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前へ後ろへぼくらはただ空を泳いだ~2019.11.2 第39節岡山戦~

 水曜日の岐阜戦で残留に大きく近づく勝利を手にした鹿児島としてはその勢いのままに残留を確実なものにするために勝ち点が欲しかった試合。岡山としては昇格へむけて格下相手に確実に勝利が欲しかったであろう試合を分析していきます。

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 鹿児島は出場停止の萱沼に代わって五領が左SH、普段左の牛之濱が右SH。個人的には逆の方がいいのにって思ってます。

 

前半

 事前情報通り岡山はCBがボールを持ったらほとんどイヨンジェ目掛けてロングボールを蹴る。それでも支配率が高いのは岡山という一見不思議な展開。

 この理由は岡山の回収力の高さと鹿児島のポゼッション意識にあると思う。この日の鹿児島は普段ほどボールを大事にせず2CBを中心にビルドアップ。ボランチがサポートに入ることは少ない。もちろん相手のツートップによってハメられ易く無理せず前に蹴ったりしていた。

 繋げる時の逃げ道はこの日左に入った五領だった。SHにしては初期ポジションをそこまで高くとらずどちらかというと出し手になっていた。ここは左利きを左サイドに置く利点である「前を向きやすい」というのを活かした形。4-4ブロックの間で受けるのは枝本と牛之濱の仕事だった。韓もいつもより降りてくる頻度が高かったがこれはあまり効果的では無かった。前半は岡山の守備ブロックを前に間受けからチャンスをつくったシーンはほぼ無かった。

ならばと大外を使い右SB酒本のオーバーラップから精度の高いクロスを放っても増田とチェジョンウォンに跳ね返される。前半1番可能性を感じた崩しは五領がパスを出して走ってリターンをハーフスペースで受けて折り返すパターンだった。やはり五領は崩しのアイデアがチームでトップクラスに豊富だ。

 岡山の保持時はロングボールを蹴らない時は左に集中。これは2CBのうちチェジョンウォンの方がボールを持てる、司令塔の上田が左利き、左SHが崩しの要である仲間だということからだろう。

 プレビューでも書いた通り仲間が内側に入り大外を廣木で幅をとる。前にも書いたが守備ブロックの横幅をコンパクトに保つ鹿児島の性質上、左にボールを持てる仲間や上田がいると陣形も左寄りになり逆サイドが大きく空くことがあった。そこをしっかり関戸と増谷が突いてサイドチェンジからチャンスになるシーンはあった。

 それでも岡山の最大の攻め手であるイヨンジェを水本と堤がしっかりと連携をとり防いだことでなんとか切り抜けることができスコアレスでの折り返し。


後半

 前半ほど簡単にロングボールを蹴ってこなくなった岡山の後半立ち上がり。そこに対して鹿児島は割とアグレッシブに韓と枝本がプレスしていくが降りていくボランチには人を付けなかったのでスムーズに前進された。それでもニウドが尽く止めて決定機は防いだ。

 鹿児島の攻撃は五領が前で受けるようになり牛之濱、枝本も流動的にポジションをとりダブルボランチも積極的に攻撃に絡むことで活性化されて惜しい崩しをみせた。

 そして60分には前節の大ヒーロー、ルカオを投入。

 しかしそれ以降はお互いにラフにボールを蹴り合う展開に。その結果個の力に分のある岡山が主導権を握る。ロングボールを蹴ってこぼれから危ないシーンを創られた。中にポジションをとる傾向を強めた仲間が厄介な存在となった。 投入したルカオもボールがなくては何も出来ず、鹿児島は後半はめっきりチャンスを創れなくなってしまった。

 たまに前線にボールが入ると良い形を創れるのだがそれも散発的で得点には至らない。ただニウド、水本、堤、ジュンスら守備陣の踏ん張りで無失点に抑えることはできた。


まとめ

 最終的にはスコアレスドローとなったが、両チームの力関係を考えると残留へむけて貴重な勝ち点1を獲得した鹿児島、昇格圏内浮上へむけて格下相手に不覚をとった岡山といった所だろうか。

 鹿児島としては岡山の強力な攻撃陣のに対してよく守ったと言えるだろう。特にイヨンジェ相手にデュエルで食らいつき負けなかった水本、仲間に決定的な仕事をさせなかったニウドらの頑張りは特筆すべきものであった。

 とにかく結果として岡山相手に引き分けのは大きい。これでまた1歩残留に近づいたとポジティブに捉えていいだろう。

 残りの3戦柏、水戸、福岡と難敵が続くが普通に考えて残留できる可能性は高いのだから気負いすぎずに戦ってもらいたい。次節は本気の柏相手にどこまでやれるか楽しみである。

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