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【あえてその名を語る愛】

 1977年、イギリスの『ゲイ・ニュース』誌に掲載されたジェームズ・カーカップ作の詩。
 同性愛的ファンタジーをイエス・キリストを題材に描き出している。ナイジェル・ウォーバートン『「表現の自由」入門』によると、具体的内容は以下の通り。

 ローマ人の百人隊長は十字架にかけられたばかりのイエス・キリストにフェラチオ行為をし、彼の傷の中に射精し、最後は昇天したキリストにペニスを挿入される。百人隊長の語りからは、キリストが十二使徒全員と性交したこともほのめかされる。

ナイジェル・ウォーバートン『「表現の自由」入門』岩波書店

 この詩の掲載により、キリスト教の運動家メアリー・ホワイトハウスが「冒涜的な名誉毀損」であるとして『ゲイ・ニュース』編集長デニス・レモンに訴訟を提起した。
 裁判所はレモンに罰金500ポンド・執行猶予9か月とし、出版社には罰金1000ポンドとした。これは前掲書著者ウォーバートンによると本件は「英国において冒瀆法による有罪判決を得ることに成功したごくわずかな事例の一つ」である。

 2002年、同性愛者の人権問題に取り組む活動家ピーター・タッチェルらは本作の公開朗読会を行ったが、このときは起訴されていない。

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