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書評_こうして僕は_コミュ障_を脱却しました_コミュ障でも5分で増やせる超人脈術
皆さんは、会話が得意だろうか?得意だとして、どのように「得意」なのだろうか? 告白する。実は、僕はコミュニケーションが大の苦手だ。HIUの交流会やイベントに時々参加しているし、よく人に知識を解説しているので、他の人からは「話すのうまいですね」と言われる。しかし、内心は「そうだといいんだけど」とどぎまぎしている自分もいる。実際には、仕事で高めた説明スキルを、会話にも使っているだけなのだ。僕はもともと話すのが苦手な性格なのだが、そんな僕の助けになった本が、本書である。この本は、「コミュ障気味で」「話すの苦手なんです」という人には是非読んでもらいたい一冊だ。何故今本がここまで画期的なのか、今から書いていく。 まず第一に、心理学者の研究を紹介し、「内向的な性格」を定義し直している点だ。良く世間で言われている「内向的」というのは、「しゃべるのが下手」で、「とても根暗」で、「オタクっぽい」、というイメージではないだろうか?実は、そこに大きな誤解が含まれている。何かというと、この本によれば、実は内向的な人のほうがコミュニケーション能力が高いのだ。なぜかというと、内向的な人の方が観察能力に優れ、共感力が高いという。つまり、相手のことをよく見ているが故に、対人関係に不安を持っているだけ、ということなのだ。これを見て僕は、とても救われた。何故なら、僕自身コミュニケーションで困っていたからだ。相手の表情を見たり周りを見て分析したりして、頭の中で話を構築しているので、言葉の切り返しに時間がかかったり、自分の話の矛盾点を簡単に見つけて修正したりしている。とにかく、コミュニケーションでかなり疲れてしまうのだ。その点も含めて、この本で内向的を再定義してくれたことは、かなり救いだった。 そして、第二に、この本では「自分の性格に合わせて、ネットワーキングを作りましょう」というのを推している点だ。これもかなり役に立っている。世の中は、外向的な人の方が好ましいというメッセージであふれかえっている。もっと人間関係を作って、みんなとつながろう、というものだ。しかし、僕はこの考えに疑問も持っていた。「そんなにつながったら疲れちゃうのに、何で人脈作りがいいんだろう」、という疑問だ。しかし、本書はその疑問にも答えてくれている。それが「自分の持ち前の性格に合わせた方法で人間関係を作りましょう」だ。価値観と照らし合わせてもいい。つまり、自分にとってしやすいスタイルでコミュニケーションをしましょう、というものだ。ネットワーキング作りが苦手なら、人とつながることがやたらと上手い何人かと友達になり、いざというときに他の人とつなげてもらう体制を作ってしまうのだ。これなら、あまり人間関係が得意でない人でも、ネットワーキングを作れる。まさに「無理せず」なのだ。僕のやりやすいコミュニケーションのスタイルは、「知識や分析、考察や考察、アイデアが飛び交う会話」だ。 本書の著者は、メンタリストDaiGoさんである。堀江貴文さんとも交流があり、自身のサービス「Dラボ」で精力的に配信している。僕もDラボを使って、毎日勉強している。彼から得られる知識で、僕は人生を変えてきた。人生の基盤を作るのにはぴったりのサービスだ。最近はX-mobileとコラボし、スマートWi-Fiも出している。 本書は、「コミュニケーションが苦手」と考えている人に是非とも読んでほしい本だ。内向的な人の助けになるし、コミュニケーションの見方も変わる。ぜひ、本書の知識を試してみてはいかがだろうか? コミュ障でも5分で増やせる超人脈術 作者:メンタリストDaiGo マキノ出版
書評_どうやって運を科学する__運の方程式_チャンスを引き寄せ結果に結びつける科学的な方法
皆さんは、運をどのようにお考えだろうか?「科学的には定義できない、第6感的なもの」?それとも「偶然起きた幸せなことやチャンス」?そんな疑問に答えたのが、本書である。それも、科学的な手法で、である。これを読んでいる方には、不思議に思う方もいるだろう。「運なんてランダムなんだから、科学とは真逆でしょ。どうやって、運と科学を結びつけるのよ」という考えがよぎったかもしれない。そうなのであれば、この本をぜひ一読いただきたい。幸運といわれる現象が、いかに「必然から生まれた偶然か」、が分かる。この本の内容は、実際に僕自身も活用している。今回は、この本で面白いことや学んだことを紹介しよう。確かに自己啓発の類ではあるが、そこら辺の自己啓発本とは違い、論文をもとにして解説しているので、実用書の面を多く持っている。 そもそも何が面白いかというと、この本、実は数学の視点からとらえなおすと、実に納得する内容なのだ。本書のタイトルにもあるように、「方程式」とあるので、実際に日本語を用いた式が書かれている。