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掃除を義務とした代償

掃除に費やす時間

先日、ネットで調べ事をしていますと、たまたま面白い記事を見つけました。
世界最大手の清掃機器メーカーであり、業務用と家庭用に3000種類以上の清掃機器を販売しているドイツのKärcher(Alfred Kärcher SE & Co. KGのブランド)の日本法人であるケルヒャージャパンが『とあるアンケート』を行ったようです。それは、日本人を対象に「掃除にかけている時間と時短の意識」というアンケート調査でした。

どうやらその調査でわかったことは、「一番時短したい家事は掃除であるにも関わらず、週に2時間以上掃除に時間をかけている」ということでした。時短したいにも関わらず、時間をかけているという真逆の現象が起きているわけです。以下に、その内容をまとめてみます。

【アンケート調査対象】
アンケート被験者数:1000人
属性:男女別に20代〜60代を対象

【アンケート調査の結果の抜粋】
●掃除に費やす時間:週平均2時間20分(人生の7500時間以上が掃除)
※1日平均20分の計算
●時短したい意識のある人:70%
●最も掃除の時間が少ない属性:20代の女性(1時間30分/週間)
●最も掃除の時間が多い属性 :60代の女性(2時間53分/週間)
●時間のかかる掃除箇所 - 1位:床 / 2位:風呂 / 3位:キッチン
●時短したい項目 - 1位:掃除 / 2位:料理 / 3位:洗濯

抜粋の掲載元情報:PR TIMES - ◎ケルヒャー 掃除に関するアンケート調査◎ 人生で掃除にかけている時間は平均7,500時間以上⁉

アンケート結果からわかること

1日20分を掃除に費やしていると考えると、「まあそんなもんじゃない?」と感じる人もいれば、「いやかなり掃除に時間を使っているな」と感じる人もいるでしょう。実際に掃除は面倒なもので、時短したいと考えている人が75%もいるのです。

しかし、裏を返せば『時短したい』わけであって、『掃除をしたくない』または『掃除が不要』だとは思っていないこともわかります。そう考えますと、日本人にとって掃除とは、どうやら切っても切り離せないものであるようです。

また、「最近の若い子は机の周りや部屋が汚いのよ」とか「男性よりも女性の部屋やトイレの方が汚いよ」 なんてこともよく聞くことがありました。そのような意見を聞いた時は「本当にそうなのかな?偏見では?」と思っていましたが、この調査結果を見る限り、どうやらその傾向はあるようにも思えます。

実際に私は大学生の頃スポーツジムでアルバイトをしていたことがあり、ジムの閉館時間になるとお客様の更衣室を男女ともに掃除するというのが仕事の中にありました。その時に、確かに女性の更衣室のほうが男性の更衣室よりも散らかっていた記憶があります。その頃も「まあこういうこともあるか」くらいで考えていましたが、この調査結果を見る限り「女性、特に若い女性は自分で掃除をしない」という傾向は確かにあるのかもしれないということがわかります。様々なものが便利になったおかげで、面倒なことはしなくなるのが人間の性なのかもしれません。

掃除に対する世界の考え方

では、日本ではなく世界では掃除に対する考え方はどうなのでしょうか。
実は時短したいと考えている日本人が75%もいるにも関わらず、世界の人は掃除をすることで幸福感を感じるそうです。こちらに関しては、ドイツのKärcher本社が行ったアンケートが記事にありますので、そちらを抜粋したいと思います。

【アンケート調査対象】
対象国:6か国
⇒日本 / ドイツ / アメリカ / フランス / イギリス / ポーランド
アンケート被験者数:6004人
属性:男女別に18歳〜65歳を対象

【アンケート調査の結果の抜粋】
●掃除が引き起こす感情で最も多かった回答:「満足感」
●きれいな家が重要であると答えた人の割合:93%
※最も多かったのはポーランドの97%
●家事をすることで気分が良くなると回答した最多人種:フランス(43%)
※日本人はこの割合が調査国内で最も低く、22%という結果となった。

抜粋の掲載元情報:PRTIMES - 【ケルヒャー世界のお掃除アンケート】各国のお掃除習慣の違いが見えてきた

アンケート結果からわかること

前述したアンケートでは、掃除が必要であることとはかわりながらも、時短をしたいと感じる日本人が多いということが書かれていましたが、今回のアンケートでは全く反対の内容であることがわかります。
つまり、掃除は重要であり、その掃除は幸福感をもたらすものだと世界の人は考えているようです。幸福感を感じる行動に対して時短をしたいとは考えにくいため、例えばポーランドの人たちは日本人と違って嫌々掃除を仕方なくしている人の割合が低いことが想像できます。

おそらくこれには国民性や文化が関係しているのかもしれません。そもそも清潔でありKIREI好きな日本人の性格は、内なるものから来たものではなく、他者との接し方や社会との接し方で、他人に迷惑をかけてはならないといった自己犠牲的な精神から来ているものなのかもしれません。

掃除 = 身体的活動 < 精神的活動

ここまで見たところ、掃除というものは、身体的な活動というよりも精神的な活動と言えるのかもしれません。「自分の体が不自由だから掃除ができない」「ダブルワークに子どもの世話が重なり本当に時間がないからできない」といった類のものではなく、「掃除は面倒だからしたくないなあ」という精神的な部分の方が大きく関係しているように感じます。

そもそも掃除はなぜ必要なのか、掃除をすることでどう感じるのか、その時間がもったいないと感じるのか、掃除は楽しいと感じるのか、そういったメンタル部分が掃除という行動そのものに繋がり、その後清潔意識に繋がっているように感じます。

Danielle Roeskeという心理学者は、Forbes - HEALTHの記事の中で、次のように話しています。

While a messy space can put you in a mental bind, this also means that tidying up your home can help you feel better. The following are a handful of ways cleaning can benefit your mental health, according to experts.
引用:Forbes HEALTH - The Mental Health Benefits Of A Clean Home

整然とした部屋は精神的な健康をもたらすといった内容を読むと、KIREIな部屋、そして掃除という行動そのものは、人の精神面に大きな影響を与えていることが改めてわかります。

日本人は昔から掃除が身近な存在でした。学校の従業の終わりにはみんなで教室を掃除したり、親や先生から悪いことをした罰として掃除をさせられたり、子どもの頃から自然と掃除が生活の中で関わりの深い活動になっていました。
しかし、それは決して楽しいものやメリットのあることとして掃除を教えられたのではなく、あくまで「しつけの一貫」として教えられてしまったことも事実です。そのことにより多くの日本人は掃除を「やらないといけないが、やりたくないもの」として認識してしまったのかもしれません。

皆さんは、掃除に対してどういう考えをお持ちでしょうか。
掃除は楽しいでしょうか。
それとも面倒なものでしょうか。
掃除をしたら解放感や満足感を感じるでしょうか。
それとも日々の生活でやらなければならない義務化されたものでしょうか。

今一度、掃除に対しての考え方を変えてみても良いのかもしれません。
それが内面から現れる清潔感というものに繋がるはずです。

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