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【17歳は感じちゃう】

 東映ビデオ株式会社による人材発掘プロジェクト、「TOEI VIDEO NEW CINEMA FACTORY」の第1回製作作品のひとつ(あと1つは「神回」)。
 2021年6~9月にかけて「青春映画」をテーマに第1回の企画募集が行われ、入賞したのが意外にも、30年前からAV業界に携わってきた元AV監督の北村美幸氏であった。
 公開されているあらすじは以下の通り。

瑠璃は農業高校で畜産を学ぶ二年生。母ひとり子ひとりの家庭で育った瑠璃は動物の世話で忙しい学校生活と家計を助けるためのアルバイトを両立させながら、家畜たちから「命をいただく」という尊さを学んでいる。
ある日、瑠璃は親友のモモと近隣の高校の文化祭へ遊びに行き、同い年のマサルを紹介される。瑠璃に一目惚れしたマサルは後日猛アタックをかけるが、農業高校教師の森に想いを寄せている瑠璃はそっけない。森への情熱を募らせた瑠璃はある日、森の家へ押しかけて強引に思いを遂げようとするが・・・。
2022年8月~9月頃撮影予定、2023年公開予定。
※本作品にはヌードシーンはありません。

『17歳は感じちゃう』作品紹介

 そして2022年4月、彼が元AV監督であることに噛みついたのが、俳優の松崎悠希という人物である。
 本作はまだ製作すらされていないというのに、である。

 彼は少し前にツイッター上で「ポリコレ演説」をぶって日本映画界をバッシングし、多くの批判を受けている。

 こうした「フェミ・ポリコレ」に親和性を持つ人物の、AV業界への偏見と差別意識は度し難い。
 たとえば2019年、あいちトリエンナーレに一般ドキュメンタリー映画【A DAY IN THE AICHI】という作品が出展されたのだが、これにもフェミニストの北原みのりが監督が元AV監督であるというだけで噛みついている。その批判内容は「インタビューをするなんてAVと同じ手法!」という信じがたいものであった。

 松崎氏も同じような意識の持ち主らしく、最初は「別に元AV監督の方が商業映画に挑戦するのは良いよ。でも…...」と取り繕っていたものの、のちに本性をあらわした。

 松崎氏の言う「AVのノリ」なるものが何を指しているのかは意味不明だが、北村監督自身のコメントを見る限り、彼が一般映画の分野でAVと同じようなものを撮ろうとしているとは思われない。ストーリーを見ると恋愛のもつれこそ描かれるようだが、だからといって恋愛→セックス→AVという反応はあまりにも短絡的過ぎる。

「「17歳は感じちゃう」というタイトルは賛否両論ありました(ウソ。否ばっか)。しかし、中身は至極真面目な青春映画なのです。本当ですよ。

映画『17歳は感じちゃう』監督・脚本 北村美幸からのコメント

 実際、本作にヌードシーンがないことについては、北村氏だけでなく東映ビデオ側も明言している。
 北村監督の製作態度を「AVのノリ」と思うこと自体は百歩譲って主観の問題で不問としよう。だが、内面と職歴を勝手に結び付け「元AV監督だから常識が歪んでいる」などとするに至っては、まじりっけなしの職業差別以外の何物でもない。

 この『17歳は感じちゃう』ではキャスト選考を兼ねたワークショップが行われるのだが、それを知った松崎氏はこう詰め寄る。

 2日以内に回答しろ!
 さもなくば全世界に公開するぅ!

 ものすごく自分に酔いながら書いてそうな気がするが、ちなみにワークショップの開催概要にはこのように書いてある。筆者としては十分だと思うのだが。

・参加をご検討いただいている皆様へ:
●本ワークショップでは、受講時間外の懇親会等は一切行いません。
●本ワークショップでは、受講にあたっての日程調整などの必要事項、および作品制作にあたっての出演交渉などの必要事項以外、個人的な連絡は一切行いません。
●本ワークショップ内で行っていただく課題演技において、性的な接触を伴う行為は行いません。
●本作品にはヌードシーンはありません。


 なお、4月18日に彼は英語で糾弾ツイートを書き始めたので、東映側にはめでたく無視されたということらしい。

 なお、プロジェクトリーダー佐藤現氏の個人アカウントでは、すでに行われた『神回』(本作と同時に選抜された作品)のワークショップと同じ方針であることを明かしている。

 松崎氏は必死にこれを「自分の圧力の成果だ!」と匂わせようとしているようだが、前回と同様であるのでは成功し無さそうである。

参考リンク・資料:

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