それが、「幸運=(行動×多様+察知)×回復」である。一瞬見ただけで、僕は「そりゃそうだろ」と納得した。何故なら、これは分配法則を使うと、「行動×多様」の部分と「察知」の部分に、「回復」がかけられるからである。言い換えると、「行動回数を増やし、行動の種類もレパートリーを増やそう。疑問を投げかけよう。でも、休むことは最優先だよ」という意味になる。この数学との組み合わせは僕が付け加えたものであるが、この一個の式に表されるのは実に美しい。本質が詰まっているからだ。 そして、僕がこの方程式の中でもっとも使っているのが、「察知」である。これは言い換えると「問い」を発することだ。つまり、世の中の「そもそも」とか「何で」を突き詰めて行こうというニュアンスだ。これが、僕の基本文法のようなものだ。本書では、問いを発して突き詰めることが、いかに成功につながるかを、研究結果や事例をもとに解説している。また、その「問いを発する力」を高めるトレーニングも紹介されている。なので、「科学的な実用書」なのだ。また、この項目でで僕が共感したことがある。それが「問いが問いを生む」である。疑問を突き詰めて自分なりに答えを出すと、また違った角度の質問が頭によぎる。すると、また答えを探す、という行動に移るのだ。僕自身これもよく経験している。なので、アイデアが出ずに行き詰っている人いは、うってつけの本である。 著者は、鈴木祐というサイエンスライターで、今までに10万本の論文を読破している。また、600人の専門家にインタビューを行っている。自身のブログである「パレオな男」でアンチエイジングやトレーニング、栄養素、心理テクニックなどを配信している。有料記事もあるため、読んで実践するだけでも、かなり人生に変化が起こるだろう。 本書は、問いかけの重要性や、行動の回数とレパートリーを増やすことなど、ごくごく当たり前なことが掲載されている。しかし、それを実践している人は案外少ない。ぜひ本書を、実践しながら読んでほしい。 運の方程式 チャンスを引き寄せ結果に結びつける科学的な方法 作者:鈴木 祐 アスコム
書評_何故_障害_なんて言われるの___発達障害の人には世界がどう見えているのか
皆さんは「発達障害」について、どのようなイメージを持っているだろうか?最近、何かと「発達障害」が何かと話題になっている。いつだかの24時間テレビでも自閉スペクトラム症(ASD)が取り上げられ、書店でも「発達障害系」の本が並んでいる。テレビ番組といい、書籍といい、中身を見てみると、どうやら彼らには、強みと弱みの差が大きいだけで、驚くほどの才能を持っていることが見受けられる。言い換えれば、一昔前には「発達障害の人はこういうことができないよね」「この部分で苦労するよね」となっていたが、最近の流れは逆なのだ。「こういう部分は苦手だけど、逆にこの部分はかなり得意よね」ということが、身近に起きている。なので、最近は「自分を受け入れましょう」という形になりつつある。というか、それ以前に、「障害ではなく、一種の性格の凸凹」という見方も出てきている。僕自身、どちらかというと、今まで「発達障害」と言われてきた特性をいくつか持っているが、そのような特性を持っているから得意なこともある。この本を読んで、自分の特性について理解が深まった。今回は、どのような部分が役に立ったのか、面白かったのか、ということを紹介していく。 まず、この本で最初に取り上げているのが、「発達障害」への理解である。特に「困っていること」だ。この世の中の尺度から行くと、「発達特性」は不利になりやすい。コミュニケーションやその行動の異質性から、仲間外れにされやすいのだ。なので、この本では、その特性を持っていることで、どのようなことに困ってるのかを、紹介している。そのなかで、僕も筆者も口を大にして言いたいのが、「性格に問題で片づけられることが非常に多い。しかし実際は脳や遺伝子のレベルなので、直そうと思っても周りも自分自身も苦労しか待っていない」ということだ。例えばASDを持っている人は、コミュニケーションで問題を特に抱える。共感するという概念自体が少ないため、一方的になりやすい。僕も、脳の構造はASDと診断される人と同じと医者から言われたことがある。これらのことを含めて、筆者がここで強調しているのが、「何故」を深掘りし、理解していくことが重要だ、ということである。 そして、ここからが本書の真骨頂だが、この「発達特性」といわれているものは、何とかなり役立つ場面が多し、なのだ。例えば、ASDが顕著な人なら、その分感覚が優れていることが多い。絶対音感のような聴覚の鋭さを持っていることもある。なので、音楽の分野で活躍できる可能性が高い。また、その共感力の少なさからくる圧倒的論理力で、数学を極めて活躍できる人もいる。僕自身共感力は低い。しかし、そのおかげで学問に興味を持ち、今では数学の問題をたくさん解き、本も読んでいる。そして、このような書評も書けるのだ。