どれにつけるか決まっていないが命名だけする
私の牛は「飛将」という。
「飛将」は「ひしょう」と読む。
アクセントは「ひ」。
安室かアムロかでいったら、アムロの方でお願いしたい。お願いしたいが、わりと安室で呼ばれてしまい、それを聞いた人がまた安室で呼んで、という悪循環で少し困惑している。「飛翔」ではなく「飛将」なので、よく変換されずに間違えられてしまうので、これをその都度訂正するというのも若干気が引けている。
「飛将」という名前は、三国志最強の武将と言われる呂布からつけた。
自分で牛を持ったら、私が惚れ込み推し牛であった黒牛、三代目「庄八(しょうはち)」の名前から「ショウ」の音をもらって名づけたいと思っていた。名づけるなら、女牛持ちだからといって女々しいような、ころころとかわいらしいような名前などつけるものか。雄々しく、庄八に追いつけるような、牛を輝かせる、強い名前。そう、強い・・・最強・・・と言えば、呂布。
中二である。
真・三國無双のしすぎといえる。うん、だいぶしたよな10年前くらい。呂布について調べたところ、武勇に優れた呂布は「飛将」と呼ばれた、とあった。
「飛将」
これしかない。
これに決めた。
「人中に呂布あり。馬中に赤兎あり。」
牛中に飛将あり、ということだ。
しかし待て、呂布は仕えた主人をその度にことごとく裏切ってきたのではなかったか。
果たしてそんなやつの名前でいいものか?
いやそれは牛のこと、もともと人の言うことなど聞くものではない。
自由に、思う存分、呂布のごとく暴れまわってくれたら本望ではないか。
というわけで、ものすごくあっさりと、とはいえ思いにぴったりの最強の名前に決まった。
しかしこのとき、まだ私は牛を持つことが決まっていなかった。
牛を持つことも決まっていないのに、言わば妄想として決まった牛の名前だった。名前を決めたのがちょうどお正月だったので、書初めにまで書いたのだが、牛を持つことは決まっていなかった。
牛を持ったら「飛将」とする。
それだけを自分の中で決めていた。
その3か月後、飛将と私は出会う。
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