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8月の鍋
マツコ&有吉の番組で「人生のピークはいつか」という話をしていた。人生最高に嬉しかった日=大学合格、つまりピークは18歳だ、という絶妙な決めつけ話を聞き流しながら、自分にとってそれはいつのことだろう、と思い返していた。
人生最高に嬉しかった日はたくさんある。1つではないし、どれが一番とも言いきれない。しあわせなことだと思う。
私の感覚を変えた、2年前の8月の出来事。
好きで好きで仕方ないひとが初めて私の家にきた。その日は真夏だというのにとにかく寒くて2人で鍋を囲んだ。家でご飯を食べるのも一緒にテレビをだらだら見るのもなにもかもが初めてで、嬉しくて楽しくて、時間が経つのがもったいなかった。大好きな自分の部屋で、大好きなひとがくつろいでいる、それがただただ幸福だった。
日付が変わって眠たくなったそのひとを布団に送り届けたあと、ベランダに出てこっそり小躍りした。この奇跡みたいな日を絶対忘れない、ありがとうありがとう、生きててよかったしこのひとが生きてるだけで私は嬉しい、大声で宣言する代わりにものすごい熱量で空に向かって感謝の気持ちを放った。嬉しすぎて涙がとまらなくなった。
あんなに純度の高い感謝を捧げたこと、これまで生きてきてただの一度もなかったと思う。
あまりに幸せでお礼を伝えたいけど誰に言えばいいかわからない。花火をぼんぼん打ち上げるように、もてあますほどの感謝が身体中から空へと噴き出していく感覚、それを味わいたくて今日も生きている、ような気がする。
幸せにピークなどないし、1度きりで終わるわけがないものだとあれ以来思うようになった。何の鍋を食べたかまったく覚えてないけど、忘れられない鍋の日だ。
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