他にも例としては、本書ではないが、ジェフ・ベゾスの例やイーロン・マスクの例が載っている。彼らが得意なのは、何と数学なのだ。抽象的な思考が得意なASD、という人もいる。僕自身、数学を勉強している。これは知覚統合という分野に関係するのだが、ここから語り始めるときりがないので、また今度の機会に記述する。少し脱線したが、要は「ASDだろうとADHDだろうと、その分かなり得意なことも存在するため、そっちを伸ばしたほうがいいんじゃないの?」ということを述べているのである。 本書を書いた井出正和は、国立リハビリテーションセンター研究所の研究員だ。専門は実験心理学である。立命館大学大学院の心理研究科で博士課程をとっている、心理学の博士である。MRIを使い、感覚過敏や感覚鈍麻についてのメカニズムを研究している。著書に『科学から理解する自閉スペクトラム相の感覚世界』がある。 本書は、ぜひとも、これからの時代を生きる人間として、ぜひ手に取って、読んでほしい。そのくらい、この本は、発達特性についての理解につながる。僕自身、かなり助かった。読めば、特性を持っている人の世界を疑似体験できる。これを機に、ご一読してはいかがだろうか? 発達障害の人には世界がどう見えるのか (SB新書) 作者:井手 正和 SBクリエイティブ
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記事をすべて見る すべて見る書評_新登場__早寝早起き_に関する新常識__最良の効果を得るタイミング_4つの睡眠タイプから最高の自分になれる瞬間を知る
皆さんは、子供の頃、いやというほどこのセリフを聞いたのではないだろうか?「早寝早起きは三文の徳。体にいいんだからそうしなさい」というセリフを。しかし、これをお読みの皆さんの中には、このように思う方もいるのではないだろうか?「いや、そんなこと言われてもさ、朝はどうしても眠いし起きられないしさ。夜のほうが元気になっちゃうんだよね」と。つまり、「早寝早起きは大切なのは頭ではわかってるよ。それができないから困ってるんでしょうが」という思いである。実際、僕もそうだ。朝は、からっきしだめだ。執筆ならできるけど、朝から集中力が必要な仕事なんてやっても、頭がぼーっとして仕事どころではない。しかし、そんな人を助けるような本が出たのだ。それが、マイケル・ブレウス博士が書いた「体内時計」の本である。今回はそれを紹介しよう。 まず、この本ではまず体内時計の歴史について紹介している。今まで続いてきた体内時計をぶっ壊した人物について紹介し、その後、自分の体内時計のタイプを診断するページがあるのだ。そう。実は「朝弱いのか強いのかを含む、いつ生産性が上がるのかは遺伝によって決まっている」のだ。博士は、この本で4つのタイプを紹介している。詳しくは本書に譲るが、4つのタイプに分け、それぞれに動物の名前がついている。ちょっとかわいらしい。そのように、みんなになじみ深い形にし、解説しているのだ。そして、何とこの体内時計(概日リズム、またはクロノタイプと呼ぶ)は、性格とも関係しているのだ。この本では、こういうクロノタイプはこのような性格が多いということを説明している。なので、自分の性格と体内時計がセットで知れる、お得な本でもある。 そして、何より、この本では、各クロノタイプごとの生活の組み方を事細かに解説している。つまり、彼の言い分というのは、「世の中は筋トレでどんなメニューをこなすのか、何を食べるのかは論じられているけど、いつやるのかはあまり論じられていない。なので、いつやるかも見極めよう」というのである。実際、僕もこの本を参考に生活を組んでいる。だから、塾の講師をやっているし、午前中に書評の執筆をするのだ。僕は、分析的な作業は夜のほうが圧倒的にパフォーマンスが高い。それもこれも、この本があったからだ。なので、この本は、生活の基盤になるのである。 そんな本を書いたマイケル・ブレウスは、アメリカ睡眠医学会の認定医である。数々の論文を読み漁り、彼なりのクロノタイプ理論を構築した。メンタリストDaiGoさんのDラボでもたびたび紹介されている。また、テレビ番組でクロノタイプを紹介し、メルマガを定期的に配信している。睡眠に関しては一家言ある人なのである。 この本は、辞書のように使うことができる。自分のタイプと診断したら、その通りに生活を組んでみるのだ。そのくらい、役に立つ本である。拾い読みするのもおすすめだ。まずは、店頭やAmazonでこの本を買い、タイプを診断し、自分を理解してみてはいかがだろうか? 最良の効果を得るタイミング 4つの睡眠タイプから最高の自分になれる瞬間を知る (フェニックスシリーズ) 作者:マイケル・ブレウス パンローリング株式会社
書評_こうして僕は幸福地獄から抜け出しました__幸福になりたいなら幸福になろうとしてはいけない_マインドフルネスから生まれた心理療法ACT入門
