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※【テコ朴理論】からも転送されています。

 ある社会における「マイノリティ」は「マジョリティ」に何を言っても/しても、一切の「差別」や「ヘイトスピーチ」は成立しない――という、一般人にはギャグとしか思えないような暴論のことを指す。
「反差別界隈」に馴染みのない人にはなかなか信じ難いことであるが、本当にこれを自身の主張として通そうとする人間が、かの界隈には幾らでも存在するのである。
 マイノリティを自称する側からの「マジョリティ」に対する暴言や、実際には「マイノリティ」側が得をしている状況などの正当化に使われる。

 なおマイノリティ/マジョリティを、少数派/多数派とそのまま訳すと、女性を「マイノリティ」に設定する際に非常に都合が悪い。女性は人類の約半数を占め、日本に至っては半数をやや超過するためである。そのため「マイノリティに人数は関係ない」と語義を歪曲する手間が毎回かかる。マイノリティは人数は関係ないという理論は、この目的にしかまず使われない。

 白正男原作・大和大輔画の漫画『テコンダー朴』がパロディにした画像が有名であり、同作を略して「テコ朴理論」と俗称されることも多い。ただしこの場合は権力勾配概念を批判する側からの蔑称としての意味合いが強い。

 権力勾配という概念は論理的に以下の致命的な欠陥がある。

1.属性で分けているので個人間の実際的な権力関係を反映できない
2.白人女性と黒人男性、障害のある日本人と健常者の在日韓国人など、属性が交差すると判断できない
3.前述の通り人数での判断を放棄しているため、何がマイノリティかを決める客観的手段が皆無である
4.「在日」韓国人ではなく「韓国」「韓国人」ならマイノリティではなくなってしまう理屈になるので、結局反差別界隈のニーズにも応えきれない。
5.これ自体が出自によって扱いを差別している以外の何物でもない

 2と3の結果、より重大な問題が発生する。
 マイノリティ集団同士の利害が対立したとき(たとえばトランスジェンダーが女性用のトイレや浴場に入る権利を有するかといった問題で)いずれが優先されるべき『真のマイノリティ』であるかは、集団間の権力闘争以外に解決手段が存在しない。

 そのため結局は「女性」「黒人」など、膨大な人数とパワーを持った、つまりよりマイノリティではない「マイノリティ」が優先権を奪い取るという本末転倒な事態をもたらすのみなのである。

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