議員になって出産をした私の「議場に赤ちゃんを連れて行ってるの?」に対する答え。
こんにちは。
熊本県の南小国町(みなみおぐにまち)という人口4千人弱の町で町議会議員をしています、森永ひとみです。
私は2019年に町議会議員に初の女性議員として初当選し、議員3ヶ月目に妊娠、2020年3月に長男を出産しています。出産後も周りの皆さんの温かいサポートをいただきながら活動しており、お陰様で息子も今日で11ヶ月になりました。
【熊本 × 議員 × 赤ちゃん】というと、2017年11月の熊本市議会で女性議員さんが当時7ヶ月のお子さんを同伴されたニュースの印象がとても強いのか、「議会に赤ちゃんを連れて行ってるの?」とよく聞かれます。
色んな考え方があるかと思いますが、私は議場に息子を連れて行っておりません。
理由は大きく2つです。
①子どもの自我を親の都合で抑制したくないから
②私が集中したいから
です。
①子どもの自我を親の都合で抑制したくないから
当たり前ですが、赤ちゃんだからと言って、じーっとしてるわけではありません。赤ちゃんも自我がしっかりあるので、泣いたり大声をあげたり、何でも物を口に入れたり投げたり、動きまわったりします。
子どもの「〇〇したい」という思いや考えは、可能な限り尊重したいと思っています(命に関わる危ないことなどは別ですが)
仮に議場に息子を同伴させたとして、遊びたがる息子に「ここは議場だから静かにして!じっとしてて!」と私の都合で息子の自我を抑制することも、周りの方の集中を妨げることも避けたいと思っています。
②私が集中したいから
これは実際に議員になってみて一番に感じたことですが、議場は重厚感があり、空気がはりつめたような緊張感があります。発言内容も一言一句違わずに記録として残されます。
議場では町政に関する重要なことを審議し決断しているので、当前と言えば当然なのですが、この緊張感はテレビで見ていた時とは全く違いました。とても集中しています。
そんな場で息子の相手をしながら議案の審議をするという同時進行は私には到底できそうにないので、息子は議場には同伴していません。
では、私が議会の時は息子は誰がみてるのかというと、夫が自宅でテレワークに切り替えてみています。お仕事先の方に相談して息子を同伴して行くこともあるようです。
うちの息子は、今でこそ離乳食を少しは食べますが、それまでは完全母乳のみでした。ミルクを飲めなくて3時間おきに授乳が必要でした。
ところが議場がある役場内には授乳室がありません。熊本県内で議員が使える授乳室がある自治体は45市町村中5市町村(※)なのを考えると、南小国に限った話ではありません。
お昼休憩時に自宅に帰って授乳しようと思っていたのですが、議長が「会期中は議長室を授乳室として使えるようにします」と仰られ、議長室の一部を工事し、実際に議長室を授乳室として何度も使用させていただきました。
お昼休憩頃になると、
▼夫が息子を連れて議長室で待機しながらお仕事
▼休憩時間に授乳
▼息子そのまま寝る
▼私もお昼ごはんを食べて、また議場へ
というような流れです。これはとても助かりました。本当に有り難かったです。
ちなみに、これらの南小国の取り組みは、熊本のご長寿テレビ番組「テレビタ」さんでも特集を組んでいただいたほどです。
私がお昼ごはんを食べている間、他の議員さんが息子をあやしてくださっていました。
私は「赤ちゃんと一緒にお仕事する」ことと「赤ちゃんがいてもお仕事できる」ことは別のことだと思っています。いちワーキングマザーとしては「赤ちゃんがいてもお仕事できる」環境整備が今は求められていると思っています。
南小国では「赤ちゃんがいても活動できる」環境を、周りの方々が整えてくださっています。本当に有難いことです。
議会の皆さん、町役場の皆さん、保育園や学校の先生方、ご近所さん、地域の皆さん、そして家族の協力のもとに、日々の活動ができていることに只々感謝の気持ちでいっぱいです。
南小国で子どもを産んで育てて、議員として活動できることはとても幸せです。恩返しができるようにこれからも精進して参ります!
※出典:内閣府 地方公共団体における男女共同参画社会の形成又は女性に関する施策の推進状況 (原則平成31年4月1日現在)
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