独特なタイトルだろう。幸福になりたいのは、みんな同じである。だからこそ、みんなは幸せになろうとする。理想の恋人を探したり、ケーキを食べたり。幸せになろうということに躍起になっている。その流れに乗ったのだろうか、最近では「ストレスフリー」だの「ポジティブ思考法」といった本が書店に行くと、ずらっと並んでいる。しかし、この本の著者であるラス・ハリスは、「そもそも何でそんなにみんな幸福を追い求めているの?」を問い直したのだ。そして、彼は、多くの人が勘違いしてることを「幸福の神話」として冒頭で紹介している。僕も、実はこの神話に取りつかれていた人間の一人で、この神話が原因で今まで苦しんできたのかと腑に落ちた。今回は、この本について紹介する。 先ほども書いたように、この本では幸福の神話について書いている。その内容を一言で言い表すと「そもそもみんな幸福であるのがデフォルトとなってるから、そんなに苦しむんでしょ?」である。これを読んだとき、僕ははっとした。「確かにその通りだ」と。つまりはこうだ。まず、「幸福な状態が正常で、それ以外は異常である」と思っている。そして、何か嫌なことにがあると、「これは幸福ではない。故に、悪いことであり、避けなければいけない」と思っているのだ。要は、多くの人はそのような見方を持っているので、苦しんでしまうのだ。だから、幸福のためには感情をコントロールしなきゃだめだ、と思い込むようになってしまうのだ。このように解説している本はそこまでないだろう。第一、世間には「こうすれば幸福だから、みんなそうすべき」という押しつけにも近いものがある。それも苦しむ原因だろう。 そして、本書ではそのような思い込みを避けて、自分の人生を生きるためにはどうすればよいのかを、240ページほどにわたって、解説しているのだ。しかも、章ごとに実践できるようになっているので、だいぶ読みやすくもなっている。その中で僕が恩恵を受けたのが「自分の価値観を明確にし、それに従うこと」である。僕の価値観は「本を読んだり数学を勉強したり、運動することを通じて、自分を高めることが大切」「勉強が嫌いという人にアプローチして、勉強で世の中を救うことで貢献するのが重要」「なんでも新しいことを吸収して、人生を自分で切り開いていくのは欠かせない」という価値観がある。僕は最近この価値観、信念をもとに行動している。そのようなことを、本書のワークを通して、発見することができたのだ。そのようなこともあるため、この本をぜひ読んでほしいのだ。 著者であるラス・ハリスは、医師であり心理療法士でもある。自分自身でもこの心理療法をつかい自分の人生を切り開いてきた。この本には、「不安に悩まされたときはチョコチップを5袋たいらげた」なんてエピソードも載っている。そのような点で、多くの人の目線に経っている。かなり共感できることもある。この本は、不安症や心配性なひとには、かなりお勧めだ。 この本は、メンタル面で自分の生活の基盤を作ることができる。読むだけではなく、実際にやる本なのだ。理論は使ってしまったほうが手っ取り早い。ぜひ、本書を通じて、何度も実践してみてほしい。僕も実践している。だからこそ、この書評を書き、本を読み、数学の問題を毎日解いている。 幸福になりたいなら幸福になろうとしてはいけない: マインドフルネスから生まれた心理療法ACT入門 (単行本) 作者:ラス ハリス 筑摩書房
書評_これがすべての勉強の源泉だ_喉から手が出る_独学大全__絶対に_学ぶこと_を諦めたくない人のための55の技法
この本は、一言で言おう。辞書である。独学で何かを習得する人に向けた、勉強法の辞典である。なので、この本は全部読まなくてもかまわない、というのが大前提である。全部読まなくてもいいにしろ、世の中には間違った勉強法があふれかえっている。たとえば、マーカーで教科書に線を引いたり、忘れる前に復習したり、といった具合である。どのテクニックもよく学校や予備校で使われているので、正しいと思われるが、実際には間違っている。しかし、この本では、科学的にも正しいと言われている勉強法が掲載されており、これをいくつか組み合わせることによって、勉強が進むようになっている。僕自身、この本のテクニックを使っていた。また、数学の勉強にこの本にある概念が非常に役立っており、数学の便利さも、この本によって発見できたといっても過言ではない。今回はこの本から、僕が使った、あるいは現在使っているテクニックを紹介しよう。 まず、この本から学んで即実践したのが、「ポモドーロ・テクニック」と「音読」だ。特に音読は、文章の理解を助ける。自分の声に出すから、内容が自分事になりやすいのだ。過去に書評を書いた『不老不死の研究』も『時間は存在しない』も、一冊音読したのだ。これがなかなか効く。「ポモドーロ・テクニック」は、集中状態をある程度分散させるやり方だ。具体的には25分は勉強に集中し、5分を休憩に充てる。そして、そのサイクルを繰り返す。それだけだ。かなり手軽なテクニックで、なおかつ作業もスムーズに進むので、便利な勉強法として使っていた。