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 旧約聖書で巨人ゴリアテを投石によって倒した少年ダビデの像。
 なお投石と言われているが素手の投擲ではなくいわゆるスリングショットである。
 ダビデ像はミケランジョロ(1475~1564)作のものが最も有名だが、古典的モチーフであるためジャン・ロレンツォ・ベルニーニ(1598~1680)など複数の作者がダビデ像を作成している。

 そのミケランジェロ作のダビデ像のレプリカが2012年、島根県奥出雲町の三成運動公園に建てられた。町出身者の社長さんの寄贈によるもの。同時に【ミロのヴィーナス】像のレプリカなども、付近にある三成遊園地に寄贈されている。
 しかし住民から「子どもが怖がる」「威圧感がある」「もう少しふさわしい場所に移設して」「教育上、ふさわしくない」「『見たくない』『気持ち悪い』という声がある」果ては「下着を穿かせて」などと訴えがあったという。
 この騒ぎは海外の失笑を買い、米国のサイト『MSN』は「次はミロのビーナスにブラジャーを着用させることになりかねない。しかし、ビーナス像には腕がないため、自らでブラジャーを着用することは難しいだろう」と皮肉った。
 当時の町長井上勝博氏は「「幼い頃から一流の芸術作品に親しむことで、目を養うことができる。感性に訴えかけ、美術教育にも役立つ」と読売新聞の取材に答えた。
 実際に日本では、明治時代の【腰巻事件】を皮切りに、平成になっても【おれと】、【ボバルーン】など裸体や生殖器を表現したアートが芸術展などで布で覆われてしまった事例がある。

 結局、撤去やパンツこそ穿かせなかったものの、実は2018年4月に地震により倒壊してしまったため、危険性と、本体が高価であることなどに鑑みて、寄贈者の若槻氏に返却された。

 現在、ヴィーナスとともに保管されており、見学可能である。

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