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素敵なものに出会ったら

「そのストール、素敵ね!」と、急に声をかけられた。駅のホームで電車を待っているときだった。声の主は、私よりぐっと身長の低い、上品な雰囲気のおばあさま。私の顔とストールを交互に見つめるその目はきらきらしていた。なんとなく隣の人が近いな、と思っていたけど、私のストールの柄を見ていたのか。

声をかけられたとき、嬉しかったのはもちろん、そのおばあさまに対して「仲間だ」と思った。私も、知らないひとに声をかける事に抵抗がない。販売をしていたから尚更かもしれない。怪訝な顔をされることがあっても仕方ない。笑ってくれたら嬉しいし、無視されたらちょっと悲しい、それだけだ。

おばあさまは、ひとしきりストールを褒めてくださり、電車がきたらさくっと乗り込んで空いている席に座り、もう私の方を見ることはなかった。何事もなかったかのようで、そのべたべたしない感じもよかった。

知らない人から声をかけられて、しかも急にほめられたとき、微笑めるひとは少ないのかもしれない。驚いて反応が遅れる上、気持ちが閉じていたら、喜ぶよりも警戒するだろう。

私はどうだっただろうか。笑顔で応じたけれど、今日はちょっと硬かったかもしれない。
こういうサプライズにすぐ反応したいから、いつも閉じないでいたいなぁ。
街で素敵なものや人に出会ったら、「それ素敵ですね!」って言える自分でありたいなぁ。
びっくりするけど、褒められたら自分は嬉しいし。そんな風に思った。

黒のウール地、様々な糸で、カラフルな刺繍が全体に施されたエスニック調のストール。使いすぎて毛羽立ちはあるけれど、お気に入りなんです。褒めてくださって、ありがとうございます。

そこまで言えなかったので、ここに書き残しておく。

#日記 #エッセイ #ストール #褒める #お気に入り

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