今では、先ほど取り上げた音読のほかに、内容に関することや自分の考えを一人解説するように読んでいる。そして、何も見ないで本の内容をノートにまとめるのだ。これが、効果は抜群だ、というコメントを残したいくらいかなり強力なのだ。 また、この本の後半に、かなり面白い箇所があったので紹介しよう。以前の書評でも取り上げた数学のことである。数学は日常で使われていると書いてある本は、山ほどあるが、本書はその逆を言っている。つまり、「数学は日常のことに回帰するな。数学で分からなければ数学の中で解決せよ」というのだ。僕はこれを、チャート式で問題を解いているときに痛感した。確かに、二次関数は日常の直感では理解するのが難しい。しかし、数学では、そのような抽象的な概念を扱っているため、抽象的で分からないことを、数学のルールに沿って説明することができるのだ。そのため、数学の中で数学を解決するのである。そのような、日常では理解不能な点を、数学は「数字と記号」を使った「論理」で説明できることが可能だ。なので、「数学でわからないものは数学の中で片付けろ」なのだ。 ここまで著者である読書猿は解説しているが、何と本人が子供の頃、読書が大の苦手で、一冊読むのに5年を要していたらしい。勉強も苦手であった。そこで、勉強法の追及をし、今では、論文や書籍をもとにして、ブログで解説しているのである。 苦手としていた人が勉強を通じて成功している。故に、これを読んでいる皆さんも、勉強を挽回するのは十分に可能なのだ。僕も、この本に助けられなかったら、数学をあきらめているだろう。それだけ、この本は勉強する人間にとっては、必須の書物と言えよう。 独学大全――絶対に「学ぶこと」をあきらめたくない人のための55の技法 作者:読書猿 ダイヤモンド社
書評_何故このタイトルにしたの__時間は存在しない
皆さんは、「時間」という概念をどのようにとらえているだろうか?そもそも、何故僕たちは「時間」を感じるのだろうか?書店に行くと、数々の時間術の本が並んでいる。メンタリストDaiGo氏の本や鈴木祐氏の著書にも、時間術の本がある。その中で、今回紹介する本は、何とイタリアの物理学者が書いた、時間に関する本である。専門書の類に近いが、そこまで専門知識がなくても読める本なので安心してほしい。ビジネスマンが書いた時間術の本より、こちらのほうが、僕としては興味深かった。なぜかというと、この本では僕らが「普遍である」と考える「時間」について、根本的に考えを変える本だからである。今回の書評では、具体的にどの箇所が面白く、考えがひっくり返るのかを述べていく。 まず第一に、第一部で著者が「時間は普遍なものではなく、ところ変われば時間も変わる」というのを、物理の知識で述べている点が非常に興味深い。僕が特に魅かれたことは、僕たちの言う現在とは、「今いる自分の身の回りで起きていること」であり、遠くの世界の現在は分からない、という点である。分かりやすく言うと、遠くの人と電話している際、「今何してる?」と聞いてから、返事が返ってくるまで、若干のラグがある。僕らからすると、非常に短い時間であるが、僕らが電話で聞いている声というのは、数ミリ秒前の声であり、「現在」ではないのである。これが宇宙規模だったらどうだろう。「光年」という単位がある通り、光の速さで何年かかるか、である。太陽と地球は、光の速さで約8分。つまり、僕らが見ている太陽の光は、8分前の太陽の光、である。なので、現在ではないのである。このような記述を見た僕は、脳天を貫かれたような驚きを感じた。確かにその通りである。このような視点から時間について述べているのは、あまりないだろう。また、アインシュタインの相対性理論を分かりやすく説明している部分も、かなり面白い。 そして、最も面白いのが「僕ら人間は、どのように未来と過去を区別しているのか」という箇所だ。ここは、僕も考えもしなかったところだ。この書評をお読みの皆さんにも一度考えてほしい。どのように、僕ら人間は過去と未来を区別しているのだろう?実は、僕ら人間は、出来事に対して「ぼやかす」ことによって過去と未来を区別しているのだ。つまり、「ここから先は過去で、ここから先は未来だ」という、実にあいまいな線引きによて、区別しているのである。皆さんにも心当たりはないだろうか?どのような基準で過去と未来を区別してるのか?聞かれると、僕は答えられない。また、これに加え、出来事に関するもう一つの事実を、著者は提示している。「過去」には変数がほとんどなく、「未来」は変数が非常に多くかなり乱雑となっている、という事実だ。言われてみれば、僕らが「過去」を考えるとき、時系列立てて振り返る。つまり、一定の規則性があるのだ。一方、僕らが「未来」に関して考えるときはどうだろう?よく、「何が起こるかわからない」という言葉を聞かないだろうか?つまり、「未来には規則性がなく、特殊な配置、規則性というものがまるでない」のだ。