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 主にファンタジー作品に登場する女性の戦士の衣装として描かれる、セパレートタイプの水着に似た形状の鎧のこと。

 フェミニストに言わせるとこのように機能的でなく弱点を露出した衣装を女性に着せるのは、とんでもない「性差別表現」である。東北学院大学准教授の【社会学】者である小宮友根は、『炎上繰り返すポスター、CM…「性的な女性表象」の何が問題なのか』と題するコラムでこの表現を糾弾している。

似たような表現として、映画などでは物語上の必要性があまりないのに女性のシャワーシーンや着替えシーンが挟まれたり、マンガやアニメ、ゲームなどでは女性の衣装ばかり露出が多いといったことがあります。衣装でいえばいわゆる「ビキニアーマー(ビキニタイプの鎧)」はその古典的な例ですが、まったく機能的ではないですよね。
こうした技法はやはり性的な鑑賞のために女性を用いていると言えますが、同時に商品や物語とは関係のないところでそれをおこなっている点において、商品や物語を単に装飾するためだけに女性を用いているという理解も生むでしょう(ちなみにイートンは、「一見物語上の理由があるように見えて、単にヌードを描くためのその物語が選ばれてることあるよね」という話もしています)。

炎上繰り返すポスター、CM…「性的な女性表象」の何が問題なのか

 小宮氏はこのようなスタイルが典型的な「ゲームに登場する男女」だと思っているようだが、実際のところはかなり時代遅れである。
 一例として現代の「実際のゲームで描かれる男女」はこのようになっている。

 この画像は上記の小宮氏がイラストレーターに記事用に描かせた画像と並べてツイートで紹介されていたのだが、あまりに恥ずかしい比較だったためか、現在は社会学者の考える方だけ“removed inresponse to report from the copyright holder(著作権者の申立てにより削除)”されてしまっている。

 なぜこのように実際のゲームと社会学者の認識――というか単にゲームに無知な輩の偏見――がずれてしまったのだろうか。
 現代のファンタジー作品に登場するビキニアーマーの直接の「祖先」は1930年代のアメリカのパルプマガジンに遡る(実は古代ローマでは男性の剣闘士も上半身裸で戦ったとか、実際にビキニアーマーに近い姿の女剣闘士と思われる彫刻が発掘されているとかの話もあるが、ここでは措く)。その後【ワンダーウーマン】やレッドソニア等のキャラクターの活躍を通して定着し、日本では1980年代に盛んに取り入れられた。
 この時代に隆盛した、ファミコンを始めとするテレビゲーム中心に日本では西欧風「ファンタジー」の文脈が定着したことから、ビキニアーマーも「ゲームの女キャラの衣装」というイメージになったわけである。
 しかしテレビゲームが主に「男の子のおもちゃ」であった80年代と、老若男女関係なくほぼ誰もが持つスマートフォンのゲームが全盛の現代では事情が異なる
 ゲーム業界は今や「客は男性なのだから、女性の裸を出す」時代ではない。「男女両性が客であり、両性の魅力を出す」時代なのである。時にビキニアーマーが出てきたとしてもそれは男女ともに存在する露出の片方でしかないのである。従って小宮氏の「ゲームにおける女性の露出表現」=女性差別、という考え方が根本から古いのである。

 2021年、性懲りもなく愚かな【海外出羽守】なフェミニズム系ツイッターユーザーが「日本の作品には女性をきちんと守る鎧が出てこない」旨の発言をしてしまった。

 当たり前だがそのツリーは嘲笑と大喜利状態になり、フェミニストは例示の嵐に耐え切れずツイートを削除することとなったのである。

 そもそもビキニアーマー自体もとをただせばアメリカの文化である以上、出羽守的価値観のもとにビキニアーマー叩きをすること自体が噴飯物である。天に唾を吐いているだけだ。

 ところで......「性暴力に対する抗議的な意味を持つ」としてフェミニストに絶賛されている彫刻がある。
 2020年10月13日からNYのパブリックアートプログラム「アート・イン・ザ・-アークス」で展示されているもので、女性であるメドューサが返り討ちにした英雄ペルセウス(原典の神話では彼女を退治する役割である)の首を持った「女性をエンパワメントする」作品である。

 さて。
 ビキニアーマーを「弱点丸出しで非機能的な女性差別表現」と断罪するフェミニストが認めた「ファンタジーでの戦いに相応しい女性の武装」はどのようなものだろうか?
 
 これがその勇姿である。

 ……全裸OKかい!!


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