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 夏目漱石の小説で、1907年に朝日新聞に連載。職業作家としての漱石の最初の作品に当たる。

 2022年6月、本作の一節を「好きな言葉」として紹介した看護師のツイートがフェミニストに絡まれた。

 キャリアコンサルタントを自称する境野今日子という人物で、フェミニスト垢のインフルエンサーの一人。「幻集郎」氏のフェミ系アカウント共感力調査では24位と判定されたこともある人物である。

 しかし所詮フェミニスト、その知力は推して知るべしであった。
 そもそも、このツイートも引用された文句も、「愛嬌」というものについて述べているだけで、男性とも女性とも書かれていない。「女に愛嬌を振り撒かれたい男」などという性別の要素は影も形もないのだ。
 たとえ元作品とその文脈を知らなかったとしても「あれ、男女なんて書いてないぞ?」程度のことに気付くのは容易であった。

 まして実際、作中でもこの言葉は男性から男性に向けて発せられた注意であり「女に愛嬌振り撒かれたい」などという話はどこにもないのである。
 この文章の前後はこうなっている。

「余計な御世話だ。誰も頼みもしないのに」
「君は愛嬌のない男だね」
「君は愛嬌の定義を知ってるかい」
「何のかのと云って、一分でも余計動かずにいようと云う算段だな。怪しからん男だ」
「愛嬌と云うのはね、――自分より強いものを斃す柔かい武器だよ」
「それじゃ無愛想は自分より弱いものを、扱き使う鋭利なる武器だろう」
「そんな論理があるものか。動こうとすればこそ愛嬌も必要になる。動けば反吐を吐くと知った人間に愛嬌が入るものか」

虞美人草

 もちろんこれほど著名な文学史上に残る作品であるから、知っている人からも数多く突っ込まれている。

 なお、キャリアコンサルタントを自称する彼女であるが、別にこのようなことも言っている。

 自分が干されていてることをどうにもできないばかりか、その原因を分析すらできない彼女に何をコンサルトすればいいのかは不明である。

 最低限の調べ物さえできない人に自らのキャリアを賭けるようなことは、やめたいものである。


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