言い換えれば、僕らは、「どのくらい規則性があるか」で、過去と未来を区別しているのだ。そして、この規則性の見つけ方は、人それぞれ、十人十色である。だから、遅刻する人も多くいる、という考察を導き出すこともできるのだ。 著者は、イタリアの理論物理学者であるカルロ・ロヴェッリである。現在は、フランスにある大学で研究チームを率いている。理論物理学者としては異例のベストセラー作家であり、著書に『世界は関係でできている』『すごい物理学講義』などがある。専門は「ループ量子重力理論」である。 この本は、物理学者が書いただけあって、「難しい」と毛嫌いする人もいるかもしれない。しかし、食わず嫌いせずに、ご一読いただきたい。難しいなら、じっくりゆっくり読むのも、読書の楽しみだ。そのくらい、この本は、好奇心が収まらない本である。事実、僕もこの本を読んでから、数学の問題をもっと解いて、物理に進もう、なんて思ったくらいである。ちなみに、一個だけ数式が出てくるが、その時筆者は「この本に数式を持ち込んだことをお許しいただきたい」と書いている。 時間は存在しない 作者:カルロ・ロヴェッリ NHK出版
書評_元祖フィギュアのカタログ__土偶を読む図鑑
前作『土偶を読む』の完全ビジュアル版。発掘資料の速報や各地で縄文展が行われる中、ぜひさらっとでも目を通してほしい本である。豊富な写真やマンガからその独特な形態を解説し、著者の「土偶は縄文人の生業(ここでは「食料獲得のための労働」を指す)と結びついた、生活の道具である」という説の理解を深められる構成となっている。 岡本太郎は片隅に追いやられた火焔型土器を発見し縄文特有の造形美に注目してアートとしての地位を唱えたが、本書は土偶のデザインと著者の説であるモチーフをビジュアルで確かめることができ、アート作品集としても読める本である。世界に誇る日本のやきものの歴史の中でもずば抜けて奇抜な縄文のやきものについて知ることは一見の価値ありだ。 遮光器土偶は顔に大きなサングラスのようなものがあり、腕や腰、足のボテッとしたボリューム、そして体中に雲形の模様が巡っている。確かに女性や妊婦のデフォルメとしても異様な様相である。著者はこの土偶はサトイモがモチーフだという。サングラスは親芋から子芋を取った跡、体のフォルムはサトイモの丸み、体の模様はサトイモの茎に見えるという。これらを豊富な写真をもとに解説されている。 感想として、自らの感覚に沿った判断が誤りにつながることには注意が必要なのだが、こればかりはどうにも納得する他ない気持ちである。そして著者は視野を広げて世界の謎フィギュアにもこの説の適用を試みており、この営みも十分に汎用性のある方法論として可能性がありそうである。なにより可愛らしいフィギュアの豊かなバックグランドを読み取ることはオタク心をくすぐる。 土偶の作品鑑賞やデザインの参考書としてもおすすめする。 『土偶を読む図鑑』 作者:竹倉史人 発売日:2022年4月23日 メディア:小学館
書評_宗教の四季報__世界の宗教101物語
個の時代、コミュニティの時代に思い出してほしい。カリスマとは宗教に由来する言葉である。強引な勧誘など布教活動に目が行きがちだが、一般企業と比べると宗教はクローズドだがコミュニティビジネスとして見ることも可能だ。本書の目次を見渡しても、見聞きしたことのない宗教が多いと思う。四季報やWikipediaにある企業の創業から現在までの沿革や株価は、創業やビジネスの参考になるが、インターネット上で多様なコミュニティが形成されている昨今、数多ある宗教の沿革をたどることも無駄にはならないはずだ。 世界には数え切れないほどの宗教がある。宗教は歴史的に国家の枠を超えるコミュニティを形成してきた。国民国家の成立以降、現代は国家の枠を超える転換点に来ているかもしれない。歴史的に生きながらえた伝統宗教から存続の理由を探ることも、近代に形成された新宗教から比較的ファクトの記述をたどり沿革を確かめることも面白いだろう。 「まるで生き物のように姿を変えて」と著者が述べるように、生物が環境に合わせて変異する自然選択説のごとく、同じ宗教であっても地域によって時代によって変化し、もしくは別の宗教が生み出されたりする。まさに進化論の系統樹のような見取図が付録されているのも興味深い。 妄信することも、それを過度に批判することも、実は鏡の裏表かもしれない。前提条件が異なるのに、互いに事実を主張しあっても話は平行線だ。特定の宗教や個人をクローズアップするより先に一度全体を見渡してみれば、教養としての公平な視点を持てるだろうし、実生活に活かせる学びとなるかもしれない。日本の新宗教も詳しく載っている。 とにかくたくさんの宗教を網羅的に知りたい、その系統樹をさかのぼってみたい、という方におすすめする。 『世界の宗教101物語』 作者:井上順孝 発売日:1997年4月18日 メディア:新書館
書評_メロスはなぜ走り抜けたのか_︎大人になったからわかること__走れメロス
