神保町の夜
この感覚が足りてなかったな、と思う。身体のどこにも余計な力が入ってなくて、気持ちがあせってなくて、お腹がほわっとあたたかいこの感じ。
観劇の帰り道、余韻さめやらず、友達とちょっと立ち寄れるお店を探して歩いた。雨のぱらつく夜の神保町は電気が少ない。コーヒー屋は軒並み閉まっていて、通り沿いにラーメン屋か飲み屋がぽつぽつと灯りを放っている。
久しぶりの再会、お互いの近況を話しながら歩く。仕事のこと、恋愛のこと、人間関係のこと、一緒に働いてた昔のこと。
気づいたら小1時間歩いていた。
寒いのも、
霧雨も、
帰る電車が混んでるだろうことも、
普段はいやがるどれもが気にならなかった。
お店で向かい合って話すよりも、
並んで歩きながらのほうが素直に話せるのはどうしてだろうね。
言えなかったことばをたくさん吐き出して、少し身軽になって地下鉄に乗った。ホームから見送る笑顔、離れがたいけど、また笑顔で会おうね。
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