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 【報道の自由】が【表現の自由】に含まれることについては広く認められている。
 しかし報道の前提となる取材の自由もまた表現の自由として、憲法21条に保障されるかという問題については、学説上は認められるとする見解が有力だが、判例ははっきりと明確な立場を打ち出していない。
 ただし最高裁は【博多駅テレビフィルム提出命令事件】では取材の自由は「憲法二一条の精神に照らし、十分尊重に値いする」と述べており、その後の判例も【レペタ訴訟】、【西山記者事件】などでこの立場を踏襲している。

 だが取材の自由が尊重されるとはいっても、もともと違法である行為が取材中であれば無条件に合法になるわけではもちろんない。
 西山記者事件で最高裁は、

取材の手段・方法が贈賄、脅迫、強要等の一般の刑罰法令に触れる行為を伴う場合は勿論、その手段・方法が一般の刑罰法令に触れないものであつても、取材対象者の個人としての人格の尊厳を著しく蹂躙する等法秩序全体の精神に照らし社会観念上是認することのできない態様のものである場合にも、正当な取材活動の範囲を逸脱し違法性を帯びるものといわなければならない。

 と述べている。
 2021年6月、北海道新聞の記者が、旭川医科大学構内に不法侵入し、非公開の学長選考会議を盗聴していたところ発見した職員に私人逮捕された事件が話題となったが、これも同様の問題であると考えられる。
 また取材の自由に関連して【取材源秘匿の自由】が問題となることがある。

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