太宰治による友情を描いた短編小説。サクッと小説を読みたい時にオススメな一冊。 話の内容もわかりやすい。 王様に逆らい捕らわれたメロス。妹の結婚式の為に、友人を身代わりにするから外に出して欲しいとお願いする。 王様は3日目の日没までに帰って来なければ、友人を死刑にする条件で解放する。メロスは友人に必ず戻ってくると約束をする。 結婚式を見届けた後に、メロスは友の下へ走る。道中に起こる困難を乗り越え、友人との約束を守るのだった。 子供の頃に読んだ感想は、友達の約束を守るのって大事やな。それくらいの感想しかなかった。 今読み返すと子供の頃には気づかなかった発見がある。それはメロスの心の描写に深く共感できること。 疲れ果てたメロスは、自らに問いかける。自分は精一杯に努めてきた。友を欺くつもりはなかった。もう約束なんてどうでもいい。 しかし、偶然みつけた泉の水を飲み正気に返る。そしてまた力強く走り始めるのでした。もっと恐しく大きなものの為に。 弱気になり自己弁護をしてしまう気持ち、また何かのきっかけで力強く踏み出していく様子に共感できる。 メロスの言葉が染みてくるこの感覚を味わって欲しい。何かに行き詰まった時にサクッと読んでみるのもオススメ。 走れメロス (新潮文庫) 作者: 太宰治 発売日: 2005/02 メディア: 文庫
書評_鍋を磨く_道が開ける__三流シェフ
料理のカリスマの自伝。挑戦とはなにか。皿洗い何年といった単なる努力話ではない。他の人が避けるところにこそチャンスがある。その1つが鍋磨き。誰よりも早くきれいなだけでなく、磨く間にも活路を見出すアンテナを張り続けた。 若い禅僧がただ座しているようで、仏道という大海原に正面から挑むような、まさに料理「修行」。この16歳から28歳の約12年が、後の39年を差し置いて本書の3分の2を占める。 充分に技術を身に付けたころに師から一言、「セ・パ・ラフィネ(洗練されていない)」。後にその師から著者の代名詞「JAPONISÉE(日本化)」と評価され、2019年には同名の書を出版。まだ求道の旅は終わらない。3年後の70歳から新たな扉を開く。洗練さを求めて、無心で料理に取り組むために。 『三流シェフ』 作者:三國清三 発行日:2022年12月14日 メディア:幻冬舎
書評_衝撃作___子供を殺してください_という親たち
殺人事件摘発件数のうち親族間における事件の割合は半数以上を占めるという。教育圧力に潰れた息子、酒に溺れて親に刃物を向ける男。本書は心に病気を抱えた患者とその家族を描いたノンフィクションマンガである。 著者の押川 剛氏は対象者と精神科医療をつなぐことを仕事としている。登場する親たちは口を揃えて「息子に殺される」と押川氏に相談する。エピソードはどれもショッキングなものばかりだ。 愛猫をバットで撲殺するなど1話から暴力的な描写も目立つ。読んでいて、とてもつらい。しかし厚生労働省によると精神疾患患者数は日本の総人口あたり約30人に1人の割合だそうだ。もちろん精神疾患にも程度の差はある。 患者本人はやはり専門的な治療が必要だと思う。一方でその患者の家族は誰がケアしてあげるのだろう?と思いを馳せる。子を持つ親が本書を読んだら、また違った感想をもつと思う。 評者はこれまで特別いじめられた経験は思い当たらない。人間関係においては比較的普通に過ごしてきたと思う。しかし、普通ってなんだろう?自分の心も何かの拍子に壊れてしまうのではないか?と考えてしまう。 「子供を殺してください」という親たち 1巻: バンチコミックス 作者:押川剛,鈴木マサカズ 新潮社
書評_数字はただの数字ではない__問題解決の最初の一歩_データ分析の教室
数字はただの数字ではない。すべての数字に意味がある。 パン屋さんの再生ストーリー仕立てで展開される本著。数字にエクセルを使い意味を見出し、ビジネスに活かす。使い方の教科書本は苦手だけど、エクセルをもっと使いこなしたい方。楽しく読みながらエクセル上級者になれること間違いなし。 エクセルの使い方についての本ではあるが、再生ストーリーに伴って書かれているためか、少しも押しつけがましくない。ピボットテーブル、VLOOKUP関数、相関係数、回帰分析とエクセルを使用したデータ分析の意味や使い方について書かれているも、ストーリーの流れが会話で構成されているためか気が付いたら使い方が身につく感じである。 データを多角的、立体的に分析することによって、短期的ではなく長期的な経営改善ができる。例えば、一つの新商品を作ったとする。ここでの経営改善とは、新商品の売り上げをアップすると同時に店全体の売り上げをアップする必要があることを意味する。そのため、新商品の売り上げをアップさせると同時に、どのような値段の商品をどのような客が購入する傾向にあるのか、というような分析をすることによって客層と売れる商品の傾向を理解することができる。 目の前にあるどの数字をどのように分析するかは何を目的にデータを分析するかによる。データ分析の目標が明らかになったらあとは実績を繰り返していくだけである。読み終わりの感想はエクセル教科書と侮っていた、であった。エクセルの使い方は一朝一夕で身につくものではないと思う。時々確認しながら何度も読み学びたい本著である。 問題解決の最初の一歩 データ分析の教室 作者:野中 美希 メディア:単行本
