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人と組織づくりLabo. 第7回:「企業文化づくり」としてのオン・ボーディング

 我が「人と組織づくりLabo.」も第7回を迎えました。
毎月1回、第3水曜日。フラッと集まり、「組織づくり」について、「人づくり」について気軽に語り合えたら。そしてそこから「未来づくり」について何か学びを得ることができたら。そんな想いと、皆さんのお力添えでこのコミュニティは成り立っています。いつもありがとうございます。

 さて、もうあと1ヶ月ちょっとすると、2021年度の新入社員がやってきますね。思えば昨年2020年の今頃、新型コロナウィルスの感染が日本全体に拡大し始め、4月7日に東京、神奈川、埼玉、千葉、大阪、兵庫、福岡の7都府県に緊急事態宣言が発令されました(4月16日に対象を全国に拡大)。それに伴い、入社式を中止/延期したり、新入社員研修を急遽オンラインに切り替えたり、「オン・ボーディング」にも大きな影響があったでしょう。新入社員たちはもちろん、それを迎える企業や先輩社員たちも、きっとこれまでにないご苦労があったことと思います。

 ここで、あらためて「オン・ボーディング」について振り返っておきましょう。人事・採用を担当されている方以外は、この言葉にはあまり馴染みがないかも知れません。

「オン・ボーディング(on-boarding)」とは、「船や飛行機に乗っている」という意味の「on-board」から派生した言葉。本来は船や飛行機に新しく乗り込んできたクルーや乗客に対して、必要なサポートを行い、慣れてもらうプロセスのことを指します。
人事用語としては、企業が新たに採用した人材を職場に配置し、組織の一員として定着させ、戦力化させるまでの一連の受け入れプロセスを意味します。(「HR Pro」ウェブサイトより)

 そういえば、英語で “Welcome on board !”“Welcome aboard” は「ようこそ、我が社へ!」って意味になりますね。

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 「はじめまして!」「よろしくお願いします!」と不安と緊張の面持ちで入社してくる新入社員の皆さんにとっても、それを迎え入れる企業側、先輩社員にとっても、「テレワーク」という働き方が「ニュー・ノーマル」となった今、「オン・ボーディング」施策にもこれまで以上に様々な工夫が求められることになると思われます。

 そこで今回の「人と組織づくりLabo.」では、参加者の皆さんが各企業、各組織においてどんな「オン・ボーディング」を実施しているか?を共有しあい、今後どんな「オン・ボーディング」施策が有効か?ともに考えてみました。

▶参加者の皆さんのオン・ボーディング施策:

・部門のMVVなどを記載したポケットブックを作成し、新人に配布。
・お昼の消灯など自社の社会貢献活動を体験してもらう。
・キャンプ、山登り、潮干狩りなどの新入社員同士のイベント実施。
・上司との交換日記(!?)。
・研修期間中、毎日2時間程度、部門長が仕事や組織について講義。
・研修において技術スキルよりも、社会人としての立ち振舞いを重視。

▶「株式会社リジョブ」のふくはらさんより、オン・ボーディング施策のご紹介

 この「人と組織づくりLabo.」にも何度かご参加くださっているふくはらさん。所属する株式会社リジョブ様は「美容・ヘルスケア・介護といった“おもてなし業界”において、「育成支援」「雇用支援」「活躍支援」を一気通貫でサポートする事業展開を行う」企業様で、Great Place to Work® Institute Japan(GPTWジャパン)の、2021年度版「働きがいのある会社 中規模部門(従業員100~999人)」にて昨年に続き2年連続で『ベストカンパニー』に選出されていらっしゃいます。

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 リジョブ様では「“We” で考えられる組織」づくりに向けて、「経営視座」をもった人材の採用・育成に注力されています。経営視座をもった人材とは「周りのことを考えられる、所謂 “いいヤツ”」。そんな人材を育てるために、人事部門だけでなく全社を巻き込んだ新入社員研修に取り組んでいます。特徴的なのは、研修内容の発案、企画、設計など、全体的なデザインを前年の新入社員の方が中心になって行われていることです。それを2年目の先輩社員がフォロー、ケアしながら研修を実施していく。
 「経営者マインドをもった人材が集まり、チームを形成していくには、一人ひとりの “圧倒的な当事者意識” が重要」とふくはらさんは語ります。「目指すのは “制度づくり” ではなく “文化づくり”」という言葉が印象的でした。
 組織の文化は「コーポレート・アイデンティティ」とも言われますが、「らしさ」と言ってもいいでしょう。社員一人ひとりが、自分たちの「らしさ」を共有できていることで、まだまだ経験の少ない「若手社員」であっても、軸のブレない研修がデザインできるのだと思います。

▶これからの「オン・ボーディング」について考えてみた。

 参加者の皆さんが経験された施策、ふくはらさんからご紹介いただいた施策を踏まえ、これからの「オン・ボーディング」について、ディスカッションしながら考えてみました。
 そんな中で印象的だったのが『オン・ボーディング・ジャーニー』という取り組み。マーケティングの世界でよく使われる「カスタマー・ジャーニー」のように、新入社員がその会社や組織、上司や先輩社員、そしてもちろん仕事を知り、チームの一員となっていくまで取り組みを「旅」として捉え、その思考や行動、感情などをマッピングしていく。誰がどんなプロセスを踏んで、チームの戦力として育っていったかを共有することで、新入社員目線でそれ以降の「オン・ボーディング」施策を考えることが出来るようになったり、企業や組織としての「人材育成」の羅針盤にもなりそうです。

 前述したように、「オン・ボーディング」施策は、これからより重要になっていくと思われます。新入社員はもちろん、キャリア採用や中途入社の社員も、企業にとっては大切な財産であるはずです。労働力人口の減少が叫ばれている昨今、そして転職というものが昔ほど後ろめたいものではなくなった今の時代、社員の定着という意味でも、その入口のひとつである「オン・ボーディング」をいかに意味のある取り組みにするか?がこれからの企業の課題のひとつと言えるでしょう。
 「人づくり」、そして「組織づくり」をテーマに掲げているこのラボでも、今後も定期的に取り上げていきたい課題のひとつですね。

▶次回のお知らせ

 次回の「人と組織づくりLabo.」第8回は「3月17日(木)19時~」開催予定です。詳細はTwitterで発信しますので、楽しみに待っていてください。まだ参加したことがない、興味がある!という方も、ぜひTwitterをフォローしていただければ幸いです!
https://mobile.twitter.com/hitososhikilabo

それではまた!
この記事は野口和美が書きました。https://twitter.com/wanovation_2020

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