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全力くだり坂

ルームシェアしていた部屋は、長い坂道のつきあたりにあった。都心のくせに田舎の山道よりも急勾配で、登るときは自転車を押して歩かなくてはいけないほど。

ゆずの「夏色」を聴くと、あの坂道を思い出す。暑さをふりきるように、くだり坂をノーブレーキで滑降していたらうっかりスピンしてしまい、左半身を派手に擦りむいた20代の夏。自転車のカゴはL字型にゆがみ、よく擦り傷だけで済んだなと思うくらいの1人事故だった。

曲の疾走感のせいか、完全に勘違いしていたけれど、

『ブレーキいっぱいにぎりしめて
ゆっくり ゆっくり くだってく』

と歌っているじゃないか、ゆずよ。
いや、ゆずのせいじゃないけど。

私はまた急勾配の坂のそばに住んでいて、また自転車を買おうか迷っている。
くだり坂はブレーキかけない方が面白いんだよな、と思ってしまううちは買わない方がいい。そう思いつつ、2年も過ぎてしまった。

#日記 #エッセイ #ゆず #自転車

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