書評_こうして僕はニュースを卒業_本の虫になりました__News_Diet
一言で言う。この本は、「読書への誘い」の本である。多くの人は、「ニュース=情報収集」だと思っている。筆者ロルフ・ドベリは、このイコール関係を断ち切るために、この本を執筆した。自身の経験、学者による調査結果をもとに、いかにニュースが不要か、を展開している。しかしこの本、ドベリさんはニュース不要だと言っているが、彼自身がニュース中毒者だった、という話から始まるから面白い。「ニュースを見たことがあるよ」という人は、ぜひご一読頂きたい。 まず、この本で注目すべきは、ニュースのデメリットを、人間の心理と結びつけて解説している点にある。その心理とは、「思い込み」である。人間は、実に多種多様な思い込みを持つ。結果が起きてから、「その事って予測できたよね?」と思う。例えば、電車の遅延がそうだ。人身事故が起きて大幅に遅れた時、「こんなことならほかの路線で行けばよかった」となる。冷静に考えると、人身事故が起こるなど、ほとんど予測しようがない。だが、人間はこのような思い込みを持つことに気づかないのだ。筆者は、「ニュースがこのような思い込みを増やす」とし、この思い込みから抜け出す方法を解説している。実に、勉強になる。 とは言うものの、ここが真骨頂なのだが、この筆者は記事自体を完全否定している訳では無い。確かに筆者は「ニュースを絶とう」と言っている。しかし、それは、「ニュースがもたらす、集中力と思考力の低下」が問題であり、それを養う記事も存在している、と言うのだ。ニュースが思考力と集中力を低下させる理由は本文に譲るが、思考力と集中力を養う記事というのは、専門家が調査や研究を元にして執筆した科学誌である、というものだ。つまり、その長い記事を読み自分の考えをめぐらすことに、本当の価値がある、と筆者は指摘している。実に、本質的だろう。 さて、この筆者であるが、スイスに住んでいる、ライターである。ザンクト・ガレン大学を卒業後、スイス航空の子会社で最高財務責任者を務めた。本書によると、以前はかなりのニュース中毒者だったらしい。この本は、ビジネスマンや経営者、はたまた子供の親におすすめだ。特に子供について、最近は入試で時事問題が出る。ここでの懸念は、ニュースを見ることで色んなことを知っていると錯覚することだ。子供のうちにこれを身につけてしまうと、人生が台無しになりかねない。そのことを、本書を通じて、大人が教えて欲しいのだ。 「ニュースは僕にはいらん」というのが僕の感想だ。それより、読んでて面白いのは、本だ。本を読んで、自分で考えることが、読書の本当の価値。そのようなことを教えてくれる、1冊である。ぜひ手に取ってみては、いかがだろうか? News Diet 作者:ロルフ・ドベリ サンマーク出版
書評_現代の異端禁書__土偶を読む_130年間解かれなかった縄文神話の謎
ここ数年をかけてじわじわと注目を集めつつある縄文文化。科学的な分析法の進化もあいまって、新しいアプローチによる研究成果が出されている。そうした中、素人玄人問わず議論を巻き起こしたのが本書。歴史の教科書に載る定説に根本的な問いを投げかけ、「土偶は植物をかたどった精霊像である」という説を提唱する。 学者が発見したときの場面や心情が読み取れるストーリー仕立てとなっており、助手の池上くんに毒見をさせるなどおちゃめな話も含め、お堅い専門書という感じもなく、一周回って古風な学者の雰囲気を感じられる点がおもしろい。江戸時代の古物愛好コレクターとしての好古家の延長、その造形に興味を抱き愛した人々と、百年以上の年月を経てシンクロしているようにも思えた。 土偶と言えば繁栄を祈って女性や妊婦をかたどったものというのが定説だ。これに対して根本的な問いを投げかける。本当にそう見えるのか?学んだときに誰もが抱きそうな疑問から本書ははじまる。内容は各時代各地域の土偶と名産品を検討していくというもので、その是非は抜いて感覚的に読みやすい。 本書でも節々に恨みごとが見て取れるが、根本にメスを入れる新説が非難を浴びるのは、人間社会である以上、現代も変わりないということだろうか。しかし歴史は繰り返すといっても単純な流転を繰り返すわけではないだろう。何らかの新しい兆しを含むはずだ。この変化に胸を躍らせるのは私だけだろうか。 前提知識なく読める本です。縄文文化や土偶の造形に興味があればぜひ読んでほしい。 土偶を読む 130年間解かれなかった縄文神話の謎 作者:竹倉史人 発売日:2021年4月25日 メディア:晶文社