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お辞儀 - 日本とベトナム

座礼・立礼
日本には挨拶にお辞儀を用いる文化があります。日本以外の国では握手が主流ですが、日本の場合、頭を下げる行為=お辞儀をすることで、自分を謙ることで相手への敬意を表すと思われているためです。
お辞儀にはたくさんの種類がありますが、大きくは座った状態で行う「座礼」と立った状態で行う「立礼」との2つに分かれます。
お辞儀がいつ誕生したのかというのには諸説ありますが、鎌倉時代(1185年-1333年)にはお辞儀が行われていたことは確かなようです。

昔の立礼の様子

建物の中では畳が用いられており、靴を脱いで歩く畳の上では一般的には座礼が行われていました。一方、建物の外では立礼が行われており、他者との接点が多いこの立礼には様々な種類のお辞儀が生まれました。

会釈・敬礼・最敬礼
日本のお辞儀(特に立礼)には会釈、敬礼、最敬礼の3つの種類があります。この3つを使い分けることが日本のビジネス界では求められ、学校を卒業して社会人になった人はこのお辞儀をしっかり覚えることから始まります。

会釈と敬礼と最敬礼の角度の違い

例えば会社だと、会釈は同僚や年配者等は関係なく、会ったときに「おはようございます」と同時に行われるお辞儀です。ただ挨拶で言葉を交わすだけでなく、少し頭を下げるのが日本では正しい挨拶だと考えられています。

敬礼はお客様に対して行われるお辞儀です。会釈よりも頭を下げることで、お客様に対しての敬意を表現します。例えば、お洋服屋さんではお客様が来店された際に「いらっしゃいませ」という言葉と同時に、この敬礼のお辞儀を行います。「いらっしゃいませ(お越し下さってありがとうございます)」という意味を敬礼で表現するわけです。

最敬礼は元々は高貴な方に対して行われていたため、日常的に使われることは最も少ないです。しかし、使われるシーンはあります。それは感謝や謝罪を強く表現する時です。例えば、お客様に対して何か不快な印象を与えることをしてしまってクレームになった際、自分に非があることが認められた場合に、「申し訳ございません」と同時に最敬礼を行います。

つまり、日本では相手への敬意や自分の気持ちの表現に言葉だけでなく、お辞儀という動作を付け加えることで、ビジュアル面でも表現するわけです。

礼が人に与える印象と効果
お辞儀は日本の文化だと前述しましたが、実際にお辞儀をベトナム語で調べても出てきません。代わりに「Cúi đầu」という「頭を下げる」という行為にあたるベトナム語が出てきます。
これは行動としては頭を下げるということを行っているが、それがお辞儀と呼ばれる敬意を表す行動であるというようには認識されていないことを意味します。

2019年のラグビーワールドカップで、日本代表がコート上でお辞儀をしているシーンを見て、海外メディアは反応し、その後「Ojigi」という言葉が普及したことは、お辞儀がまさに日本独特のものであることを意味していると考えられます。
そしてこのお辞儀はサービス業が普及している日本では頻繁に見られる行為であり、お辞儀が日本人の行動をKIREIに見せている一躍を買っているのは間違いないと考えられます。

ビジュアル面での表現は効果的で、人は識別の際に目による判断が最も大きいと考えられています。その点、お辞儀を挨拶や感謝に添える行為は相手により効果的な印象を与えると考えられます。実際に、何人かでお辞儀を揃えて行われると、見ていてKIREIで気持ちの良いものです。
こういったお辞儀を、単に見せるものとしてではなく、自然に日本人が相手への敬意を示すものとして日常に取り入れていることが、他国の人たちから称賛されている理由だと私は考えます。

行動でKIREIを表現するものも日本独特な文化なのではないでしょうか。

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