を払ってください。

【引用URL】消費者庁よくある質問コーナー(景品表示法関係)

景品表示法に関しては、広告代理店は規制の対象外と記載されています。しかし、例えば健康食品にも関わらず「医薬品」のような効能効果を表示した場合は、薬機法違反となり厳しく処罰されることもありえます。

景品表示法においては対象者が「事業者」に限られているのに対し、薬機法、健康増進法においては対象者が「何人も」となる点に注意しましょう。違反した場合は、たとえ「知らなくても」処罰の対象になってしまいます。

■おわりに 景品表示法ガイドブックを読んでほしい

景品表示法は、誇大な広告表現を避ける為に。消費者が安心して良い商品やサービスを、自主的かつ合理的に選べる環境を守るための法律です。あらゆる商品やサービスの広告担当者が押さえておくべき内容となっています。

本記事が"事例でわかる景品表示法ガイドブック"に目を通すきっかけとなり、法令理解のお役に立てたら幸いです。"事例でわかる景品表示法ガイドブック"のリンクはこちら。

【引用URL】事例でわかる景品表示法ガイドブック(PDF)
(消費者庁)

平成28年7月改訂

■参考文献

【引用URL】事例でわかる景品表示法ガイドブック(PDF)
(消費者庁)

平成28年7月改訂

【引用URL】不当景品類及び不当表示防止法(e-Gov法令検索)

【引用URL】消費者庁 よくわかる景品表示法と公正競争規約(PDF)
(消費者庁)

令和4年1月改訂

【引用URL】不当景品類及び不当表示防止法第二条の規定により景品類及び表示を指定する件(PDF)
(公正取引委員会 告示)

平成21年8月28日

【引用URL】無果汁の清涼飲料水等についての表示(PDF)
(公正取引委員会 告示)

【引用URL】商品の原産国に関する不当な表示(PDF)
(公正取引委員会 告示)

【引用URL】消費者信用の融資費用に関する不当な表示(PDF)
(公正取引委員会 告示)

【引用URL】不動産のおとり広告に関する表示(PDF)
(公正取引委員会 告示)

【引用URL】おとり広告に関する表示(PDF)
(公正取引委員会 告示)

【引用URL】有料老人ホームに関する不当な表示(PDF)
(公正取引委員会 告示)

【引用URL】景品表示における違反事例集(PDF)
(消費者庁 表示対策課)

平成28年2月

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